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コロナで原油・為替・株大混乱、「金融政策総動員」でも消えない不安

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3月9日、日経平均株価は2万円の大台を割り込み、円の対ドルレートは一時101円台を付けた Photo:AFLO

産油国の協調減産強化に向けた協議決裂の背景には、新型コロナウイルス感染拡大に伴う原油の需要減がある。市場のリスクオフに拍車が掛かり、原油価格は急落し、円高も進み、株価も下落した。主要国の中央銀行は金融緩和に動き、財政出動も進むが、感染終息のめどは立たず、市場の混乱も収まりそうにない。(ダイヤモンド編集部 竹田孝洋)

 新型コロナウイルスの感染拡大が、産油国の協調を崩し、世界の市場を大きく動揺させた。3月6日、OPEC(石油輸出国機構)に非OPECの主要産油国を加えた“OPECプラス”は、4月以降の減産で合意できなかった。

 原油価格は、感染拡大に伴う経済減速による需要減を織り込み、下落を続けていた。そのため、OPECプラスでは一層の減産を目指して協議していたが、ロシアが米国の産油業者にシェアを奪われるのを嫌い、サウジアラビアが提案したさらなる減産案を拒否した。これを受けて、8日にはサウジも増産に転じ、販売価格も約2割引き下げることを決定した。「原油価格が下落していなければ4月以降の現状水準での減産の合意は可能だった」(新村直弘・マーケット・リスク・アドバイザリー代表)とみられるだけに、新型コロナウイルス感染拡大が大きく影を落とした格好だ。

 協議決裂を受けて、リスクオフ(投資家がリスクのある資産への投資を控える状況)の流れに拍車が掛かった。安全資産とされる円に資金が流入し、対ドルレートは急激に円高に振れた。9日には一時、前週末より約4円高い101円台を付けた。日経平均株価も急落し、2万円の大台を割り込んだ。

 原油価格の指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)も急落した。9日には一時、前週末比で14ドル前後安い、27ドル台を付けた。

 原油価格急落は、株式市場も揺さぶった。折からの米国での感染拡大に、原油価格下落によるエネルギー関連企業の業績悪化懸念が加わり、ニューヨークダウは前週末比2013ドル安と史上最大の下げ幅を記録した。

 一方、景気悪化懸念の高まりもあり、円同様に、安全資産である米国債へマネーが流れ、10年国債利回りは、0.495%まで低下(価格は上昇)した。

 崩落ともいえる市場の惨状を目の当たりにして、政策当局も動いた。トランプ米大統領は10日に経済対策を発表すると表明し、安倍晋三首相も10日に2020年度補正予算編成を含めた経済対策の実施を示唆した。こうした財政政策に向けた動きを好感し、10日は、日経平均株価は反発、ニューヨークダウも1167ドル上昇した。円の対ドルレートも円安に転じ、104円台まで値を戻した。

FRB追加利下げ
財政出動など政策は総動員されるが…

 これから、主要国は経済下支えのために、金融、財政政策を総動員してくるだろう。

 FRB(米連邦準備制度理事会)は3日に0.5%の緊急利下げをしたばかりだが、市場は、17、18日のFOMC(米連邦公開市場委員会)でさらなる0.5%の利下げを織り込んでいる。

 12日に理事会を開くECB(欧州中央銀行)も、政策金利を引き下げないまでも、TLTRO(貸し出しを増やした銀行への長期資金供給オペレーション)強化には踏み切るのではとみられている。

 米欧の中央銀行が緩和策に踏み切れば、日本銀行も18、19日の政策決定会合で円高圧力をかわすために、ETF(上場投資信託)買い入れ額増加など何らかの緩和策実施に追い込まれる公算は大きい。

 このように政策が総動員されても、それで市場が落ち着きを取り戻すとみるのは早計だろう。

 金融政策に感染抑止に対する直接の効果があるわけではない。財政政策も同様だ。トランプ政権が提案している給与税減税、日本の緊急対策にある資金繰り支援は、GDP(国内総生産)拡大や倒産防止に効果はあるものの、感染拡大に歯止めをかけるわけではない。

 米国では、経済対策発表の会見にトランプ大統領は出席せず、市場関係者の期待を後退させてしまった。そうした状況を受けて11日、日経平均株価は前日比451円安で取引を終えた。

 感染がどこまで拡大するか分からないというのが市場関係者の本音。終息のめどが立たず、経済がどこまで落ち込むかが不透明な状況は当面続く。株価、為替など市場の混乱も解消されることはない。

※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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