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沢尻エリカにピエール瀧、田代まさし…今年も相次いだ芸能人薬物事件の深刻

2019年12月25日 06時00分更新

文● 戸田一法(ダイヤモンド・オンライン

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第21回上海国際映画祭での沢尻エリカさん(2018年6月21日撮影)
第21回上海国際映画祭での沢尻エリカさん(2018年6月21日撮影) Photo: Imaginechina /JIJI

今年も薬物事件で著名な芸能人が摘発された。俳優でミュージシャンのピエール瀧さん(52)らが有罪判決を受け、6日には女優の沢尻エリカ被告(33)が起訴された。沢尻被告と瀧さんはいずれもNHKの大河ドラマで撮影が進んでいたが、事件の発覚で急遽(きゅうきょ)代役を立てる事態に。事件が明るみに出るたび大きなニュースになるため、本人も「止めなくては」と自覚するはずだが、常習性・依存性からか、薬物事件はなかなか絶えることがない。沢尻被告の初公判は年明け1月31日に開かれる予定だ。(事件ジャーナリスト 戸田一法)

「私も危ないのでは」と危機感

 沢尻被告が起訴されたのは麻薬取締法違反の罪だ。起訴状によると、11月16日、東京都目黒区の自宅マンションで、カプセル入りのMDMAを含む粉末約0.19グラム、LSDを含む紙片約0.08グラムと液体約0.6グラムを所持したとされる。

 沢尻被告は11月16日朝、銃器や薬物の捜査を担当する警視庁組織犯罪対策5課にMDMAを所持していたとして逮捕された。

 家宅捜索では、マンション一室の棚に置いていたアクセサリーケースにチャック付きの小さなポリ袋に入ったカプセル2錠が見つかった。逮捕時、沢尻被告は「私の物に間違いありません」と容疑を認めたという。

 その後の組対5課の調べに「MDMAは数週間前、イベント会場で貰った」「これまでLSDや大麻、コカインを使ったこともある」などと供述。

 さらに「初めて薬物を使ったのは10年以上前」と長期にわたり、常習的にさまざまな薬物を使っていたことを示唆した。ただし、尿鑑定では上記の薬物成分は検出されず、「使用」での起訴は見送られ、「所持」のみが問われることになった。

 そして「有名人が逮捕されるたび、私も危ないのではと注意していた」「気持ちのどこかで、私のところに警察は来ないだろう」と危機感を感じながら、たかをくくっていたことをうかがわせる供述もあったようだ。

やめられない常習性と依存性

 そして、起訴された6日、東京地裁は沢尻被告の保釈を決定。保証金の500万円は現金で納付されたという。

 同日夜、勾留先の東京湾岸書から保釈されたが、沢尻被告を乗せた黒い車はカーテンが引かれ、表情などをうかがうことはできなかった。

 その後、本人が「たくさんの方々に大変なご迷惑とご心配をおかけしましたことを、心よりお詫(わ)び申し上げます」「多くの方々を裏切ってしまったことを心の底から後悔しております」などの謝罪コメントを発表。

 そして「今後、違法薬物と決して関わりを持つことのないよう、人間関係を含めたつながりを一切断つことを固く決意し、専門家の指導も受けて、立ち直ることをお約束します」と誓い、保釈後に医療機関へ向かったことを明らかにした。

 所属事務所は「弁護士も含めた専門家の指導の下、更生するための支援をいたします」などとするコメントを発表した。

 沢尻被告は東京都出身。2004年に「問題のない私たち」で映画デビュー。05年には朝鮮学校が舞台の映画「パッチギ!」でヒロイン役を演じ、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した。

 07年には主演映画の舞台挨拶(あいさつ)で司会者の質問に「別に…」と不機嫌そうな発言を繰り返し、物議をかもしたことも。12年の映画「ヘルタースケルター」で日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞。

 そして、来年放送のNHK大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」には主人公である明智光秀の主君、斎藤道三の娘・帰蝶(後の織田信長の妻・濃姫)役で出演することが決まり、収録も始まっていた。

 大河ドラマといえば、今年は同じ麻薬取締法違反の罪で執行猶予付きの有罪判決を受けた瀧さんも「いだてん」が放送されていたさなかの3月、主人公が履くマラソン用の足袋を開発した足袋店の店主を演じており、出演者が差し替えられる事態になった。

 瀧さんは公判で検察側に「20代のころから違法薬物を使用するようになった」と長期間にわたって手を染めていたことが指摘されていた。

 大河ドラマに重要な役として出演が決まっていた時期に、2人は違法薬物との関係を断ち切れていなかったことになる。

 もし摘発されたら、どうなるか…。それが念頭になかったはずはない。それでも止められなかったというのが違法薬物の常習性、依存性の怖さなのだろう。

再犯繰り返し怖さ示す

 沢尻被告が所持していたとされるMDMAやLSDは、いずれも合成麻薬で、日本では麻薬取締法で所持や使用が禁止されている。

 MDMAは俗に「エクスタシー」と呼ばれ、1980年代後半以降、欧米の若者を中心に広まった。興奮や幻聴、幻覚の作用があり、電子音楽を大音量で流すダンスイベントなどで使われるようになった。

 精神的に高揚し、他者との共感性が得られる特質もあるため集団で使われることが多く「パーティードラック」とも呼ばれる。

 出回り始めたころは白い錠剤が多かったが、最近はゲームのキャラクターが刻まれたカラフルなものなども現れ「罪の意識がなく、サプリ感覚で使用しているのではないか」と指摘する声もある。

 LSDは「エル」などとも呼ばれ、元々は医薬品として開発された。60年代ごろからアメリカでヒッピーや芸術家らの間で流行。幻覚や幻聴の作用があり、音楽や絵画に反映され「サイケデリック・アート」が生まれるきっかけになった。

 60年代後半には世界的に規制されたが、多幸感が得られるなどとして、80年代後半に再び一部で使用されるようになった。

 本来は透明な結晶だが、液体で製造することも可能で、水溶液を染み込ませた紙片や錠剤、カプセルなどの形状でも密売されている。

 いずれも強い依存性があり、精神障害や睡眠障害、内臓の機能不全を引き起こすこともある。

 そうした違法薬物の怖さについて身をもって示しているのが、覚せい剤取締法違反の罪で6日、4度目の起訴となった元タレントの田代まさし被告(63)だろうか。

 これまで計約7年間服役し、薬物依存者向けのリハビリ施設「日本ダルク」でリハビリプログラムを受けながらスタッフとして行動。

 更生支援イベントで講演するなど、薬物の恐ろしさを説いていたが、やはり断ち切れなかったようだ。

 田代被告は逮捕された宮城県警の調べに「(覚せい剤は)私のものに間違いない。夏ごろから使っていた」と容疑を認めているという。

 止めたくても止められないという恐怖は、使ったことがない人には分からないだろう。しかし、そんな恐怖は一生、知らずにいたいものだ。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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