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「外国人お断り」物件では生き残れない!?不動産業界にも国際化の波

2019年12月05日 06時00分更新

文● ジャイアント佐藤(ダイヤモンド・オンライン

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外国人労働者が増え続ける中、いまだに「外国人お断り」物件は少なくない。しかし、日本人の人口は減少し続けているのだから、賃貸不動産業界も、この変化に対応していかなければならない。「外国人OK」を掲げる不動産ポータルサイトなどに話を聞いた。

「外国人お断り」物件が
いまだに多い日本

家探しのイメージ
外国人向けに賃貸物件を貸している不動産会社は、トラブル防止のために様々な工夫をしている(写真はイメージです) Photo:PIXTA

 総務省が行った調査によると、2019年1月1日時点で日本に住む外国人の人口は過去最多の266万7199人となった。そして4月には入国管理法が施行された。日本ではそれまで、外国人が日本に居住して働くことは制限されていた。それがこの改正法により、労働者としての外国人の受け入れが始まったのだ。

 今後、日本における外国人人口はさらに大きく増加することが見込まれる。日本人の若年人口は減少の一途をたどる中、外国人労働者が貴重な働き手になることも想像にたやすい。

 そこで重要になるのが外国人の部屋探しだ。

「部屋探し」で苦労をしている外国人は非常に多い。原因はまずは何といっても言葉の壁だ。また「礼金」など日本独特の引っ越し文化に戸惑ったり、ゴミの出し方が悪いなど貸主から外国人に向けられる誤解なども大きな障害となっている。

 いまだに外国人というだけで「部屋を貸さない」と一切取り合わない大家さんも多い。これでは日本人の数が減り、外国人数が増加していくという、変わりゆく人口構造に対応できるわけがない。

 そこで今回注目したいのが、WEB上から英語や中国語で不動産を探せるサービス「realestate.co.jp」。各不動産業者が「外国人でも借りられる物件」だけを掲載するポータルサイトだ。このサービスを運営するリアルエステートジャパン(東京都港区)営業部長の山本淳一さんに話を聞いてみた。

自らの苦労を反映して
生まれたサービス

「有益な情報で日本における引っ越しの壁をどんどん下げていきたい」と話す、リアルエステートジャパンの山本さん

「realestate.co.jp」の前身サービス「GaijinPot」が生まれたのは1999年。アメリカ、オーストラリアから来た2人の青年が作り出した。当時はまだインターネットも今ほど普及しておらず、本人たちも情報不足により、職探しや部屋探しで、自分たちの想像をはるかに超える苦労をしたという。

「特に部屋探しにおいて、当時は日本語が話せない外国人が自力で部屋を探すのは、ほぼ無理だったようです。日本人の友人、勤め先の助けが必須だったと聞きました」(山本さん)

 そこで彼らは、自分たちのような外国人が日本で不便なく暮らせるように「GaijinPot」というWEBサイトを立ち上げた。これは英語をはじめとする多言語での「職探し」「学校探し」「部屋探し」「掲示板による情報交換」を主な内容として、外国人と日本をつなげる情報発信プラットフォームだ。その後「部屋探し」部門が大きく成長して2006年「realestate.co.jp」としてスピンアウトしたのだ。

 賃貸情報で約3万9000件、売買情報で2000件から3000件を取り扱う「realestate.co.jp」。多くの外国人ユーザーがこの不動産サービスを利用している。

 同サービスは不動産情報の掲載、マッチングサービスにとどまらない。日本で引っ越しをする際の知識、タウン情報、外国人に人気の日本の街など「徹底的な外国人視線で有益な情報を提供すること」に徹している。

「情報量では大手不動産情報サイトにはかなわない。当社では、いかに訪れて役に立つのかを追求することにより、価値のあるサイトを作り上げているのです」(山本さん)

 同社では外国人ライターを雇い、「日本に訪れた外国人による記事作成」も行っている。

語学堪能なスタッフを配置
ゴミ出しなども丁寧に説明

 それでは部屋を貸す側にとっては、外国人に貸すことにはどんなメリットがあるのだろうか。

「realestate.co.jp」に自社管理物件を掲載しているカイロスマーケティング(東京都目黒区)CEOの高桑良充さんに聞いてみた。

「日本では人口減少がどんどん進んでおり、空室の多い物件が目立っています。そこで自社管理物件に、増えゆく外国人の方にどんどん住んでもらうことにしました。これによって稼働率は格段にアップします」(高桑さん)

 稼働率を上げることは、不動産管理会社としては貸主から最も高い信頼を得られるポイントだという。また富裕層外国人の受け入れ先物件はたくさんあっても、いわゆるブルーカラーの外国人を受け入れる貸主はまだまだ少ない。そこを受け入れることは、借主の外国人にとっても大きな助けとなるのだ。「貸主と借主、両者にとって助けとなるサービスなんです」と高桑氏は話す。

 外国人が引っ越しをすることの妨げになっている言葉の壁や常識の問題は、どのように解決しているのだろうか?

「まずは語学堪能なスタッフを配置して、しっかりと多言語で対応させています。いくら『realestate.co.jp』のような便利なサイトに登録しても、実際に内見に連れて行ったり、契約をする不動産業者が全く話せないのでは意味がありません。一貫したサポートが必要なのです。またゴミ出しなども、外国人にしっかりと説明をしていない業者が多いのも現実です。当社では写真などを利用したり、クイズ形式にしたりしてわかりやすく日本における暮らしのルールを説明しています」(高桑さん)

 日本人の減少、外国人労働者増加による需給バランスの変化に、賃貸不動産業界は対応していく必要がある。今後、こうした取り組みは業界に広がっていくだろう。

(ジャイアント佐藤/5時から作家塾(R))


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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