CINEBENCH R20で圧倒的なパワーが出るとなると、心配になるのは消費電力だ。そこでラトックシステムの電力計「BT-WATTCH1」を利用して計測した。システム起動10分後の安定値を“アイドル時”、「Prime95」のSmallFFTテストを10分動かした時の最高値を“SmallFFT”、そして「Blender」で“barbershop_interior_cpu”をレンダリングさせた時(レンダリング時間比較は次回紹介しよう)の最高値を“Blender”として比較する。
まず驚くのはCore i9-10980XEの消費電力の傾向だが、BSCを有効にするととにかく限界までパワーを使って処理する傾向がよく分かる。Core i9-10980XEのSmallFFTが空欄なのはBSODが出てしまうためだが、BSODを出さずにSmallFFTを10分持たせる設定を詰める時間はとれなかったため空欄としている。
さて本命のThreadripperだが、SmallFFT時は第2・第3世代ともにほぼ似通った消費電力となっている点に注目。Blender実行時は若干2990WXの方が低くなるが、これはTDPが250Wであることに関係がありそうだ。いずれの場合でも、消費電力をTDPの枠内に確実に収めようと、クロック制御がキッチリと効いていることを示している。これはRyzen 9 3950Xも同様だ。インテル製CPUとこの点が極めて対照的といえる。
まとめ:先代の欠点を完全に乗り越え、費用対効果で最強のHEDT向けCPUに進化
検証用機材が来たのが土壇場であったため、今回は基本的なベンチマークのみとなったが、それでも第3世代Threadripperの凄さは実感できた。Cascade Lake-Xの最上位モデルにマルチスレッド性能では負けることは(ほぼ)なさそうな印象だが、それ以上に先代Threadripperとの性能ギャップが凄い。
AMDは第2世代Threadripperを“コンテンツクリエーター向けのバリューゾーンCPU”として位置づけているが、メモリー帯域やPCI Expressのレーン数が効くシチュエーションでなければRyzen 9 3900Xや3950Xが控えているし、あえて使いどころの難しいWX付きの第2世代Threadripperを使う理由もないだろう。
第3世代Threadripperはマザーボードも交換になるのがやや辛いところだが、TRX40チップセットは今後長く使うために設計を変えているため、CG製作や動画編集をガツガツこなしたい人は、第3世代Threadripperに乗り換えるべきだろう。
だが、肝心のクリエイター向けの実アプリの処理性能、さらには超メガタスク状態におけるゲーミング環境の快適さなどについては、次回以降に検証するとしよう。
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