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新型コロナウイルスで米国初の「市中感染」、検査体制に課題

2020年03月01日 08時46分更新

文● Charlotte Jee

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UC Davis Medical Center

米国で、新型コロナウイルスが流行している地域への渡航歴がなく、感染者との接触も確認されていない患者が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と診断された。米国疾病予防管理センター(CDC)が発表した。米国内初の「市中感染」例と見られる。

この患者は、2月19日に別の病院からカリフォルニア州サクラメントにあるカリフォルニア大学デービス校医療センターへ搬送された。だが、診断が確定したのは4日後だった。同センターには検査能力がなく、CDCに検査を依頼する必要があったため、対応が遅れたという。センターが発表した声明では、患者との接触は厳しく制限され、「医療センター内での曝露の可能性は最低限に抑えられていた」としている。しかしながら、職員数人には自宅待機を命じ、体温の変化を監視するよう求めたという。

トランプ大統領は2月26日、マイク・ペンス副大統領を国内での感染対策の陣頭指揮者に任命すると発表。トランプ政権はさらに、12億5000万ドルの緊急予算を議会へ要請した

コロナウイルスの感染力の高さは知られているが、人から人への感染がどのようにして起こるのかに関してはまだ完全には解明されていない。この新たな「市中感染」の事例は、米国における検査能力の脆弱性を露呈する結果となった。ウイルスの感染拡大を抑制するためには、検査体制が整っていなければならない。現在、検査能力があるのはCDCと限られた地域の公衆衛生局だけである。

本記事の執筆時点で、米国で感染が確認された患者は60人。そのうち43人が日本に停泊していたクルーズ船「ダイヤモンドプリンセス」号の乗客だった。世界的な感染確定者数は8万3000人近く、死者数は2800人を上回っている。そのほとんどが今も中国に集中しているが、イラン、イタリア、韓国など他の国でもここ数日間で感染が急速に拡大している。

(関連記事「新型コロナウイルス感染症、治療薬開発はどこまで進んでいるか?」も参照)

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