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ファミマ澤田社長激白、加盟店の過度な負担「反省している」 ファミリーマート・澤田貴司社長インタビュー

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ファミリーマート・澤田貴司社長
Photo by Yoshihisa Wada

加盟店の時短営業を、本部との同意を条件とせず容認する方針を11月14日に打ち出したファミリーマート。澤田貴司社長が●日までにダイヤモンド編集部のインタビューに応じ、「従来の加盟店への支援策では、まだ足りない。より加盟店に寄り添った経営判断が必要だ」と真意を説明した。時短営業店の増加で配送などのコストがかさんでも、本部が吸収すると強調。また、コンビニエンスストアで売れ残った食品の廃棄が問題視されていることから、廃棄量を減らした加盟店に奨励金を支払う制度を検討していることを明らかにした。(聞き手/ダイヤモンド編集部 岡田 悟)

加盟店の利益を重視してこなかったことを反省
規模拡大よりも既存店を大事にする方針に転換

――11月に、本部との同意がなくても加盟店が深夜に閉店する時短営業をできるようにした方針を発表した狙いを教えてください。

 コンビニ市場は既に飽和しているとの認識から、2016年のサークルKサンクス(CKS)との経営統合以来、約1万9000店だった店舗規模を1万6500店程度まで減らしました。規模拡大よりも、既存店を大事にする方針に転換したためです。

 私がファミリーマートの社長に就任した16年以降、設備投資のほとんどを既存の加盟店支援に回してきましたが、それでも足りない。人件費など店舗の運営コストの上昇が続いており、「苦しい」という声を、前々からLINEで繋がっているオーナーとのやり取りの中で聞いてきました。

澤田貴司社長
Photo by Y.W.

 また今年6~7月には時短営業の実験をしました。その結果、時短をしても、(人件費負担の減少により)オーナーの手取り収入が増加したケースもあった。現在継続中の600店超が参加している大規模な実験の結果を待たずに、より加盟店に寄り添った経営判断をすべきだと考えました。

 私自身も反省していますが、本部はこれまで加盟店の利益を重視してこなかった。本部が店舗の従業員の人件費や社会保険料を負担する必要がなく、それが本部にとって都合がいいと考えてきたことが問題だったのです。

時短による配送ルート変更のコストは吸収できる
食品廃棄量を減らした加盟店への支援も検討中

――6~7月に実施した加盟店向けのアンケートでは、全体の48.3%にわたる7039店が、時短営業を「検討したい」と回答しました。

 例えば時短実験に参加しても、やはり24時間営業に戻したいという加盟店もおられます。7000店以上がすぐに時短を始めるという状況だとは考えていません。とはいえ、7000店以上のオーナーがそのように考えておられるという事実を受け止め、今後対応できるようにしないといけない。

 時短実験では、商品の配送ルートの変更に伴って本部のコストが若干増えていますが、本部はそれを吸収することができる経営にしないといけません。できないこともあるかもしれませんが、何があってもわれわれ本部が加盟店に合わせていくという覚悟が必要です。

――加盟店支援に毎年100億円を投じる方針も発表しました。

澤田貴司社長
Photo by Y.W.

 具体的な内訳は、24時間営業する加盟店に支払う奨励金を、月額10万円から12万円へと増額するために30億円。複数店経営をする場合、店舗数に応じてお出しする奨励金に50億円。売れ残って廃棄する食品のコストの本部負担分の増額に20億円と、計100億円を投じます。

 廃棄については、今年からうなぎの蒲焼きなどといった季節商品を完全予約制にしました。また、仕込みに時間がかかり、売れ残りの多いおでんの販売を推奨する期間を、7カ月間から3カ月間に短縮しました。加えて、まだ具体的には申し上げられませんが、廃棄そのものの量を減らした加盟店に奨励金を出す仕組みを検討しています。

――セブン‐イレブン・ジャパン(SEJ)やローソンは、販売期限が迫った食品を5%分のポイントを還元して売り切る仕組みを実験しています。

 5%分のポイント値引きでは、インパクトは大きくないでしょう。一方で、いわゆる「見切り販売」で30%程度の値引きをすれば、値引きされた商品ばかりが売れてしまい、値引きしていない商品が売れ残って、逆に廃棄する量が増えるといった問題も起こります。廃棄負担を軽減したり、廃棄量を減らしたりする仕組みは簡単ではないので、慎重に検討していきます。

本部は商品とマーケティング機能を重視したうえで
加盟店と地域に“異常”に密着して成果を出す

――本部社員の1割にあたる800人の希望退職の募集も併せて発表しました。

 CKSとの統合直後から店舗数は減らしましたが、本部の人員は減っておらず、生産性は明らかに落ちています。経営統合前の会社で各部門を率いていた人材もおり、構造改革で社内のポストがなくても、社外にポストはあると思います。

 構造改革の狙いは人員整理だけではありません。従来の「小売業」という感覚を忘れなきゃいけない。(商品開発や製造など)メーカーのような機能とマーケティング機能がより重要です。既存の社員にはそれを勉強してもらうし、中途採用も増やします。

