フラッグシップの10シリーズにより一層近づいた内容に
新製品のSA-12OSE/PM-12OSEは、「12シリーズの潜在能力を限界まで引き出した日本国内専用モデル」という位置づけで開発した。その開発には、サウンドマネージャーの尾形氏の意図が存分に取り入れられているため、社内では“尾形スペシャルエディション”とも呼ばれているそうだ。
改良ポイントを見ていく。まず筐体に、10シリーズと同じ銅メッキシャーシを採用し、S/N感の改善に大きく貢献したという。静けさの表現ができることで、よりダイナミックな表現が可能となった。
トップカバーも、10シリーズ同様、厚さ5mmのアルミ板を使用。アルミは非磁性体で、鉄は磁性体。この違いが音質に影響を与えるポイントなのだという。尾形氏によると「音質検討時はトップカバーを外して調整を加えることが多いが、トップカバーに収めた瞬間に空間が狭くなる感覚を味わうことがある」そうで、トップカバーがない状態に近づく素材の選択が重要だとする。
フット部についても、素材自体は同じだが、ダイキャストから無垢アルミの削り出しとしている。ここもS/N感の改善やより澄んだ響きの実現につながるという。
結果、外観は上位の10シリーズとほぼ同等。特にSACDプレーヤーについては寸分たがわぬものとなった。
内部の回路については、抵抗部分に手を加えている。12シリーズでも要所要所に10シリーズに匹敵する良質な抵抗を使っていたが、新製品では、さらに周辺の細かな部品までハイグレードなものとした。「ここが音の滑らかさにつながった」と尾形氏は話す。
なお、コンデンサーまわりに手を入れれば、音の変化を出せるが、そこは敢えて変えない方針とした。理由は、従来の12シリーズと同じ方向性で、グレードだけを底上げしたかったためだという。