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平成ガメラ3部作を中心とした、貴重な展示が満載の「特撮のDNA」展が開催!

2020年01月23日 17時30分更新

文● MOVIEW 清水 編集● ASCII

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 映画やテレビに空想の世界を現実の風景として描き出す特撮。その技術を日本映画に取り入れた円谷英二氏の故郷福島県で2016年に初開催された「特撮のDNA」展は、東宝特技監督の仕事にフォーカスした2016年、怪獣造形師をテーマにした2017年、特撮技術者たちの夢をテーマにした2018年と続いてきた。

 そして2018年末からは東京都の日本工学院専門学校「ギャラリー鴻」にて「ゴジラからシン・ゴジラまで」、そして今回の「平成ガメラの衝撃と奇想の大映特撮」と開催されている。平成ガメラ3部作の貴重なプロップなどを中心とした展示は見応え十分で、特撮ファンなら一見の価値のある展示会となっている。今回はこの展示について紹介しよう。

1月26日まで開催されている「特撮のDNA」展

ガメラのフォルムが変化していく平成3部作のプロップ

 1965年に第1作が公開された『ガメラ』シリーズは、1995年から金子修介監督による平成ガメラ3部作と呼ばれる3作品が制作される。今回の展示会ではこの3部作にて使用された撮影プロップが多数展示されている。

『ガメラ 大怪獣空中決戦』に登場したガメラを用いたCM用に作られたスーツ

 コンピュータ上でギミックなどを設定して動かすCGではこうした撮影プロップ自体が存在しないが、CGがまだ少なかった時代に、怪獣などをリアルに画面に登場させるために様々な工夫がなされていたことがわかる。海外の特撮作品などでも撮影プロップが経年劣化などにより失われつつあり、一部は四半世紀以上が経過している撮影プロップがこれだけ多く展示されるのは非常に貴重な機会である。今回展示されている中から一部紹介する。

:『ガメラ 大怪獣空中決戦』で用いられた撮影プロップ

『ガメラ 大怪獣空中決戦』のメカニカル・マペットの頭部。他にも海用やアップショット用など、用途に合わせたスーツが作られている

『ガメラ 大怪獣空中決戦』ではガメラの肘にエルボークローが収納されており、攻撃に使う際に飛び出す設定となっている。これはそのエルボークロー用の肘パーツ

『ガメラ 大怪獣空中決戦』でヒロイン・草薙浅黄とガメラが心を通わせる象徴として登場する勾玉

『ガメラ 大怪獣空中決戦』でのガメラ飛行モデル

『ガメラ 大怪獣空中決戦』の最も印象的なシーンである、ギャオスが東京タワーに営巣するシーンで使われた、遠景用のギャオス

 平成ガメラ3部作ではガメラ自体の体が戦闘向けに進化していく。第2作である『ガメラ2 レギオン襲来』の撮影プロップでは、ガメラの顔つきがより精悍になっているのがわかる。

『ガメラ2 レギオン襲来』に登場するガメラ。牙がかなり鋭くなっている

『ガメラ2 レギオン襲来』でのガメラの飛行形態は、両手が翼のように変形する。このプロップはその際のパーツ。手前にあるのはダメージを受けた際の表皮

『ガメラ2 レギオン襲来』でのガメラの飛行モデルのメカニック仕様

『ガメラ2 レギオン襲来』で、ガメラがエネルギーを放射するウルティメイト・プラズマの際の腹のパーツ

『ガメラ2 レギオン襲来』での敵レギオンは草体、飛翔体などと姿を変える。これは巨大レギオンが放出する無数の兵隊、ソルジャーレギオンのスーツ

『ガメラ2 レギオン襲来』の巨大レギオンのメカニカル・マペット。ガメラに比べて圧倒的な体格差を有する

『ガメラ2 レギオン襲来』でレギオンによって仙台が壊滅した際、その爆発で炭化してしまうガメラ

 平成ガメラ3部作の完結編として制作された『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』ではギャオスの変異体といわれるイリスがガメラの敵として登場し、京都駅で激闘を繰り広げる。

『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』の展示用スーツ。ガメラの甲羅がかなりとげとげしくなっている

『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』では顔つきも険しい

『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』の敵イリスは成長とともに姿を変えるが、このプロップは幼体の腹部に取り付けられていたパーツ

『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』のイリスの成体となった姿。普段は角川大映スタジオの「Kitchen Cafe GAMERA」に展示されている。「Kitchen Cafe GAMERA」は関係者だけが利用できるレストラン・カフェ

『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』でガメラに恨みを持つ比良坂綾奈の憎悪の念を糧にするため、綾奈を取り込んだイリスの繭のひな形。造形は竹谷隆之氏が担当している

『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』のイリス成体の頭部モデル

『小さき勇者たち~ガメラ~』に登場するガメラも

 平成3部作の後しばらく制作が途絶えたガメラであったが、2006年、田﨑竜太監督により『小さき勇者たち~ガメラ~』が制作される。シリアスで大人向けだった平成3部作に比べ、ファミリー映画として描かれた本作では、子供ガメラが登場するが、その撮影にはケヅメリクガメが使われた。今回展示されていなかったが、成長してトラックで運ばれたガメラのプロップは河津にある動物園iZooに譲渡され展示されている。

『小さき勇者たち~ガメラ~』に登場するガメラは、主人公からトトという名を付けられる

『小さき勇者たち~ガメラ~』でトトの敵となるジーダス

ジーダスはかなり凶暴な顔付き。これは撮影で使用されたスーツの頭部

大映は多彩な特撮映画を提供してきた

 大映は1940年代から映画制作をしてきた老舗映画会社だ。ガメラ以前にもSFや歴史スペクタクル、妖怪ものなど多数の特撮映画がある。今回の展示会ではさすがにプロップなどはなかったが、その系譜がわかるようにポスターが展示されていた。

大映で制作された数々の映画。『釈迦』は日本初の70mm映画として知られている

『宇宙人東京に現わる』のロビーカード。登場する宇宙人は岡本太郎氏がデザインしている

ガメラと並び、大映特撮を代表するのが『大魔神』3部作。これは角川大映スタジオ入り口に立つ武神像のひな形

こちらは魔神像のひな形

角川大映スタジオに立っている、実際の武神像と魔神像の様子。入り口と比べるとその大きさがわかる。この入り口横にあるショップまでは誰でも利用できる。

「特撮のDNA」では物販もガメラだらけ!

 こうした展示会でのもうひとつの楽しみが物販だ。大映特撮作品のDVDやオリジナルTシャツ、海洋堂のフィギュアなどが並んでいたので紹介しよう(以下の写真は2020年1月10日時点)。

さまざまなガメラグッズが並ぶ物販コーナー

大映作品のDVDも多数販売

オリジナルTシャツの数々

怪獣災害戦略ボードゲーム「ボルカルス」は12月に発売開始されたばかりで、どこも品薄で入手しづらくなっている。パッケージデザインは怪獣絵師として有名なイラストレーター開田裕治氏のイラストが用いられている

   

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