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佐々木喜洋のポータブルオーディオトレンド 第11回

英国発、ポータブルDACにネット接続機能を追加できるChord「2go」の魅力

2020年02月26日 18時00分更新

文● 佐々木喜洋 編集●ASCII

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 先週末、ニューヨークで開催された、ポータブルオーディオコミュニティHead-Fiの“CanJam”で初披露された、Chord Electronicsの新製品「2go」。国内未発表だが、本家のウェブサイトでは仕様が公開されている。それを基にして、この製品のどこが画期的なのかを紹介していく。

Hugo 2と2goを組み合わせたところ

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人気のポータブルUSB DACをネットワーク対応にするオプション

 まず、2goは単独ではなく、「Hugo 2」と組み合わせて使用するのが前提だ。Hugo2はChord独自開発の非常に高性能なD/Aコンバーターを内蔵したヘッドホンアンプであり、音質にこだわりたい、ユーザーにとって現時点では最高の選択のひとつだ。Hugo 2にはバッテリーが搭載されているため、ポータブルで使用することもできる。

 ただし、Hugo2はあくまでもヘッドホンアンプ製品であり、デジタルプレーヤーのようにソース音源を管理する機能はない。音楽を楽しむためには、USB出力などに対応したデジタルプレーヤーや、パソコン、スマートフォンなどと有線接続する必要がある(Hugo 2はBluetooth機能も持つが、Bluetoothでは不可逆の圧縮がかかってしまうため、Hugo 2本来の性能を引き出すことは難しい)。

 スマートフォンやデジタルプレーヤーを接続するためには機種に応じたUSBケーブルを用意する必要があり、ポータブル用途ではケーブルの取り回しなどに不便が生じる。

 2goは、Hugo2のために設計した拡張モジュールであり、ケーブル不要でHugo2に直接取り付けられ、あたかも一体型の機器に見えるような設計がなされている。また、2go本体に音楽再生のためのボタンやディスプレーはないが、スマートフォンのアプリとワイヤレスでつながるため、カバンに入れたまま、手元のスマホでリモート操作ができる。

 メモリーカードに格納した音源を利用したり、ネットワーク接続で外部(NASやインターネットサービスなど)からストリーミングできる。Wi-Fi機能を有している2goを取り付けることで、ユーザーは、DLNA対応のメディアサーバー(NAS)に保存したファイルや、パソコンにインストールしたRoonで管理している音源・ストリーミングサービスのプレイリストをワイヤレス接続で利用可能となっている。

 名称の2goは、ハンバーガーショップなどでのテイクアウトを意味する英語“To Go”のもじりだ。文字通り、高性能の「Hugo2」を外に連れ出せるようにするための製品であると言えるだろう。

特徴ある機能

 Chordは、Hugo 2よりもコンパクトな「Mojo」というUSB DAC内蔵ヘッドホンアンプを販売している。そのオプションとして「Poly」という製品が国内でも販売されているが、それをご存知の方には、2goはHugo 2に対するPolyのような存在だと考えてもいいだろう。

Poly

 Hugo 2は設計時点でこうしたモジュールの追加を念頭に考えられていたため、シームレスな「合体」ができると考えられる。Hugo 2の左側面には、あえてボタンが設けられていなく、なにかを接続するためのノッチが用意されていた。

 2goは、サイズが大きいことを生かして、PolyではひとつだけだったmicroSDカードスロットが2基付いている。結果、内蔵音源の容量を拡大させている。また有線イーサネットのRJ45の端子がついているために、家でオーディオ機器と接続する際にも便利に使うことができるだろう。

2goと2yuの組み合わせ。他社DACとの接続に利用できる。

 さらに、2goには同時発表の「2yu」というデジタル出力モジュールをつけることでHugo 2以外の機器とも接続が可能になる。

 2goは、Polyがそうであったように高密度の回路実装がなされている点も利点だ。シンプルに見えるPolyだが、内部には航空宇宙クラスの回路実装がなされていて、高音質化に貢献していた。ただしこれは現時点では推測でもあり、実機の日本での披露が待たれる点だ。

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