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史上最強のルンバ「s9+」17万円なり

2020年02月20日 09時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita) 編集● ASCII

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 アイロボットジャパンが2月19日、部屋の隅まで掃除しやすいD型デザインのロボット掃除機「ルンバs9+」を発表しました。ごみの吸い込み口が3割幅広になり、カーペットブーストも復活。ルンバ600シリーズ比で吸引力40倍という最強の一台です。ただしお値段も最強で、17万円なり。

ルンバs9+
直販価格 16万9800円
2月28日発売
アイロボットジャパン

https://www.irobot-jp.com/product/s-series/

●3Dセンサーで狭いところに強く

 デザインを円形からD型にしたことで、モーターからダスト容器にいたるまで内部機構を一新。ごみをかきだすエッジクリーニングブラシの脚も3本から5本に増やしています。吸い込み口が広がったことで一度に掃除できるエリアは広がり、清掃効率も良くなりました。バッテリー容量も増え、稼働時間は最大120分へと伸びています。円形をD型に変えると狭いところや袋小路に入ったとき出づらくなりますが、そこは前方上部に壁検出用の3Dセンサーを新搭載したことで解消しているそうです。

●アイロボットは3Dセンサー推し

 ところでパナソニックは先日、掃除前に部屋を片づけるのが面倒くさいという声にこたえて巨大なレーザーセンサーを搭載した新型ロボット掃除機を出しました。ルンバはどうですかとコリン・アングルCEOに聞いたところ「レーザーセンサーが床から離れていると障害物が下まで見えないでしょ」と欠点を指摘し、自分たちが3Dセンサー推しであることを強調。パナもフロント3Dセンサーをつけているのですが、どのみち戦略的には3Dセンサーだけで十分ということのようでした。

●アレルゲンを出さんぞ機構

 充電ドックはルンバi7+と同じく、掃除が終わったあとにダスト容器の中身を自動的に吸いあげるクリーンベース。約半年間ごみ捨ていらずになります。集めたごみをダスト容器に密封、掃除が終わったらそのままクリーンベースに吸い込ませることで、ダニやハウスダストなどのアレルゲンを外に出さないという新機構になっています。ルンバ本体にフィルターがありますが、それだけでなくクリーンベースとの密封性を高めることでアレルゲンが外に出ないようにしとるんやで、ということでした。クリーンベースの紙パックはルンバi7+と同じものが使えるそうです。

●廉価版+「将来的にはそういうことも…」

 ちなみにクリーンベースつきの製品は客ウケがいいようで、アイロボットとしても推していく方針ということ。廉価版にもつけないのかとコリン・アングルCEOに聞いてみると「やり方を模索してる。将来的にはそういうこともあるかも」という無難な回答がありました。数量ベースでは国内で一番売れてるという5万円台のルンバe5あたりにクリーンベースつきが出たら売れそうです。

●「カチリ」17万円の音がする

 部屋に飾れるデザインをめざして開発されたという本体のまんなかにはカッパーゴールドのメタリックな円盤があり、カチリと開けるとダスト容器が入っています。プレミアムルンバということで、開発時にはこの音にもこだわったとか。思わずタッチ&トライで何度か開閉してしまいました。ほほうなるほど、これが17万の音ですな…(わかってない)

●試したいぞ「ビーストモード」

 機能としては、ルンバ980まで搭載されていたパワーブーストが復活。カーペットを認識し、奥に入りこんだゴミまで吸い上げるようになっています。偏った楽しみ方ですが、アプリを使うとカーペットだけに限らず常時ブースト状態に設定できます。最大稼働時間が120分から30分まで落ちる上、正直めちゃめちゃうるさいのですが、ルンバ史上最強の吸引力でブン回すことが可能になってアガります。同社のコリン・アングルCEOはルンバs9シリーズを「ビーストのような」と評していたので「ビーストモード」と呼んではどうかと思いました。行けルンバs9、ビーストモードだっ!

●ブラーバジェットm6と連携可能

 筋力としては最強のs9ですが、頭脳にあたるチップと走行アルゴリズムはハイエンドのルンバi7シリーズと同じ。チップは1.2GHzのクアッドコア、走行アルゴリズムはカメラセンサーで室内の地図を作って学習するvSLAM技術と、vSLAMで作った複数の地図を重ねあわせて解析することで効率をあげる機械学習機能の組み合わせです。やはりi7と同じように、クラウドにアップロードした地図を床ぶきロボット「ブラーバジェットm6」と共有、ルンバと連携して掃除をしてもらうこともできます。

●日本で300万台、世界で3000万台

 今年はアイロボット創業30周年のアニバーサリーイヤー。同社ではこれまで日本で300万台以上、世界では3000万台以上のロボット掃除機を販売しており、うち900万台がクラウドにつながっているそうです。コリン・アングルCEOはルンバやブラーバが作りあげてきたクラウド・システムをもとに「家を最高のマジカルパートナーにする」という大きな目標をかかげるとともに、ルンバs9シリーズを「次の大きなステップとして全体的な目標に向かうロボット」と位置づけ。アイロボットがIoT家電の中心となり「アレクサ、おばあちゃんのお世話して」と話しかけるだけで色んな家電がおばあちゃんを見守るような将来が来るんちゃうか〜というスマートなヴィジョンも語っていました。

●4万円安い「ルンバi7+」も検討して

 アニバーサリー製品であるルンバs9シリーズは全部盛りの史上最強ルンバ。国内でクリーンベースのない本体だけの単品販売はありませんが、日本に先がけて販売している海外で実際に売れているのはクリーンベース付きだそうです。すでにルンバi7+を半年以上使ってクリーンベースのありがたみを知っている身としては納得ですが、価格が価格だけに気軽には推せないところ。前述のとおりソフトは前機種同等なので、史上最強の吸引力だとかアレルギー物質封じこめ機構を必要としなければ4万円安いルンバi7+でもスペック的には十分だと思います。「いやお金とかそういうのはいいんだ!俺は最強のルンバでビーストモードを体感したいんだ!」。オッケー!そういうことでしたらカードを持ってレジへどうぞ!



   

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