最強の「合コンカメラ」だが、それだけではない
コンビニや食堂などでお金を払うとニョロニョロと出てきて受け取るレシート。あのレシート、つまり、レジのプリンターが吐き出す感熱ロール紙を使ったキッズ向けインスタントカメラに、昨年暮れあたりからすっかりハマっている。レジプリンター式インスタントカメラと呼んだり、レジプリカメラと呼んだりしているが。
要するに、“チェキ”(Instax mini)や往年の“ポラロイド”みたいにジジジっと写真を吐き出すのだが、それが、レシートのペラペラ紙となるとどうなるか? コクヨ製の11メートルの感熱ロール紙5個パックがアマゾンで999円だった。1画像のプリントに10センチメートル程度使うので、1枚あたりのランニングコストは2円に満たないという安さである。その結果、撮ってプリントしてを繰り返す「紙屑カメラ」の様相を呈するようになる。
最初にこの種のカメラを知ったのは香港在住携帯電話研究家の山根博士氏の「2019年のベストバイだった」と断言していた記事だった。早々、米国・中国から3モデルほど取り寄せ、届いたカメラの1つを姪の息子(幼稚園児)のお年玉にしたら、1ロールを1日で使い切る勢いだった。
キッズ用ということで色エンピツや6色くらいのサインペンがついてきて、プリントアウト後に塗り絵みたいにして遊びましょうとなっている。いわゆるフレームも多数用意されていて、デジカメ時代、ネット時代の教育的効果があるというものだ。
ちなみに、このレジプリンター式インスタントカメラ、子どもばかりではなく、ほぼすべての女子がこれに興味を示す。撮影して、ジジジっと出てきたら、ピッと切り取って手渡す。レシートが出てくるから「撮影証明書」がデジカメからプリントされて出てくるようなイメージもある(もちろん出てくるのは画像だが)。いまのところ、最強の飲み会・合コンカメラといっていってよいウケ具合だ。ひたすらオヤジみたいになってきたのでここまでにするが。
旅は道づれ、カメラが御朱印帳になる?
個人的に楽しんでいるのは、お店でもらったレシートをもういちどこのカメラにセットして使うことだ。そのお店で食べた料理や買った品物の写真を重ねてプリントし直す。「レシート日記」と呼んでいるのだが、私の影響で同じことをはじめた人が、すでに私のまわりには何人もいる。
お店が発行したレシートが、その日、私がそこで買い物したことを証明してくれている。「御朱印帳」のような趣がある。自分がでかけるお店は自分が気に入っているお店が多いので、レシートに印刷されたお店のロゴマークを見ているだけでもちょっと嬉しくなる。ちなみに、必ずそのお店でレシートがもらえるわけではないので、同じ日の写真は同じ日のレシートならOKというルールにしているのだが。
同じようにレジプリンターを使うカメラは、いままでもなかったわけではない。1998年に任天堂がゲームボーイ用に発売した「ポケットカメラ」がある。これの専用プリンターが、まさにレジプリンターの感熱ロール紙を使うものだった。それの再来ともいえるのだが、やはりプリンターが一体化しているのが大きい。その結果、以下のようなロボット的に意識を持たせた使い方をすることも可能である。
レジプリンタ式カメラの選び方
いまのところ店頭でこの種のカメラを見かけることはあまりなく、ネット通販で5000~8000円程度で入手することになるが「どのカメラを買ったらいい?」と何度も聞かれた。そこで、主要なこの種のカメラの特徴を紹介しておくことにする。いずれも本文にあるように色エンピツやサインペン、そのほかストラップが付属。ほぼすべてのカメラが本体にカメラ名や型番などの表記がないという状態である。
だいたいこれでほぼすべてのバリエーションとなるが、深セン在住の高須正和氏がゲットしたのは背面に液晶のないモデルだそうだ。実は、日本ではカメラにぴったりの幅58ミリほどの感熱ロール紙のレシートがほとんどだが、たまに幅79ミリの感熱ロール紙のレシートもある。その場合、レシートを幅58ミリに折って印刷するわけだが、それはちょっと面倒である。79ミリの感熱ロール紙を使うカメラを誰か作ってくれないものか?
遠藤諭(えんどうさとし)
株式会社角川アスキー総合研究所 主席研究員。月刊アスキー編集長などを経て、2013年より現職。角川アスキー総研では、スマートフォンとネットの時代の人々のライフスタイルに関して、調査・コンサルティングを行っている。平成最後の日、NHK『ゆく時代くる時代』にガジェット鑑定士として出演。著書に、『近代プログラマの夕』(ホーテンス・S・エンドウ名義、アスキー)、『計算機屋かく戦えり』など。
Twitter:@hortense667Facebook:https://www.facebook.com/satoshi.endo.773
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