このページの本文へ

Ryzen Threadripper 3990Xの64コアを使うアプリもわかった! サイコム最強のデュアル水冷BTO PCをガチ検証する!

2020年02月27日 19時00分更新

文● 宮里圭介 編集● ASCII

提供: サイコム

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

「CINEBENCH R20」のスコアーで25000オーバー
競合不在の孤高の性能

 まずは気になるCPU性能から。CGのレンダリング速度から独自のスコアでCPU性能を計測してくれる、定番ベンチマークソフトの「CINEBENCH R20」を試してみた。

「CINEBENCH R20」のスコアは25175pts。ちょっと見たことがない数値になっていた

 全コアを使用したCPU性能は25175pts、シングル性能は477ptsというスコアだ。25000を超えるスコアというのはあまりにも数値が大きくて、どう評価していいのか分からないほど。ちなみに、32コア/64スレッドとなるRyzen Threadripper 3970Xでは17209ptsとなっていたので、単純計算で約1.46倍。動作クロックに差があるため単純な2倍性能とはならないものの、明確な性能差があるのは間違いない。

 この時のCPU負荷をタスクマネージャーで確認してみたところ、しっかりと全コア(論理コア)が100%使用されていた。

各コアの使用率が横に16、縦に8つ並んでいる異様な画面だが、これが正常。すべて100%となっていた

 ちなみに全コアを使うCPUテスト開始から終了までの時間は、10秒ほどしかかからない。すでにCINEBENCH R20ですら、負荷として軽いというのが恐ろしい。

 続いてゲーミング性能として「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」(以下、FFXVベンチ)を試してみよう。Ryzen Threadripper 3990Xをゲーム用途で使おうという人はまずいないと思うが、純粋な興味本位である。画質は「高品質」とし、解像度を1920×1080ドット、フルスクリーンで試した。

FFXVベンチのスコアは、10341で「とても快適」。GeForce RTX 2070 SUPER搭載としては普通のスコアだ

 結果は見ての通りで、「とても快適」という評価。ゲーミング性能で考えればもっとコア数が少なく、動作クロックが高いCPUのほうが有利な結果が出るだろう。とはいえ、GeForce RTX 2070 SUPER搭載でこれだけの性能が出るなら、ゲームが妙に遅いといった心配はない。

 ちなみに、解像度を2560×1440ドット(WQHD)にした場合のスコアは7666(快適)、3940×2160ドット(4K)の場合で4480(普通)となっていた。

 試用機にはPCIe4.0対応のSSDが搭載されていたため、こちらの性能も見てみよう。これも定番のベンチマークソフトとなる「CrystalDiskMark」を使用した。

シーケンシャルが5GB/s近くの性能となるのが、PCIe4.0対応SSDの魅力。ランダム性能の強さも見逃せない

 こちらの結果も「速い」の一言に尽きる。シーケンシャル性能が飛び抜けて高いのは当然だが、ランダム性能も非常に速く、高速CPUのボトルネックとなりにくいのがうれしいところ。価格面では若干割高になるものの、選ばない手はない。

 高速なSSDで心配となる発熱だが、マザーボードの大型ヒートシンクのおかげでかなり低く抑えられている。CrystalDiskMarkを複数回繰り返し、最大温度をチェックしてみたが、最も高温となったランダムアクセス時でも64度。熱を気にしなくていいレベルまでしか上昇しなかった。

ランダムアクセス時が最も温度が上昇。といっても64度までしか上がらなかったので、気にする必要はないだろう

 温度といえば、SSDよりもCPUの温度が気になるところ。そこで、ストレステストとなる「OCCT」と、「CPU-Z」のストレステスト機能を使い、CPU温度がどこまで上昇するのかをチェックしてみた。

 OCCTはテストに「LINPACK」を選び、約15分後のCPU Package温度をチェック。CPU-Zはストレステスト機能をオンにし、約15分後のCPU温度を「HWiNFO」を使ってチェックした。

「OCCT」ではCPU温度は80度までは上昇せず、最大でも78.25度となっていた。まだまだ余裕がある

「CPU-Z」のストレステストでも、CPU温度は各ダイごとに見ても78度未満と低めだった

 360mmラジエーターの水冷クーラーを使っていることもあり、どちらもCPU温度は80度まで届かずしっかりと冷やされているようだった。ただし、CPU-Zでのストレステスト時の温度を見てみると、CCD7とCCD8だけが妙に低くなっているのが気になる。

 そこでタスクマネージャーで各コアへの負荷率を見てみたところ、なんとも面白い状況となっていた。

4分の1ほどは実コアにしか負荷がかからず、論理コアが遊んでいるような状態だった

 実は、Windowsは64の論理コアを1つのプロセッサーグループとして扱い、基本的に1つのプロセスでは1つのプロセッサーグループしか利用できないという制限がある。このため、64を超えるコアのCPUでは、ソフト側の作りによってすべてのコアを使いきれないといったことが起こりえる。

 このことについては、Ryzen Threadripper 3990Xのレビュー記事「物理64コアCPU「Threadripper 3990X」は自作PC市場に降臨した“巨人”だった」に詳しく記載されているので、気になる人はそちらを参考にして欲しい。

 ここで気になるのが、「64の論理コアまでしか使えないのであれば、128の論理コアをもつRyzen Threadripper 3990Xは意味がないのではないか」という点だ。

 これは以前にもあった、「8つの論理コアを超えるCPUに対応するソフトはほとんどないので、コア数が増えても意味がない」といった論調と同じだろう。つまり、1つのソフトですべて使えなくても、CPUリソースを奪い合うことなく複数のソフトが同時に実行できる点がメリットとなる。まさに、メガタスク向きのCPUというわけだ。

 とはいえ、もちろんソフト側が意識して対応していれば、CINEBENCH R20のように128論理コアすべてを使うこともできる。

 とういうことで、比較的CPU負荷が高めとなる動画編集・変換、RAW現像、ゲームの3つのジャンルで、CPUの論理コアをどこまで使っているのかを体験版のソフトを中心にチェックしてみた。

カテゴリートップへ