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AIに負けない子どもの能力を育てる「脳育体操」の極意

2020年01月29日 06時00分更新

文● 南 友介(ダイヤモンド・オンライン

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「心」を司る脳を刺激し成長させていくには、成功体験や自信をつけること(写真はイメージです) Photo:PIXTA

今年いよいよ開催される東京オリンピック。注目競技の一つでもある体操は、子どもの習い事ランキング(運動系)で2位になるほど今人気を集めています。その理由は、運動能力が上がるだけでなく、能力の土台である「脳」をベースアップさせることもできるからなのです。そこで前回に続き、「知育クラブネイス体操教室」の代表で元全日本体操選手権銀メダリストの南友介氏の初著書『AIを超える!子どもの才能は「脳育体操」で目覚めさせる!』(青春出版社)から、家庭内でもできる「脳育体操」について紹介します。

自宅が体操教室に!家で気軽にできる「脳育体操」

「脳育体操」は、すべて家庭内で行えるものです。6畳ほどのスペースがあれば十分です。体操によっては、家具やおもちゃなどがケガの原因になることもあります。できるだけ片づけたり、部屋の隅に寄せ、十分に注意してはじめましょう。年齢は、ゴールデンエイジと呼ばれる、3歳から9歳くらいのお子さんを想定しています。

 一度の体操でも脳への刺激になりますが、繰り返し行うことで神経回路は強固になります。楽しみながら、どんどん行ってください。やり方やレベルはありますが、お子さんがオリジナルのルールを生みだしたり、より難しいことをしていたら、一緒にチャレンジしてみてください。それがお子さんの成長のサインです。

 今回は脳育体操の一つである「うさぎジャンプ」を紹介します。このうさぎのようにピョンピョンと跳ぶ動きは、思い通りの速さとタイミングでスムーズな体重移動を実現させていかなければなりません。先を読む力、リズム力、空中でのバランスを取る調整力も同時に養われ、計算力や協調性の成長につながっていきます。

 お子さんがピョンピョンとリズムよく跳べるようになったら、いかに少ない回数でゴールまで到達できるか挑戦させてみましょう。5回がひとつの目安ですが、それ以上を目指してもかまいません。子どもが限界まで挑戦するようになるということは、チャレンジする力が養われている証拠です。新記録が出たら一緒に喜んで、たくさんほめてあげてください。

「うさぎジャンプ」は計算力アップにも効果的!

 ではなぜ、「うさぎジャンプ」で計算力のアップにつながるのでしょうか。「うさぎジャンプ」は異なる動きを、止まることなく一連の動きの中で一瞬一瞬組み合わせて行っています。頭で考えていてはとても追いつきません。うさぎジャンプをしながら、先を読む力、リズム力、空中でのバランスを取る調整力も同時に養われているのです。そのため脳では○○したらこうなるなという計算力にも通じる判断力の回路が強固になっていきます。

 また、うさぎジャンプでは跳んだ数が明確にわかります。「5mを3回で進む」のように数値化しやすいため、子どもにとって目標を定めやすくなります。すると、「5回で行けた! 3回でいくにはあと一歩前に手を着いてみよう」というふうに、どうしたら目標達成ができるかイメージしやすくなります。

 すると、チャレンジ力や目標を達成するためにやり抜く力、段階を追ってできたという自信から生まれる自己肯定感が養われます。

成功体験が子どもの「自己肯定感」を育てる

 子どもは、できそうでできないことに没頭するものです。何度もくり返し、チャレンジするのが好きです。ゲームがやめられないのもそういうことなのかもしれません。

 子どもの遊びにつき合っていて、「もう一回!もう一回!」となかなか遊び終えてくれず、そのしつこさにうんざりした経験のある方も多いと思います。しかし、しつこくくり返すのは、挑戦を続けているという場合でもあり、悪いこととも限りません。そうやって子どもは、できないこともやがてできるようになっていくのです。

