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クルマとおしゃべりするテレビドラマが現実に

君も今日からマイケル!LINEカーナビでナイトライダー気分

2020年02月27日 11時00分更新

文● 飯島範久 編集●村野晃一(ASCII)

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LINEカーナビ片手にナイト2000に乗り込みご満悦の担当編集ムラリン。筆者は別用で取材に行けなかった(泣)

 昔は、アメリカのテレビドラマシリーズをテレビ(地上波)でよく放送していた。現在40、50代の人なら、少年のころテレビにかじりついてよく観ていたという方も多いだろう。筆者も今年で齢51歳。今から40年弱前の1980年代に、「特攻野郎Aチーム」とか「ブルーサンダー」とか「エアーウルフ」などといった、乗り物+兵器+個性の強い正義の味方的なドラマにハマっていた。

 なかでも一番影響を受けたのが「ナイトライダー」だ。私立探偵機関・ナイト財団に所属する調査員のマイケル・ナイトが、銃弾をも弾き傷すらつかない特殊セラミックに身を包んだドリーム・カー「ナイト2000」を駆って、悪に立ち向かうドラマだ。クルマ好きなら見ていて当然の作品だが、万が一、知らない人はブルーレイコンプリート・ボックスを購入して全話見るか、Wikiに細かく記載されているのでぜひ一読してみてほしい。そこには、かつて空想した未来のクルマの姿が描かれている。

テレビドラマ「ナイトライダー」に登場したAI搭載スーパーカー「ナイト2000」。GM社のポンティアック・ファイヤーバード・トランザムがベースとなっている

 さて、なぜこんな前フリをしているのかというと、LINEのカーナビアプリ「LINEカーナビ」を触ったときに、真っ先に思い浮かべたのが、ナイト2000に搭載されている人工知能「K.I.T.T.(キット)」だったからだ。クルマの中で話しかければ、調べてくれたり、答えてくれたりするなんて、まさに40年前、少年のハートを鷲掴みにした世界が、ようやく目の前に現われたと感じたのだ。

 もちろん現状は頼んだだけで自動運転してくれるクルマがあるわけでもないし、かなり高度なAIでない限り、人間同士のように、相手の思考を慮ったアットランダムな会話をするというわけにはいかない。AIが実用化されたとはいえ、K.I.T.T.に至るまでにはまだまだ時間がかかるだろう。ただ、人間がボタンや画面をタッチして操作するのではなく、しゃべることで目的が達成されるという方向性は、ナイトライダーの中で描かれている“未来のクルマ”に対するアプローチと同じだと思う。自動運転技術もだいぶレベルが上がっており、こうした音声による操作が組み合わされば、さらにナイト2000に近づくだろう。架空だった物語が現実になる瞬間に立ちあえるかも、と思うとワクワクするでしょ?

 ところが、以前LINEカーナビの開発者にインタビューした際、「ナイトライダー」についても話を振ってみたのだが、意外にも耳にしたことはあるものの、実際に観たことはなく、詳しくは知らない世代だった。LINEカーナビは、K.I.T.T.のような姿を目指して開発されたものではなく、現実社会に必要とされる“会話するカーナビ”を目標として開発されたのだ。

 そう考えると、当時はコンピューターが人間のように会話する世界を夢見てドラマの中で表現していたが、40年近い時を経て人工知能(AI)が現実的なものとなり、その技術をもとに開発した、クルマに搭載するためのAIの進化の行きつく先が、時代が変わっても同じ方向感だったということなのだ。

 ということで今回は、ナイトライダーよろしく、LINEカーナビが実現している“AIとのコミュニケーション”についてフォーカスしてみたい。

自然言語を理解して道案内してくれるLINEカーナビ

 LINEカーナビのパートナーは、もちろんClovaだ。「ねぇClova」と話しかければ、音声を認識して答えてくれる。Clovaの喋りは人間の生の声というよりは、音声合成された感じ。声優の声をそのまま使うのではなく、エフェクトを掛けて機械が喋っているような演出をしているK.I.T.T.っぽくもあり、なかなか好感度が高い。

 「ねぇClova、秋葉原へナビして」(以下、「ねぇClova」は省略)と話せば、目的地までのルートを調べ、ナビしてくれる。「秋葉原までナビして」でも「秋葉原へ案内して」でも「秋葉原へ行きたい」でも結果は同じ。自然言語をしっかり理解して、答えてくれている。これがLINEカーナビの最も優れたところだろう。

 これまでのカーナビも音声操作が可能なものもあった。しかし、決まったフレーズを言わなければ認識してくれず、やり取りが多くて扱いづらかった。この自然言語を理解してくれるというのが、LINEカーナビが最もK.I.T.Tっぽいポイントだ。

 そして、ナビ中でも「地図をめっちゃ拡大して」と言えば、地図がかなり大きく表示されるし、「近くのコンビニへ行きたい」と言えば、立ち寄りとしてコンビニを追加できる。また、高速を走っていれば、「次のサービスエリアまでどのくらい」などと聞けば、答えが返ってくる。やりたいこと、知りたいことをClovaと話すことで解決できるのは、運転中に画面を注視したりタッチ操作できない状況下で理想的な操作法だ。

自然に声をかけるようにお願いするだけで地図を拡大表示してくれるLINEカーナビ。優秀!

