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ウクライナのエネルギー企業にロシアがサイバー攻撃、FBI捜査へ

2020年01月21日 07時39分更新

文● Patrick Howell O'Neill

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Burisma

ロシアの軍事諜報機関が関与するハッカーからハッキングを受けた、とのウクライナのエネルギー会社ブリスマ(Burisma)の被害届を受け、ウクライナ当局は捜査を開始した。同社は次期米国大統領候補であるジョー・バイデンの息子が役員を務めていた企業。1月16日、ウクライナ当局は米国連邦捜査局(FBI)に捜査協力を要請した。

ポリティコ(Politico)の報道によると、米国の議員は報告されたハッキングについて、さらに詳しい情報を要求している

米国のサイバーセキュリティ会社のエリア・ワン・セキュリティ(Area 1 Security)は13日、ブリスマを標的にしているのは、民主党全国委員会のサーバーが攻撃された2016年の事件と同じロシアのハッカーであることを明らかにした。2016年のハッキングは、ロシアによる前代未聞の組織的な選挙干渉キャンペーンとして米国の諜報機関によって認定されている。報道によると、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が設立したエンターテイメント会社、第95街区(Studio Kvartal 95)も同じハッカーに狙われていたという。

エリア・ワンは、ロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)の関与を指摘している。このハッカー集団は「ファンシー・ベア(Fancy Bear)」あるいは「APT28」と呼ばれており、世界的にも先進的かつ熟練した、政府支援を受けた悪名高いハッキング・グループの1つとされる。 ロシア大使館にコメントを求めたが、回答は得られなかった。

いまだ多くの疑問が残っている。ハッキングが成功したのかどうか、具体的にどのような情報を盗む目的だったのか、ハッキングを企てた背景に何があったのか、また、ハッキングを試みた結果どうなったのかなどは明らかになっていない。サイバーセキュリティ専門家は、技術面に関する詳細情報の提供が相対的に不十分だと批判しており、事件についてのより詳しい情報を求めている。

2016年、民主党全国委員会とヒラリー・クリントンの選挙陣営から盗まれたメールは、年間を通じて戦略的に漏洩されていた。

ハンター・バイデンが役員を務めていたブリスマは、父親であるジョー・バイデンが次期大統領選挙に立候補したことを受け、ドナルド・トランプ大統領がウクライナ当局に対してジョー・バイデンを捜査するよう圧力をかけたとされ、注目を集めている。米国下院議会ではトランプ大統領の弾劾が可決される事態に発展し、上院での審理は21日から始まる予定だ。

ブリスマとFBIにもコメントを求めたが、回答はまだ得られていない。

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