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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第70回

「iPhone関税」の発動が迫っている:

なぜアップル「Mac Pro」は米国製なのか

2019年11月28日 09時00分更新

文● 松村太郎 @taromatsumura 編集● ASCII

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 米国時間11月20日、テキサス州オースティンを訪れたトランプ大統領は、アップルの「Mac Pro」製造工場を視察し、ティム・クックCEOと会談しました。

 クックCEOは声明で、「史上最も強力なアップル製デバイスであるMac Proをオースティンで製造することは、誇るべきことであると同時に、米国人の創造性が持つ揺るぎない力の証でもある」と述べ、米国内で、アップルの最上位に位置するコンピュータを製造することを意義深くアピールしました。

 またトランプ大統領は製品の米国製造回帰について触れ、「誰もがそれは経済にとって悪いと発言しているが、今ティム・クック氏からも聞いたように、われわれの経済は世界で圧倒的に強い」と述べました。

●アップル in オースティン

 アップルはオースティンに新しいキャンパスを建設することを発表しました。このプレスリリースは日本では配信されていません。しかしこのリリースは、やはり、米国での雇用や製造業への貢献をアピールする意味合いが強いのです。

 オースティンは、毎年春にSxSW(サウス・バイ・サウス・ウェスト)が開催される場所であり、またアマゾンが買収した高級オーガニックスーパー、ホールフーズ・マーケット創業の地でもあります。筆者も何度か訪れたことがありますが、市街地は治安も良く、米国では珍しく夜22時を過ぎても女性が一人でジョギングをしているほどでした。

 オースティンのキャンパスは、10億ドルをかけて300万平方フィート(約27万平方メートル)のキャンパスを新設し、当初は5000人を収容、2022年までに1万5000人が働く環境を作り出すとしています。現在もアップルはオースティンに拠点を置いていますが、働いている人は約7000人。これから数年で50%も人員が増える予定です。

 米ABCで建築現場でのインタビューに応えたクック氏は、4年制の大学卒業はスキルではなく、アップルの従業員の15%しか大学卒の学位を持っていないと語りました。これまでも、大学の単位と求められるスキルのミスマッチを指摘してきた同氏ですが、今後もプログラミングやクリエイティブと言った新しいスキルを持っている人を、学位によらず登用していく方針であることが分かります。

 12月はコードを学ぶ時間を作り出そうという世界的なキャンペーン、アワー・オブ・コード(Hour of Code)に今年も賛同するとみられており、世界中のアップルスタジオでプログラミングのコースがこども向けに開放されると予測できます。

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