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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第70回

「iPhone関税」の発動が迫っている:

なぜアップル「Mac Pro」は米国製なのか

2019年11月28日 09時00分更新

文● 松村太郎 @taromatsumura 編集● ASCII

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●アップルの売上に大きなインパクト

 実は、iPhoneなどのスマートフォン向けの中国からの輸入関税は12月15日まで猶予されています。どうやらトランプ大統領も猶予期間内にホームボタンがないiPhoneを手に入れたようですが、関税がかけられると、少なくとも15%、iPhoneの価格に上乗せされる可能性があります。

 アップルはこれまで、Apple Watchやその他アクセサリに対して既に発動している関税を肩代わりしてきました。AirPodsについては、少なくとも米国向けだけは中国以外のアジアへと製造拠点を変えたようです。

 しかしiPhoneに関税がかけられ、しかもそれをアップルが肩代わりする場合、売上高に大きなインパクトが加わります。iPhoneの売上高は全体の半分。もし米国の販売分に15%の関税がかかり、それをアップルがかぶるなら、単純にそれだけ売上高が減ってしまうことになります。米国内の販売比率は35%なので、2.5〜5%のインパクトです。

 アップルのiPhoneは昨年に比べて10%以上の下落を続けています。そうした中でさらに売上高の押し下げ要因である関税が防げなければ、2020年もiPhoneの売上高が浮上できないままとなってしまします。

 はたして今回のオースティン作戦で、トランプ大統領を満足させることができたのか。iPhoneへの関税は免れるのか。ふたたび「米国内でiPhoneを作れ」と突き放されてしまうのか。12月半ばまでに、なんらかの決定がなされるのではないでしょうか。


筆者紹介――松村太郎

  1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

※追記:米国でのiPhone販売比率と、関税がかかったときのインパクトについて文章を追加しました。(11月28日)

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