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【麺歴20年のテレビマンが紡ぐ!読むだけで美味しいラーメン「物語」 】第2回GENEI.WAGAN(東京・広尾)

2020年02月26日 14時00分更新

文● 赤池洋文 編集●ラーメンWalker

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 私がラーメンを食べる上で「味」よりも大切にしている「物語」。「なんだその『物語』って?」をテーマに、歪みまくったラーメンへの偏愛を書き連ねます。

 今回、私が紡いできた「物語」を紹介するお店は、渋谷区広尾にある「GENEI.WAGAN(ゲンエイワガン)」。

 このお店の店主である入江瑛起(いりえ・ひでき)さんは、2003年に福岡で「麺劇場 玄瑛」を開業しました。この「玄瑛」は、白濁しない、でもコクと旨味が凄い、革新的な豚骨ラーメンで瞬く間に行列店に。しかも「玄瑛」が革新的だったのは味だけではありませんでした。店名にもある通り、店内の作りが劇場型。厨房を舞台に見立てて、客席から調理する様子を眺められるように設計されていたのです。私が初めて行ったのは確か2005年でしたが、味から店内の雰囲気まで、ラーメンをエンタメに昇華させたこの大発明に、自分の本業の観点からも大きな刺激を受けました。

 そんな「玄瑛」が、満を持して2011年に東京進出をはかります。「東京であの豚骨ラーメンが食べられる!」私は嬉しさのあまり発狂しそうになったのですが、新店「GENEI.WAGAN」のコンセプトを聞いて、違った意味で発狂することに。ナント東京では豚骨を封印すると言うのです。思わず「おいおい、福岡の純朴だった豚骨ガールよ。憧れの東京デビューで背伸びしてレディを気取るのはよくないよ」と、よく分からない「上京物語」が膨んでしまうほど、私は混乱し、真意が理解できませんでした。

 程なくして、「GENEI.WAGAN」に伺うことに。私は半信半疑のまま「東京デビューなレディ」と対面。しかし、いざ一口食べて、「私の抱いていた『物語』はなんて浅はかだったのか」と思い知らされることとなりました。

 「潮薫醤油拉麺」。その清湯醤油ラーメンは、豚骨とは全く違うベクトルで、圧倒的に新しく、美味しかったのです。その瞬間、理解しました。「なるほど、新たにこんなに美味しいものが作れるからこそ、わざわざ豚骨ラーメンを作る必要がないのか」。恐ろしいことに、あの豚骨ラーメンは入江店主にとって到達点ではなく通過点に過ぎなかったのです。正真正銘、れっきとした「東京レディ」でございました…ごめんなさい。

 聞けば、入江店主は自身のラーメンを進化させるために、フレンチ・イタリアン・中華など他の料理の知識と技法を貪欲に学び吸収しているとのこと。ラーメンにはない手法を使ってラーメンを作るのだから、結果新しいものが生まれて当然です。今でこそ同じようなことを語るラーメン店主も珍しくありませんが、これは今から約10年前の話。実際、この日から私は「GENEI.WAGAN」に通い詰めているのですが、今まで一度たりとも同じラーメンが出てきたことがありません。毎回異なる、独創性溢れる美味しい一杯に出会えるのです。そして、入江店主は今なお驚異的な進化を続けています。10年のアドバンテージはダテじゃありません。

 こうして、衝撃の出会いから10年に渡り「GENEI.WAGAN」と「物語」を紡いできたのですが、昨年末、入江店主から衝撃の話を打ち明けられました。「ついに封印を解いて、『GENEI.WAGAN』で豚骨ラーメンを提供する」と。興奮のあまり血圧が上がるのを抑えながら理由を聞くと、「ラーメン店主になって25年が経ったので、『25年間の再構築』として自分の原点である豚骨ラーメンを見直すことにしました」との力強い言葉。このタイミングであえての原点回帰。もちろんあの入江店主が作るのだから、福岡時代の豚骨ラーメンのはずがない。こんなにワクワクする「物語」が他にありますか!?この時点でもう美味しいのは確定でしたが、食べてみてさらに衝撃。豚の軟骨から取るスープはコラーゲンと旨味が凝縮。そこに山椒などのスパイスを重ねた香味オイルが合わさり、美味さの相乗効果が止まりません。豚骨の良さをしっかり残しながら、今までの豚骨にはない新しさが加えられた、まさにネオ豚骨ラーメン。

 これまで入江店主が1200以上作ってきたラーメンのうち、100杯近くは食べてきた私が断言します。この「玄瑛流NEO豚骨ラーメン“極”」は間違いなく入江店主の集大成です!

 是非あなたにも「GENEI.WAGAN」のラーメンを、あなたなりの「物語」を紡ぎながら食べて頂きたいです。

大人の街・渋谷区広尾にお店を構える(地下1階)

夜は完全予約制で、会席料理としてラーメンを提供

ラーメン界の異端児・入江瑛起(いりえ・ひでき)店主。料理の腕前はもちろん、軽妙なトークでお客さんを楽しませている

昼は予約不要。火曜〜木曜の昼11時〜13時で50食限定「玄瑛流NEO豚骨ラーメン“極”」

入江店主が放つ渾身のネオ豚骨ラーメン、ぜひ味わってみてください

ラーメンWalkerによる「玄瑛流NEO豚骨ラーメン“極”」取材映像はコチラ

赤池洋文 Hirofumi Akaike (フジテレビ社員)

2001年フジテレビ入社。ドラマ「ラーメン大好き小泉さん」、ドキュメンタリー「NONFIX ドッキュ麺」「RAMEN-DO」などラーメンに特化した番組を多数企画。大学時代からの食べ歩き歴は20年を超え、現在も業務の合間を縫って都内中心に精力的に食べ歩く。ラーメン二郎をこよなく愛す。

百麺人(https://ramen.walkerplus.com/hyakumenjin/

本人Twitter @ekiaka

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