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精度の高いAI-OCRとRPAの連携を一気通貫で実現

紙の帳票処理をRPAに持ち込むオートメーション・エニウェアの「IQ Bot」

2019年12月11日 14時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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 2019年12月11日、RPA製品を提供するオートメーション・エニウェア・ジャパンは、最新のアップデートを説明する説明会を開催。RPAの市場動向やパートナービジネスの概況を披露するとともに、紙の帳票をRPA処理に持ち込むAI-OCR「IQ Bot」について画面を見ながら説明した。

オートメーション・エニウェア・ジャパン パートナーマーケティング 米田真一氏

高い? 難しい? 日本語化されていない?の誤解に答える

 サーバー型RPAを中心に幅広い自動化ソリューションを展開するオートメーション・エニウェア。冒頭、登壇したオートメーション・エニウェアでパートナーマーケティングを手がける米田真一氏は最新のアップデートを披露。顧客数が3500社、デジタルな派遣社員を意味するデジタルワークフォースは本番展開がすでに170万を超えることをアピールした。「1社あたり500ものロボットを使ってもらっている。2020年までに300万のデジタルワークフォースにし、世界最大の雇用者になっていきたい」(米田氏)。

2020年には300万のデジタルワークフォースを目指す

 2019年は大企業のRPA導入が一巡したが、RPAで成果を出せないところも多いという。成否の分かれ目は、業務ユーザーが主体となって内製化を推進できるか否か。しかし、開発ツールが難しかったり、外注することで開発コストが高騰し、開発が停滞してしまうことも多いという。

 オートメーション・エニウェアの直近のアップデートでは、フォーミュラー1チームのマクラーレンとパートナーシップを締結したほか、セールスフォースやソフトバンクなどによる2億9000万ドルのシリーズB調達を実現した。また、同社のRPAサービス「Enterprise A2019」をMicrosoft Azureから提供開始。内製化を推進するボット開発のマーケットである「Bot Store」も10万ダウンロードを突破し、RPAのas-a-Serviceもいよいよ開始した。

 日本では100社以上のパートナーがビジネスを活性化させている。たとえば、大阪のシー・システムはボットに関して質問し放題というサービスを提供するほか、コニカミノルタジャパンやソフトバンクもオートメーション・エニウェア製品の販売を開始した。また、JBCCもAzure上でのRPAの運用サービスを提供。日立ソリューションズはRPA運用を支援するクラウドサービスやJP1やAJS3、Workatoとの連携を推進している。

 このようにパートナービジネスも順調なオートメーション・エニウェアだが、今でも「価格が高い」「難しい」「日本語化されていない」という誤解があるという。これに対して米田氏は、「価格に関しては、サーバーを入れた価格では主要RPAソフトの中でも安価な部類」と説明。また、難しいというイメージはリスト型に加え、フロー型にも対応するため、ドラッグ&ドロップで選択していくだけという操作性をアピール。さらに無料版を含めた製品自体、ドキュメント、サポート、トレーニングまで日本語化が完了していると説明した。

オートメーション・エニウェアの3つの誤解

複数のOCRエンジンが選択できるインテリジェントなAI-OCR

 オートメーション・エニウェアは「Automation Anywhere Enterprise」というRPAプラットフォームを基盤に、モバイルアプリ、アナリスティックツール、IQ Bot、そしてマーケットプレイスであるBotStoreなど包括的なアーキテクチャを提供している。このうち今回のテーマとなるIQ Botは紙の帳票イメージから構造化データ(CSV)を取り出し、RPAによる自動処理を可能にするAI-OCR機能になる。全データの8割におよぶ非構造化・半構造化データをRPAが処理できるデータに変換していくのが、自動化成功の鍵だという。

 IQ Botでは帳票のフォーマットをAIが自動分類してくれる。1グループにつき1帳票を学習させるだけで、項目とラベルの位置関係を認識してくれる。また、AbbyyやMicrosoftなど複数のOCRエンジンを内蔵しており、インスタンスごとに最適なものを選択できるという特徴もある。

 IQ Botの事前設定としては、取得項目を定義するためにサンプル帳票をアップロードする。これにより、AIが画像を解析し、書類をフォーマットごとに分類する。次にフォームやテーブルフィールドのマッピングをAIが自動定義するので、こちらは人間が手動で訂正していく。あとはGUIメニューからトグルをクリックするだけで、本番環境でのプロダクション化が可能になる。

IQ Botの処理の流れ

 本番環境後は人間が訂正した結果を学習でき、読み取り精度を継続的に向上させることが可能になる。通常のビジネスユーザーが使いこなせる高いユーザービリティが大きな売りだが、ITスペシャリストがより高度な設定も行なえる機能も用意されている。

 最新のIQ Bot 11.3.3はOCRエンジンにMicrosoft Computer Visionを追加し、英数字の手書きに対応。また、Pythonを用いたカスタムロジックの定義が可能になったほか、パフォーマンスも従来に比べて25%程度短縮しているという。現状は鉄鋼、自動車、建築、電気機器業界で用いられているミルシートや貿易業務、グローバル企業向けのインボイスなど英数記号の文書がメインだが、2020年は日本語の活字や手書きの識字率をより向上させるという。

RPAとシームレスに連携する強み

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