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関電次期社長レースの行方、原発マネー問題で「改革派」は劣勢に

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記者会見する関西電力の第三者委員会のメンバー
記者会見する関西電力の第三者委員会のメンバー Photo: JIJI

関西電力の役員らが福井県高浜町の元助役から金品を受け取っていた問題を調査している第三者委員会は、調査報告書の取りまとめを越年する方針を明らかにした。報告後に辞任する意向を示していた岩根茂樹社長の後任人事も年明け以降になる見通し。“改革派”とされた社長候補は劣勢に転じている。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)

第三者委員会の調査報告は越年
社長の後任人事も年明け以降に

 関西電力の八木誠元会長や岩根茂樹社長ら役員20人が、高浜原子力発電所が立地する福井県高浜町の元助役から3.2億円相当の金品を受け取っていた「原発マネー還流問題」で、関電が設置した第三者委員会は15日、記者会見を開いて調査の進捗状況を説明した。

 これまでに、関電の経営中枢にいた約110人に委員が直接ヒアリングしたほか、関電社員約600人への書面調査も実施した。社員のパソコン内のメールやデータなども復元し、分析を進めている。

 第三者委の但木敬一委員長は「調査すべきことは全て調査した上で答えを出したい」と現時点での詳細については言及を控えた。

 また、調査の進捗状況について、「量的に言えば5合目を超えたが、質的な意味では分からない。調査を進めると奥が深い問題が出てきた」とし、「年内に報告書をまとめるのは、もはやまったく無理」と越年する方針を明らかにした。

 岩根社長は調査報告後に辞任する意向を示していた。このため、空席となっている会長職に加えて岩根社長の後任人事も年をまたぐ見通しだ。

 社外取締役らでつくる「人事・報酬等諮問委員会」で、現在の取締役6人から内部昇格させる方針は決まっている。さて、この中で次期社長として有力なのは誰か。

次期社長レース筆頭は森本副社長
改革派の稲田副社長は劣勢に

 次期社長レースの先頭を走るのは、森本孝副社長(64歳)だ。

 森本氏は企画や営業部門が長く、電力業界関係者によれば、手堅さと安定感に定評がある。

 岩根社長はすでに表舞台から姿を消し、大手電力会社10社でつくる電気事業連合会の会長職は辞任した。各社の社長が集う電事連の定例会合には現在、関電の事実上の“顔”として森本氏が出席している。

 森本氏の対抗馬は、稲田浩二副社長(59歳)だ。今年6月の株主総会で常務から副社長に昇格。通信や企画畑を中心に歩み、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進役を担っている。

 稲田氏は岩根社長の懐刀とも言われ、今年の株主総会で副社長に昇格したのも、岩根社長が引き上げたというのがもっぱらの評判。つまり、岩根社長は稲田氏を次期社長候補として期待していた節がある。

 岩根社長は、原発の再稼働促進はもちろんのこと、DXの実現に意欲を示していた。だからこそ、稲田氏の担務にIT戦略室を付けたとみられる。

 社内の一部からはDX推進役である稲田氏が社長に就任すれば、関電の“改革”の象徴になると期待を寄せられていた。ところが、関電の原発マネー還流問題で岩根社長が辞任することが決まった。後ろ盾を失った稲田氏の旗色が悪くなったとの見方が出ている。

 原発マネー還流問題により、そうした改革の火も消えてしまうのかもしれない。

会長は外部招聘案が浮上も
「成り手がいない」

 空席となっている会長職については、外部から招聘する案も浮上している。

 モデルとなるのは、東日本大震災による福島第一原発事故の影響で、事実上国有化された東京電力ホールディングスだ。東電は2012年以降、会長職に外部経営者を招いていている。現在は川村隆・元日立製作所会長が会長を務める。

 東電の原発事故と関電の原発マネー還流問題は同列に語れないとしながら、関電のガバナンス体制を立て直すために外部から大物経営者を招くべきという意見は強い。

 もっとも、関西経済界のトップ企業である関電の会長を引き受ける人物がいるのかという問題はある。ある関西財界関係者は「誰も火中の栗を拾いたくないし、関電の会長職は恐れ多いというのもあって、成り手がいない」とこぼす。

 いずれにせよ、関電の新経営陣に待つのは茨の道である。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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