ナイト2000のコンソールはランプだらけ、ボタンだらけで見なきゃならないところ、押さなきゃならないところがいっぱい!“ながら運転”が厳罰化された現代ではちょっと困ってしまいそうだが、ナイト2000の場合は自動運転完備なのでそこは安心(笑)

LINEカーナビでクルマとのおしゃべりが楽しくなる!

 また、LINEカーナビは、ナビをするだけでなくクルマでできたら便利だなと思われることがいろいろできる。

 例えば、「ドライブでおすすめの曲を掛けて」と言えば、LINE MUSICで提供しているプレイリスト『LINEカーナビおすすめ!ドライブソング』を再生してくれる。もちろん好きな楽曲名を指定してもいい。ドライブには音楽がつきもの。好きな楽曲にどんどん話して切り替えられるのはドライバーにとって非常に助かる。

LINE MUSICと連携したLINEカーナビの音楽再生機能。こちらも音声操作で、ジャンルを指定したり、歌手名や曲名で再生する曲を選ぶことも可能だ。音楽再生をお願いしても、実際には画面は地図表示のままで、地図の右下に表示されるイコライザー状のボタンを押すことでプレイヤー表示に切り替えられる

 もちろん、LINEメッセージのやり取りも行なえる。「LINEを読んで」と言えば、直近の届いたメッセージを読み上げてくれる。返信もできるので、簡単なやりとりならできそうだ。また、今後LINE無料通話機能などの実装も予定されている。いまは画面注視がNGなので、ナイト2000のようなテレビ電話より、音声通話や音声でのメッセージのやり取りがベストだと言えるだろう。

LINEメッセージを使い、到着予定時刻を送ることも可能。帰宅時間を知らせるのにも便利

 また、ちょっとした会話も楽しめたりするのもLINEカーナビの面白いところ。例えば「ダジャレを言って」と話せば「トイレに行っトイレ」などと応えてくれる。天気を聞けば、予報を答えてくれるし、Googleカレンダーなどと連携していれば、「今日の予定は?」と聞くと、「○○時から会議です」なんて知らせてくれる。「今日はどんな日?」と聞けば、天気やニュースなど、知っている(取得できる)情報をまとめて話して、締めにアドバイスも付け加えてくれる。

 ほかにも、「魚座の今日の運勢は?」と占いの結果を聞いたり、「帰りに牛乳を買う、とメモして」い言えばメモを残せたり、「新幹線について」と聞けばWikiの情報を読み上げるなど、ここまでやってくれると、もはやちょっとした秘書がいるかのようだ。

ナイト2000搭載のスーパーモニターは、ナビゲーションのほかにテレビ電話などの通信にも利用される

 「ナイトライダー」のドラマの中でも、マイケルが、K.I.T.T.に頼んで音楽を掛けたり、デボン(ナイト財団の責任者)とテレビ電話でつないだり、他愛のない会話をしたりするといったやり取りをするシーンがよくあった。こうした、まるでクルマそのものと会話をしているようなあの感覚を、LINEカーナビは手軽に実現してくれている。言葉のキャッチボールというところまではいかないが、カーナビ以上の仕事をこなしてくれるので、マイケルとK.I.T.T.と同様、Clovaに親しみすら感じてしまう。

愛車を良き“相棒”に変えてくれるLINEカーナビ

 ナイト2000に憧れていた少年時代から40年近くの歳月が経ち、ようやくその片鱗を、このLINEカーナビから見い出したといっても大げさではないと理解していただけただろうか? とにかく、K.I.T.T.ならぬClovaとおしゃべりしながらのドライブは、なかなかの未来感でとても楽しいのだ。あなたも、既存のカーナビをLINEカーナビに置き換えて、ぜひ、良き“相棒”とのドライブを楽しんでみてほしい。

取材協力
AREA TEN-ONE Audio& Alarm

 今回の記事製作にあたり、ナイト2000のレプリカモデルを製作・販売しているカーショップ「AREA TEN-ONE」さんに撮影協力をしていただいた。AREA TEN-ONEでは、ナイト2000をはじめ、ムービーカー仕様のカスタムカーを販売している。

 記事中に登場したナイト2000は内装パネルなどもすべて完備したフルコンプリートカスタム仕様だが、外装のみのカスタムも可能。もちろん、エンジン周りのレストアも請け負ってくれる。

店内には「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に登場したデロリアンも展示!後部に時間移動装置も搭載したフルカスタム品。こちらは車検を通らず公道走行は不可能とのこと

代表の今井悠貴氏。ナイトライダー愛が強すぎて、自分用にナイト2000を自作したところ、譲って欲しいと乞われて以降、カスタムカーの販売をはじめた

 AREA TEN-ONEで扱うもうひとつのムービーカーが「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に登場したデロリアン。映画「レディ・プレイヤー1」のプレミア上映の際などに会場展示されたもの。AREA TEN-ONEでは、こうしたムービーカーの展示貸し出しなどの相談も受け付けている。お問い合わせは下記まで。

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