 一方で加盟店対応をする社員には、より一層地域に根差し、加盟店を理解して貢献することが求められます。(沖縄県のエリアフランチャイズの)沖縄ファミリーマートは、7月にSEJが出店し、近隣の店舗はやや影響を受けましたが、全体として既存店の売り上げは増えています。沖縄ファミマが従来取り組んできた、地元企業や団体とベタベタに組んだ地域“異常”密着の商品開発やマーケティングの成果です。本部がチェーン一律でやり方を押し付ける時代はもう終わりです。他の地域でも経営判断を委ねたうえで、こうした施策ができるようにしていきます。

 例えば兵庫県の淡路島では従来、担当の本部社員が神戸市から自動車で明石海峡大橋を渡って島内の加盟店を回っていて、効率が悪かった。そこで6人の社員が島に住むようにしました。加盟店オーナーと一緒に地元の祭りに参加したり、釣りをしたりと綿密なコミュニケーションを取るようにすると、オーナーの満足度が高まり、既存店の客数も増えました。

 人口約13万人の淡路島は、ある意味で閉じられたコミュニティーのため、住民の法事などの予定もすぐわかる。効果的な営業活動ができ、ウナギの蒲焼きの注文も非常にいい。淡路島ではトライアスロンの大会があり、私と社員で参加しました。社員は3人ずつの2チームで、1人ずつラン、バイク(自転車)、スイムの3種目に分かれ、私は3種目とも1人でやって彼らに勝った(笑)。彼らには「13万人の顔と名前を全部覚えるぐらい、もっと激しく地域に密着しろ」と言っています。

――ファミマのキャッシュレス決済システム「ファミペイ」で、11月から始まった「マルチポイントサービス」では、カルチュア・コンビニエンス・クラブの「Tポイント」に加え、楽天の「楽天スーパーポイント」、NTTドコモの「dポイント」が選べます。これによってポイント相当額の負担が増加するとの声が加盟店から上がっています。

 加盟店のポイント相当額の負担は増えますが、ポイント付与による店舗への送客効果も期待できます。キャッシュレス決済は不可欠なサービスで、われわれはSEJやローソンに先駆けて導入しました。この面で、他のチェーンに劣後するわけにはいきませんし、通信大手などとの連携がなければ、大規模なポイント付与のキャンペーンもできません。決済手数料負担を下げるなどの企業努力をわれわれもしないといけませんが、これから出てくる(マルチポイントサービスの)数字を見て、明らかに加盟店に多大なコストが生じる状況であれば対応を考えます。

 加盟店側に不満があるとすれば、やはり経済的に潤っていないということが根本的な原因です。今回打ち出した施策で問題が解消したとは思っていません。立ち止まることなく加盟店の意向を聞いていかないといけないと考えています

ドミナント出店する時代は終わった
収益の見通しの立たない出店はしない

――SEJでは社員による商品の無断発注が問題になりました。ファミマでは今年3月から、本部社員の人事評価で、売り上げなどの定量評価の割合を7割から3割に減らし、加盟店側の評価を3割から7割へと増やしました。このような評価方法で売り上げの維持や伸長は可能ですか。

澤田貴司社長
Photo by Y.W.

 売り上げを目標にしなくても、本部の収益が落ち込む心配は全くありません。それよりも、本部の社員が加盟店と共により地域に密着し、加盟店をサポートして、その要望を実現できることが重要です。一時的には本部の収益が落ちるかもしれませんが、再び上昇するでしょう。ファミマでの無断発注は、私が経営している中では発生していません。

――現状、約1万6500店というファミマの店舗規模は今後どうしますか。またSEJの既存店日販(1日当たりの売上高)が65~66万円で、ファミマは53~54万円と大きな差があります。どうやってこの差を縮めますか。

 先ほど申し上げた本部の構造改革に加え、加盟店に寄り添った施策と、地域への権限譲渡、そして地域“異常”密着に取り組めば、成果はじわじわと出てくるのではないかと見ています。新規出店はやりますが、東京や大阪、名古屋を中心とした都市圏で可能なエリアだけ、ということになるでしょう。ある一定の地域でドミナント(集中出店)して商品の配送効率を上げて、という時代は終わりました。収益の見通しの立たない出店はしません。あくまでも既存店の売り上げを伸ばしていくことを重視します。

さわだ・たかし/1981年4月伊藤忠商事入社。98年11月ファーストリテイリング取締役副社長。2003年2月キアコン設立、社長就任。05年10月リヴァンプ設立、社長(兼)CEO。16年3月、ユニー・ファミリーマートホールディングス(UFHD、現ファミリーマート)顧問。16年4月リヴァンプ会長。16年5月UFHD取締役専務執行役員社長付。16年9月旧ファミリーマート社長。17年5月UFHD取締役副社長執行役員事業統括本部CVS事業部長。18年3月UFHD取締役副社長CVS担当。19年5月UFHD社長。UFHDによる旧ファミリーマートの吸収合併により同年9月から現職。

※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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