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槇原敬之氏を起訴、相次ぐ大物芸能人の薬物汚染に「抜け出せぬ怖さ」

2020年03月05日 06時00分更新

文● 戸田一法(ダイヤモンド・オンライン

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シンガー・ソングライターの槇原敬之容疑者 Photo:JIJI

また大物芸能人が薬物犯罪で刑事被告人になることになった――。東京地検は4日、覚せい剤と危険ドラッグ「ラッシュ」を所持していたとして、覚せい剤取締法違反(所持)と医薬品医療機器法違反(同)の罪で、シンガー・ソングライター槇原敬之容疑者(50)を起訴した。槇原被告は1999年にも覚せい剤取締法違反の罪で執行猶予付きの有罪判決を受けており、再犯で有罪判決となれば実刑の可能性も指摘される。(事件ジャーナリスト 戸田一法)

薬物依存から抜け切れず

 芸能人の薬物を巡っては昨年、NHKの大河ドラマで降板を余儀なくされたピエール瀧さんと沢尻エリカさんの事件が記憶に新しい。

 また薬物犯罪の再犯を繰り返しながらも、更生支援イベントの講演などで薬物の恐ろしさを説いていた元タレントの田代まさし被告(63)も昨年12月、覚せい剤取締法違反(所持・使用)の罪で起訴された。

 田代被告は再犯なので言うまでもないが、瀧さんと沢尻さんのいずれも、公判で長期にわたり薬物を使用していたことが明らかにされた。

 瀧さんと沢尻さんは共に公判で「やめなくては」と思いながら、いずれ摘発されるという危機感を持ちながらも断ち切れなかった現実を吐露していた。

異例の「2年前の容疑」で逮捕

 槇原被告は2月13日、警視庁組織犯罪対策5課に逮捕された。

 起訴状によると2018年4月11日、東京都港区のマンション一室で覚せい剤0.083グラムを、同3月30日には亜硝酸イソブチルを含む液体64.2ミリリットルを所持していたとされる。

 通常、薬物事件は言い逃れができないように現行犯逮捕するのが普通だ。なぜ、2年近くも前の事件での摘発になったのか。

 全国紙社会部デスクによると、このマンションには当時、槇原被告と一緒に、所属する芸能事務所関係者の男性(43)が同居。

 男性は18年3月16日と同30日に覚せい剤所持で起訴され、有罪判決を受けていた。組対5課はその後の捜査で、槇原被告も関与していた疑いが強いとみて逮捕に踏み切ったという。

 槇原被告は99年8月に覚せい剤所持の容疑で現行犯逮捕され、同12月に執行猶予1年6月、執行猶予3年の有罪判決を受けた。

 事務所関係者の男性もこの時、槇原被告と一緒に覚せい剤を所持していたとして逮捕され、有罪判決を受けていたのだ。

 組対5課の調べに対し、男性は薬物に対して「槇原被告のものだと思う」という趣旨の供述をしており、吸引用とみられるガラス製のパイプも見つかっていた。唾液からは槇原被告のDNA型が検出されていたという。

 槇原被告は今回の事件で逮捕直後は「昔のことでよく覚えていない」などと供述していたが、取り調べの後は所持の容疑を認めつつ「長い間、薬物は使用していない。検査しても反応は出ないはずだ」と説明。

 その通り、逮捕された2月13日以降、警視庁の科学捜査研究所で行われた尿検査の結果は陰性で、違法薬物の成分は検出されなかった。

 しかし、今回の逮捕容疑で家宅捜索された際、東京都渋谷区の自宅からラッシュとみられる液体と割れたガラス製のパイプを押収していた。

 槇原被告の有罪判決からは20年以上が経過しているが、その後も使い続けていたのか。何かのきっかけで再度、手を染めるようになったのか。それとも最近は断ち切れていたのか――。

 公判では、その点もつまびらかにされることになる。

複数の薬物を長期間使用

 前述の通り、瀧さんと沢尻さんが公判で長年にわたり薬物を使用していたことは大きく報じられているのでご存じの通りだ。

 瀧さんは公判で検察側に「20代のころから違法薬物を使用するようになった」と指摘され、判決でも事実として認定された。

 沢尻さんも「初めて薬物を使ったのは10年以上前」と供述していたことが明らかにされ、麻薬取締法違反の罪に問われたMDMAの所持以外にも、罪には問われなかったが組対5課の聴取に「LSDやコカイン、大麻を使ったこともある」と供述していたことも明らかになっている。

 沢尻さんは1月31日の初公判で謝罪と悔恨の言葉を述べ「女優復帰は考えていない」と強調していた。

 2月6日、東京地裁で「発覚しなければよいという安直な動機に基づく犯行で、刑事責任を軽く見ることはできない」として懲役1年6カ月、執行猶予3年の有罪判決を受け、同21日確定した。

 瀧さんと沢尻さんの大河ドラマ降板は、各テレビ局や芸能事務所にも波紋を広げた。

 NHKは2月13日、4月以降に放送する番組から、出演者が違法性が疑われる行為と無関係であることを確認し、契約書とは別に文書を交わす方針を明らかにした。

 いわずとも、瀧さんと沢尻さんらの事件を受け、俳優には自覚を促し、芸能事務所には「身体検査をしっかり」というメッセージだ。

 筆者が全国紙社会部の記者時代、同じ記者クラブを担当していたテレビ局のデスクが話していた。

「事件担当の記者には特に、目立つタレントの身辺には警戒してもらっている」

深刻な薬物依存の実態

 そして過去の人になったとはいえ、ある意味で2人以上に衝撃だったのは田代まさし被告の事件だったかもしれない。

 計約7年間服役し、薬物依存者向けのリハビリ施設「日本ダルク」でリハビリプログラムを受けながらスタッフとして活動。

 一般の方々に「更生した」「よくぞ乗り越えた」と称賛されていたが、昨年、覚せい剤や大麻の所持で逮捕、起訴された。

 2月13日、初公判で昨年1月にダルク職員を辞職していたことを明かした。そして、反社会的勢力と接触を持つようになり、同8月に再び覚せい剤に手を出すようになったと説明した。

 検察側は同日の論告で「薬物の依存は顕著。真摯(しんし)に反省しておらず、再犯の可能性は高い」として、懲役3年6月を求刑。仙台地裁は懲役2年6月、うち6カ月を保護観察付執行猶予2年を言い渡した。

 一度薬物依存に陥ってしまうと「再犯の可能性が高い」という指摘は、田代被告に限ったことではない。

 瀧さん、沢尻さんも治療とリハビリに取り組んでいるはずで、再び手を染めないよう周囲のケアとフォローが重要なのは言うまでもない。

※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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