望遠レンズは猫をコッソリ撮れるのがいい
公園でくつろいでた近所のおばさまが「その猫は人なつこいのよ」というので試しに指を伸ばして……もちろんその前にズームレンズは広角側に戻しておく……指を伸ばしてみると、くんくんとくいついてくれた。
レンズキットのレンズ、望遠側が150mm(35mm判換算だと300mm相当)と強力で、その上軽いのがいい。難しいよねえ。写りが抜群なレンズって、レンズ径が大きくてよいガラスを使ってて頑丈に作られてるから、だいたいにして太くて重くて高い。不意に出会った猫をさっと撮るには、軽くて細くて取り回しやすいレンズの方がいい。まあ、両方を揃えて使い分ければいいのだけど。
望遠に強いお手軽高倍率ズームレンズだと、遠くの猫をコッソリ撮れるのもよい。秋冬は陽射しが低く奥の方まで陽が差すので、ネコが大好きな灌木の下まで日向になるのである。暑い夏は日陰に、寒い秋冬は日向になるという猫がくつろぐにはもってこいの場所なのだ。
そこで気持ちよさそうに寝てる猫も望遠でこっそり狙ったら、起きる気配ゼロなのでギリギリまで寄って撮らせてもらった。
さてそろそろ帰るかとぶらぶら歩いてると、古ぼけたアパートの階段の上に白黒の猫がちょこんと日向ぼっこしてるのを発見。お、と思ってカメラを向けた瞬間、2Fの廊下から貫禄のあるチャトラのぬーっと顔を出したのだ。予想外でびっくり。ピントを白黒猫に合わせてたので思わず出てきたチャトラがボケちゃったけど、ファインダーを覗いた瞬間にぬぼっと現れたのである。
そして、トコトコと階段を降りて来るではないか。横にいた白黒の猫も「え? なんでいきなり出てきたん?」って顔でびっくりしてる。
階段下にいるわたしの方に向かってきてるのか、もしやなんかもらえると思っているのか、遊んでほしいのか、たまたま降りようとしたらわたしがいたのか。わくわくしてレンズを咄嗟に広角側に戻して待ってると……、わたしの前をしれっと通り過ぎ、道路の端っこにずでっと伏せたのであった。何をしたかったんだこの巨大な猫は。
手を伸ばして撫でようとするといやがってちょっと移動するも、またずでんと転がる。遊んでほしいわけではなさそうだ。やはり猫は面白い。
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老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/
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