細かい気配りの室内装備
豪華なエグゼクティブパワーシートと余裕の空間がハイライトなグランエースですが、実は細かい気配りの装備も見逃せません。
エグゼクティブパワーシートには肘掛けにある木目のふたを開けるとドリンクホルダーあり、全席に装備されています。また2列目シートには折り畳み式のサイドテーブルもあり、そこにもドリンクホルダーがあります。それも2列目と3列目の乗員が使えるような配置で4つも装備。
また6人乗りのPremiumには全席にLED照明付きバニティミラーが装備されています。特にリアシートのバニティミラーは天井からぶら下がるカタチで装備され、霧島さん曰く「すごく使いやすい!」とのこと。「移動中の化粧直しなどで膝の上に鏡を置いて前屈みになると、顔に影ができてちゃんとしたお化粧がしにくくなります。このバニティーミラーなら顔を上向きにできるので、顔に影ができずお化粧がしやすくて使いやすい!」と高評価です。
6人乗りのPremiumのリアシート4席には照明の向きを調整できる読書灯もあり、まるで旅客機のビジネスクラスのような充実した室内装備が施されています。「すべてのシートで読書灯が使えるのも便利です。移動のために早朝の暗いうちにミニバンに乗ることもありますが、その日のスケジュールを紙で渡された時などには読書灯がないと読めない時もあります。これまでのミニバンは読書灯があっても2列目シートだけだったので全席にあるのはうれしいです!」と霧島さん。
前席の中央後部には、2列目シートに向かって2口のUSB充電端子が装備されています。また3列目シートでは電源装備はもっと充実しており、左右のリアクォータートリムには2つずつのUSB充電端子を装備。また右側には12Vのシガーソケットタイプの電源も装備されています。この充実のUSB装備には霧島さんも「スマホの充電がいつでもできるので、このUSB端子は本当にうれしい」とうなります。
グランエースは絶品の乗り心地
これらの豪華な室内装備は、やはり広大な室内を実現した5.3mの全長と2mに迫る全幅があってこそ。
また、床下にプロペラシャフトが走るFR駆動形式のためにキャビンの床面は、一般的なFF駆動方式のミニバンに比べて高い位置にあり、2mに迫る全高はその分の室内高を稼ぐために必要だとわかります。
床面の高さのために乗降用にステップが設けられていますが、この床面の高さのおかげで着座位置も高くなり、車窓からの眺めは一般的なFFミニバンに比べると見晴らしがよいのも特徴の一つ。そこも含めてフルサイズ高級ワゴンであるグランエースの醍醐味となっており、3列目までゆったりと座ることができます。
アスキー的にスペックの話をしましょう。この巨体を動かすのは直列4気筒縦置きの2.8リッターディーゼルターボエンジン。このエンジンは尿素SCRシステムでディーゼル特有の黒煙をまき散らす排出ガスをクリーンにしているため、マフラー周りが黒く汚れることもなく、環境にやさしいクリーンディーゼルなのです。
全長5.3m、車両重量2740kgのグランエース Premiumにこのエンジンは力不足ではないか? と思うかもしれませんが、それは杞憂に終わります。けっして最高速を競うようなエンジンではありませんが発進からスムーズで、特に高速道路を走っても遅いと感じることはありません。また、搭載されているATとの相性も良く、追い越しでの加速はむしろパワフルと感じる場面も少なくない印象。急な登り坂ではディーゼル特有の太いトルクで粘り強く登っていきます。
ボンネットの中にエンジンを搭載することで、キャビンとエンジンを完全に切り離すことができるため、室内は驚くほど静か。運転席ではかすかにディーゼル特有の金属音が響きますが、2列目以降のシートでは一切耳に入ることがありません。
ベースは海外版ハイエースと言われていますが、国内向けグランエースはトヨタ車体が日本国内で製造しておりサスペンション形式も乗用車専用に改良されています。一番大きな改良ポイントはリアサスペンションで、海外版ハイエースではリーフスプリングであるところをグランエースではストロークの長いコイルスプリングに変更し、それに合わせてショックアブソーバーなども最適化。特に6人乗りのPremiumの3列目、8人乗りのGの3列目と4列目シートの乗り心地を重視してセッティングしているとのことです。
走り出してみると本当に乗り心地の良さに驚きます。着座位置が高いので頭が揺すられるような動きをするのかと思いきや、すべての動きが緩やかでリアタイヤのオーバーハングに乗るPremiumの3列目シートでも突き上げや細かい振動が皆無。アルファードの3列目シートの乗り心地での妥協は何だったのか? と思ってしまうほどグランエースの乗り心地は素晴らしいものと言えるでしょう。そこには2740kgという車両重量も関係し、この車重のおかげで上屋が振られにくい、どっしりとした乗り心地も実現しているようです。
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