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佐々木喜洋のポータブルオーディオトレンド 第2回

Bluetooth新規格など、CES から見える2020年のポータブルオーディオ事情

2020年01月12日 16時00分更新

文● 佐々木喜洋 編集●ASCII

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1年の製品トレンドを予想する上でも重要なCESが1月7日から10日まで、アメリカのラスベガスで開催された。ここでは主にCESでのオーディオ関係の発表を紹介する。

CESでBluetoothの新規格「LE Audio」が発表される

 今年のCESでの最大の目玉といってもいいだろう。Bluetooth規格の標準化団体であるBluetooth SIGからBluetoothオーディオの新規格「LE Audio」が追加されるということが発表された。LE Audioで改良されるポイントは主に次の3つだ。

1 マルチストリームによる完全ワイヤレスへの対応

Bluetooth SIGの解説ページ

 従来のBluetoothオーディオでは、送信側(スマホなど)から1つのオーディオ機器にしか音楽データの伝送ができなかった。左右が独立している“完全ワイヤレスイヤホン”では、左右どちらかでいったんデータを受け取り、もう一方に転送する手続きが必要だった。さらに電波を通しにくい人間の頭部をまたいでの通信となるため、左右ユニット間の音切れの問題が発生した。LE Audioではスマホから左右ユニットの両方に直接音楽データの伝送が行えるのでそのような問題は解決される。

2 ブロードキャストが可能

 これは1台のプレーヤーから多数の機器に、同時に音楽を流すものだ。LE Audioでは二つの新しい使い方を提案している。1つは自分の聴いている音楽を友人と共有するという使い方、そしてもう一つはロケーションベースのもので、例えば空港やジムのラウンジ内にいる客のみに音楽サービスを提供する使い方である。

3 新しいLC3コーデックの導入による改良

 従来、Bluetoothの標準的なコーデックはSBCだったが、SBCは音質がいいとは言えない古い規格であった。LE Audioでは「LC3」(Complexity Communications Codec)と呼ばれる新しいコーデックが採用される。これはBluetooth SIGによる官能評価テストでも、従来のSBCよりも「音がいい」という評価が出ているという。また、SBCの半分のデータレートで済むということで、ハードウエアの低電力化(電池の持ちの向上)にも貢献すると思われる。

 なお、従来の規格は「Classic Audio」と呼ばれ並存することになるので、従来製品を使い続ける上で問題はない。正式な規格の発布は、2020年の第1四半期となり、LE Audioに対応する製品やICの登場は少し先になると思われる。

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