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キオスクは駅ナカコンビニとどう違う?ファンに愛される独自路線とは

2019年12月17日 06時00分更新

文● 松嶋千春(ダイヤモンド・オンライン

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昨今は鉄道乗降客数の減少に伴い、キオスクの撤退・統合が進んでいるが、JR東日本のキオスクは2015年より新業態「NewDays KIOSK」への転換が始まっており、他の鉄道会社も駅ナカ売店をコンビニチェーンへと転換。さらに自動販売機オートキオスクの増加やセルフレジの導入など、時代に合わせた進化を模索中だ。そんな首都圏キオスクの軌跡をたどる。(清談社 松嶋千春)

おじさん需要に
頼れなくなったキオスク

浜松町のニューデイズ
かつておじさん向け商品ばかり売っていた「駅の売店」は、新聞や週刊誌、タバコが売れなくなると、次々にコンビニに転換していった

 昔ながらの駅ナカ売店はいつのまにか姿を消し、続々と見慣れたコンビニへと転換を遂げている。2006年にJR東日本の100%子会社となったJR駅構内の売店「KIOSK」は、2015年より新業態「NewDays KIOSK(キオスクを自社展開しているコンビニ・NewDaysのマイクロショップ)」への転換が進んでいる。

 マーケティングアナリストの渡辺広明氏(「やらまいかマーケティング」のサイトはこちら)は、従来の駅ナカ売店について、次のように振り返る。

「POSレジの導入が進み、販売員の暗算の職人芸は必要なくなりました。また、従来の売店で売られていたものといえば、スポーツ新聞、雑誌、たばこ、ガム程度なもので、おじさん向けのラインアップでした。食べ物も菓子パンが1~2種類置いてあるぐらいで、女子が寄り付くような場所ではありませんでした」(渡辺氏、以下同)

 週刊誌の販売額は、取次ベースで1995年に4000億円あったものが、2012年には2000億円に半減(『出版指標 年報 2018年版』より)。男性喫煙率の下げ幅を10年単位で見てみると、1968年78.5%、78年74.7%(-3.8ポイント)、88年61.2%(-13.5ポイント)、98年55.2%(-6ポイント)、2008年39.5%(-15.7ポイント)、18年27.8%(-11.7ポイント)と、ここ20年間の下げ幅が著しい(日本専売公社およびJTによる調査より)。

「時代とともに新聞やたばこといった主力商品の売り上げが減り、JR東日本の100%子会社となる06年以前から落ち目になる兆しは出ていて、壊滅的になる前にコンビニ『NewDays』主体の経営に切り替えたのではないでしょうか。NewDaysで蓄えたコンビニのノウハウを携えて、2015年以降は手薄だったマイクロショップの業態転換に乗り出したのだと予想します」

駅ナカへのコンビニ出店は
メリット尽くし

 首都圏では、JR以外の鉄道会社の売店も、2000年代半ばから続々と大手コンビニ化を進めている。京急は09年にセブン-イレブン、西武鉄道は07年にファミリーマート、東急は12年にローソンと共同開発した店舗へと転換した。売店がコンビニ化したことによって、おじさん中心だった客層は、大幅に広がりを見せたという。

「おにぎりやサンドイッチといった中食の品ぞろえが充実して、女性や若年層も気軽に利用できるようになりました。それに、駅ナカは常に人の往来があるため、街中に出すよりも売り上げを確実に取れるし、販売予測も立てやすい。いうなれば“繁盛閉鎖商圏”です。鉄道会社にとってもコンビニチェーンにとっても、乗降客数の見込める駅ナカへ出店するメリットは大きいのです」

 セブン、ローソン、ファミリーマートといった大手コンビニチェーンのマーチャンダイジングをたたえる一方で、渡辺氏はもの寂しさも感じているようだ。

「大手チェーンは店舗数も生産ロットの規模も大きいため、日々商品は進化していますし、売り場構成も抜け目がありません。それは便利な一方で、全国どこに行っても店が同質化してしまうということにもつながります。安心感があるのはいいのですが、多様性が失われてしまうのは少し残念ですね」

商品も決済も
独自路線を行くNewDays

NewDaysの売り場は、大手コンビニの店舗とは違う、独特の品揃えが魅力である

 一方、NewDaysやNewDays KIOSKの品ぞろえや取り組みは、大手チェーンとは「ある意味、一線を画している」と渡辺氏は言う。

「大手のコンビニでは年間約5000品の新商品が出て、うち約7割の3000品もの商品が入れ替わります。超売れ筋商品を除くと、なかなか特定の商品に対して固定客がつきづらいんですよ。ところが、NewDaysには『なんでこれ置いてあるの?』と目を見張りたくなるような商品が散見されます」

 確かに、NewDaysには、大手チェーンでは見かけないご当地の果物を使用したドリンクが置いてあるし、ターミナル駅では旅のお供を想定した独特のチョイスが目立つ。渡辺氏が「NewDays KIOSKでつい買ってしまう」と言って目の前に取り出したのは、森永のキャラメル『ハイソフト<ミルク>』だ。

「小学生の頃から買っていた、昭和の懐かしい商品。普通のコンビニだと真っ先に売り場から淘汰されそうなものですが、駅ナカだと利用頻度が高くなるがゆえ、固定客がつきやすいのかもしれません。こういうロングセラー商品に出合えるのは、魅力のひとつですね」

 決済方法についても違いがある。JR東日本エリアのキオスク、NewDays、NewDays KIOSKでは、大手コンビニがこぞって導入しているQRコード決済には未対応だ。そこには、時間に追われる客が訪れる駅ナカ店ならではの事情と、Suicaという強固なプラットフォームの存在がある。

2019年7月30日にJR中央線武蔵境駅にオープンしたキャッシュレス・無人店舗「NewDays 武蔵境 nonowa口」

「JR東日本に限っていえば、JRを利用する人のほとんどはSuicaを持っていて、囲い込みが自然とできています。QRコード決済はいちいちアプリを立ち上げてバーコードを表示させる手間が必要ですが、SuicaはICカードもスマホもかざすだけ。この簡便さが時間のないユーザーにフィットしていますし、セルフレジの利用もスムーズにいくのではないでしょうか」

 改札付近の広い店舗でじっくり商品を選びたい人もいれば、ホーム上の小型店で軽食をパッと買って乗り換えまでに小腹を満たしたい人もいる。「あれが欲しい」と思いたったタイミングでアクセスできる駅ナカコンビニは、忙しくわがままな現代人の移し鏡と言えるだろう。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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