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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第77回

プライバシー尊重はブランドイメージになる:

アップル、iPhoneロック解除めぐりトランプ大統領と対立

2020年01月22日 09時00分更新

文● 松村太郎 @taromatsumura 編集● ASCII

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●エッジ・コンピューティングとプライバシー

 アップルの基本的な方針は、ユーザーの情報を極力収集しない、端末から外に出さない、というものです。そのため、iPhoneを使っているとしょっちゅう許可を求められます。

 カメラを起動するとき、写真のアルバムへのアクセス、連絡先のアクセス、そして位置情報の利用……。特に位置情報はiOS 13でうるさくなりました。「このアプリが何回、あなたの位置情報を参照した。このまま許可しておいていい?」とユーザーに言いつけてきます。それだけ、ユーザーが知らないところで情報が使われていることを、知ってもらおうとしています。

 またアップルは、Safari、マップ、カレンダーなどを使う場合、ログインしなくてもSiriを通じて端末内から情報を発見したり、アプリ同士で情報を連携させる利便性を実現しています。写真アプリも、夜充電している間に、自動的に写真を端末内で解析し、被写体を言葉で検索できるように準備しています。

 そのために、アップルはiPhone Xから、ニューラルエンジンと呼ばれる機械学習処理のためのプロセッサを搭載し、端末内で機械学習処理、AI学習の恩恵に授かれるようハードウェア開発をしています。ちなみにこの流れは、グーグルもPixelで追随するようになりました。

 こうして、クラウドに頼らず、iPhoneの中で情報を賢く活用できる仕組みを実現しつつあります。これをエッジ・コンピューティングと呼んでも良いでしょう。iPhoneのロックを解除できる利用者本人のみが、それらの情報にアクセスできる原則を実現しているのです。

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