 できるようになると、今度はそれを誰かに見せたくなります。家で体操をやることは、子どもにとっていつでも観客がいるということ。ですから、子どもがひとりで体操を楽しむことができるようになっても、「ねえママ、見て!」「パパ、何回できるか数えてね!」という声には、できる限り応えてあげていただきたいと思います。自分の身体や動きをコントロールできたという充実感や有能感を、親や家族、時によっては友だちに見てもらうことで、自信や自己肯定が芽生えます。

 この時、見ているほうのほめ方や接し方も重要です。子どもに「認められた!」「これでいいんだ!」「もっとやってみよう」と思わせるような表情や態度、声かけができるといいですね。子どもは嬉しくなって、何度も「パパ!」「ママ!」と呼ぶと思います。この「見て見て!」の声かけが、多ければ多いほど、そうしたことのくり返しが多いほど、さらに挑戦する気持ちへとつながり、運動だけでなく勉強など別のシーンにも必ず活かされることでしょう。

 こうして、実際にできたこと、努力したことに基づく正しい自己肯定が強まれば、思い込みで人を見下したり人のせいにばかりしたりするといったような「間違った有能感」を持つこともないはずです。

AI時代に重視されるのは「非認知能力」

 今後ますます重要になってくるのは、自信、自己肯定感、自制心、柔軟性、想像力、社会性、協働力、回復力、やり抜く力といった「非認知能力」。こうした力は、AIがますます台頭するこれからの時代には、非常に重要になっていきます。

 これまでは、点数や偏差値、すなわち認知能力がその人の能力を表していて、能力を認められるには暗記型中心の学習をしていればよかったでしょう。しかし、そのような能力はAIがいくらでも取って代わることのできる時代になっていきます。そこで求められるのが、非認知能力なのです。これは、机上の勉強では身につけることのできない、心に根ざした能力です。

「心」を司る脳を刺激し成長させていくには、成功体験や自信をつけることです。この点で体操は、他のスポーツよりも「子どもができるかどうかのギリギリのライン」を設定しやすいため、「できた!」「もう1回やりたい!」「自分にもできる!」という子どもの小さな成功体験や自信を、うまく積み重ねていけます。

 また、非認知能力は、何かに夢中になったり没頭したりすることで育まれます。心理学では「フロー」と呼び、心理学者チクセントミハイ博士は、フローが大きなモチベーションにつながる「フロー理論」を提唱しました。チクセントミハイ博士によると、「フロー理論とは“自分を高めていくための発達のモデル”であり、人は何かに夢中になる(フロー)経験を通して、自分の持っている能力をさらに伸ばすことができる」というのです。

 ここで言う「能力」とは、「非認知能力」と等しいと考えていいと思います。フロー状態にあるときには、「穏やかな心(精神的健康)」「折れない心(精神的回復力)」「チャレンジする心(視野が広がりクリエイティブに)」「コミュニケーション力・包容力(思いやる力)」といった、非認知能力が伸びていきます。

 では、なぜ体操は他のスポーツに比べてフロー状態になりやすいのでしょうか?それは「やってみたい!」と子どもの興味を引く動きがあることと、やってみて失敗・成功がわかりやすいからです。

 没頭するきっかけは興味です。興味があるから行動します。子どもに「やってみたい!」と思ってもらうことが効果や効能を求めるよりもずっと重要です。脳育体操には子どもたちの興味を引きやすい、見た目にもわかりやすい動きが多くあります。

 このように、他のスポーツに比べて動きの要素が多い脳育体操は、子どもたちの興味を引きやすく、挑戦してみたときの失敗・成功がわかりやすい。しかも難易度を設定することもかんたんです。成功体験を積み重ねることで、ますます夢中になっていく。子どもが才能を開花させるベースを体操で培うことができるのです。

 これからの時代の変化に負けず、生き生きと自分の好きな道を選び取れる子どもを目指して、ぜひお家で「脳育体操」を実践してみてください。

※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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