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マルハナバチが世界中で激減、気候変動が影響か

2020年02月19日 12時42分更新

文● James Temple

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Credit: Jeremy Kerr

マルハナバチが歴史的な規模で、世界中から姿を消しつつある。ここ数年で熱波に襲われた地域では特に深刻だ。マルハナバチは寒冷地へ大移動しているわけではない。急速に温暖化が進む世界で、花粉媒介者として重要な役割を持つ生物種の適応力に疑問が投げかけられている。

サイエンス誌に掲載された新しい研究によると、カナダのオタワ大学などの研究チームが1901〜1974年と2000〜2014年の2つの期間にわたる66種のマルハナバチの記録を比較した結果、北米では46%、欧州では17%減少していたことが明らかになった。論文の筆頭著者であるオタワ大学のピーター・ソロエは、「減少がこのペースで続けば、マルハナバチの種の多くが数十年のうちに絶滅する可能性がある」と述べている。

マルハナバチが姿を消している主な要因は、これまでに観察されているマルハナバチの限界を超えた高温が、どの程度の頻度で発生したかに表れているようだ。実際に、極端な熱波の頻度は、平均気温の上昇よりも強く影響すると見られている。他の科学者は、病気や寄生虫、殺虫剤、生息地の喪失も要因となって「複合的なストレス」を生み出し、世界中でマルハナバチの死滅を引き起こしている可能性があると主張する。

生物種は、行動を変化させたり別の地域や高台に移動したりして、変化する条件にある程度まで適応できることが多い。だが、ブリストル大学の研究者による付随論文によれば、新研究は、道路や市街地を飛び越えて涼しい北の土地へと移動できる羽根がある生物種でさえ、「適応力」に限界があることを強調している。「気候がこのような限界を超えると、マルハナバチで観察されたような大規模な減少が、もっと広い地域と生物種で発生するでしょう」。

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