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セブン「元日休業は直営店だけ」に加盟店オーナーの不満爆発

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セブンイレブン
Photo:123RF

セブン-イレブンの加盟店は2020年も“柔軟な働き方”を認めてもらえないようだ。セブン-イレブン・ジャパンは2020年の元日に都内の50店で休業実験を実施する。ところが、対象となる店舗は全て本部が運営する直営店だ。セブンの加盟店オーナーからは、「なぜ加盟店だけが元日営業を強いられるのか」と不満の声が上がっている。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)

特殊な立地を除き、元日は売り上げダウン
求人数は通常の2倍で、人件費はアップ

 コンビニエンスストア業界最大手のセブン-イレブン・ジャパン(SEJ)は12月、都内の50店で、2020年の元日に閉店する“実験”を行うと明らかにした。ところが、対象となるのは全て本部の直営店。フランチャイズ契約を結んでいる加盟店は一切、実験に参加できないのだ。

 本部との団体交渉などを求める加盟店オーナーで作る「コンビニ加盟店ユニオン」は12月24日に記者会見し、年末年始の営業時間を自由に選択できるよう求める声明を発表。SEJ本部にも申し入れをした。

 ユニオンのメンバーで、東京都のセブン-イレブン江東亀戸2丁目店のオーナーである吉村英二さんは、「もしも元日に休業することができれば、多くの加盟店は増益になる」と指摘する。

 吉村さんによれば、初詣客が集まる神社仏閣の近くや観光スポットといった例外的な店を除けば、元日の売り上げは一般的に低迷するという。吉村さんの店舗はJR亀戸駅にほど近い場所にあるが、「元日の1日の売り上げは、365日の中で一番低い」と話す。

 そして、普段通りの売り上げが見込めなくとも、商品を陳列する必要があるが、売れ残ってしまう。「普段より仕入れを絞るが、それでも食品の廃棄は出る」(吉村さん)。そして、廃棄する食品の仕入れ原価の大半を加盟店が負担するのが、コンビニにおけるフランチャイズ契約のルールだ。

 また、店を開ける以上、従業員を確保する必要がある。しかし、年末年始の休暇を望む従業員は多く、人手を確保できなければ、オーナーはインターネットの求人仲介サイトなどを活用し、短期アルバイトの担い手を探さなくてはならない。

 同ユニオンが、短期アルバイト仲介サイト「ショットワークス」のデータを基に分析した結果、18年12月20日のコンビニの求人数を1.0とした場合、同12月31日は1.78、19年1月1日は2.00と跳ね上がったという。元日とその前後は短期バイトが集まりにくく、もしも採用できても、通常より高い時給を支払う必要があるのだ。そしてコンビニでは、人件費はオーナーの負担だ。

 2020年1月1日、SEJの直営店だけが休みを満喫でき、開業を強いられる加盟店は減益になる――。

 もちろん、立地に恵まれ、従業員を無事確保して増益になる店舗もあるだろう。「他の小売店が閉店している分、買い物客はコンビニに集まりやすい」(あるコンビニ大手幹部)という声もある。しかし、元日に好条件の立地ばかりではない。だからこそ、元日の営業や休業を選べる、営業時間の“自由な選択”を求める声が上がっているのである。

経産省の会議でも見直し求める意見
「直営店の実験は無意味」の声も

 SEJに限らず、コンビニ大手首脳は「人手不足と言われるが、まともな能力のあるオーナーはちゃんと従業員を確保している」と口にすることが多い。オーナーは元日であっても、自己責任で従業員を確保しろ、というスタンスだ。

 ただ、SEJの親会社であるセブン&アイ・ホールディングス(HD)傘下の総合スーパー、イトーヨーカ堂は2020年から、全国159店のうち16店で元日休業する。さらに同グループの食品スーパー・ヨークマートは、78店のうち、実に4割に当たる35店が元日休業する予定だ。社員の“働き方改革”のためだという。セブン&アイ・HD以外の小売りや外食企業でも近年、元日や深夜の店舗休業が相次いでいる。

 経済産業省が設置した有識者会議「新たなコンビニのあり方検討会」では、事務局からの報告書の骨子案が12月23日に示された。ここでは、営業時間だけでなく休業日についても「働き方改革の観点から、店舗の事情に応じて柔軟に認めることを検討すべき」との文言が入った。

 さらに複数の委員から、「より強い表現に改めるべきだ」とか「“喉元過ぎれば熱さを忘れる”にならないよう、改善の進捗を確認すべきだ」といった声が上がった。このため、最終的な報告書はより踏み込んだ内容になる可能性がある。

 SEJとは対称的に、業界2位のファミリーマートと3位のローソンは、元日の加盟店の働き方改革に着手している。

 ファミマは「店長ヘルプ制度」という既存の制度を活用。これは本部社員1人が午前9時から午後5時45分まで店舗に入り、その間オーナーが休むことができる制度だ。利用する加盟店は元日が109店で、12月31日から1月2日にかけて合計320店が活用する予定だという。

 ローソンでは全国の102店が元日休業する計画で、全て加盟店だ。10月の決算会見で希望する加盟店を募ると発表した竹増貞信社長は、「元日に休めることで、加盟店のオーナーや従業員にとっての働きがいにつながる」と話した。

 一方のSEJは、「当初は加盟店の参加も検討したが、元日休業によるさまざまな影響を考えた結果、直営店のみの実施になった」(セブン&アイ・HD広報センター)と説明。元日休業の実験に加盟店が参加できない理由について明確な答えは返ってこなかった。またSEJは実験の目的について、客の反応や物流面への影響を調べるとしているが、結果を公表するかどうかは未定だという。

 ファミマやローソンの関係者は、「加盟店の運営やオーナーの働き方は多様だ。社員が運営する直営店だけで実験をしても何の意味もない」と口をそろえる。SEJだけが時代の変化から取り残されていくのだろうか。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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