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ニコンが映像事業で初の赤字へ、オリンパス旧経営陣の釈明との「デジャブ」

2019年11月19日 06時00分更新

文● ダイヤモンド編集部,土本匡孝(ダイヤモンド・オンライン

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デジカメ大手の2020年3月期第2四半期(一部19年12月期第3四半期)決算が出そろったが、市場縮小の影響が止まらない。ニコンは通期見通しを下方修正し、映像事業で初めての赤字になると発表した。馬立稔和社長兼CEO(最高経営責任者)は「急速に縮小する市場への見通しが甘かった」と陳謝。構造改革で立て直しを図るが、映像事業はニコンの根幹なだけに失敗は許されない。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

デジカメ最大手のキヤノンに続き
やはりニコンも通期業績予想を下方修正

Nikon
Photo by Masataka Tsuchimoto

 ダイヤモンド編集部が既報した通り(8月1日配信のダイヤモンド・オンライン「最大手キヤノンですらピンチ!デジカメ市場に吹く『大逆風』」)、大手デジタルカメラメーカーの下方修正が止まらない。

 ニコンは第2四半期決算で、通期業績予想を下方修正。売上高6200億円(前回予想より500億円減)、営業利益200億円(同320億円減)、純利益170億円(同250億円減)とした。

 主な要因は映像事業の不振で、前回予想より売上高250億円減、営業利益220億円減。これにより、映像事業の通期営業損益予想はマイナス100億円(前期比320億円減)。同事業(映像カンパニー時代含む)で初の赤字となる。通期販売台数予想は、レンズ交換式デジカメ、交換レンズ、コンパクトデジカメいずれも10万台ずつ下方修正した。

「限られたパイの奪い合いがますます激しくなっている」「ミラーレスへの移行が遅かった」。馬立稔和社長兼CEO(最高経営責任者)は11月7日の会見で弁明に終始した。

 デジカメメーカーでは他に、キヤノンも今期3度目の通期業績予想の下方修正をした。下方修正はなかったものの、富士フイルムホールディングス、オリンパスも厳しい事業環境だと認める。

 スマートフォン内蔵カメラの高機能化や中国景気減速などを背景に、デジカメ各社は底が見えない市場減少に戸惑っている。

プロ・趣味層以外はほぼいなくなる?
中長期ニコン購買層の悲惨な見立て

 ニコンは今期と来期、映像事業の構造改革を進める。関連費用として今期50億円を計上し、来期も同規模を計上する予定だ。

 馬立社長兼CEOは「今まで以上に踏み込んだリスクコントロールが不可欠」「プロ・趣味層のさらなる満足度向上に資する戦略へ集中する」とし、製品開発の選別、拠点・販社・人員の最適化を進める。さらなる市場縮小下でも一定利益を確保できるようにするためだ。

 ニコンの売上高ベースの購買層イメージは、2019年3月期(約3000億円)は「プロ・趣味層」と「それら以外」が半々。それが中長期先になると、「プロ・趣味層」のボリュームを堅持するものの、「それら以外」がほぼなくなる厳しい予想だった。高機能化が進むスマートフォン内蔵カメラにさらにシェアを奪われることや、ニコン自身が初・中級機から手を引いていくことを意味するようだ。

 プロ・趣味層でボリュームを堅持するならば高級機であるフルサイズ規格、とりわけ成長市場のフルサイズミラーレスカメラで一定のシェアを得なければ話にならない。だが現状はそこも厳しい。

「他社と比べて製品そのもののクオリティーは問題ないのか」。会見では、フルサイズミラーレスカメラで次々と新機種を投入してフルサイズ市場(ミラーレスと一眼レフ)で18年世界シェア1位になったソニーを意識した厳しい質問が飛び出した。池上博敬映像事業部長は「競争力では課題があると考えていない」と答えるものの、「ニコンのフルサイズミラーレスは2機種なので機種数なりのシェア」とフルサイズミラーレスへの進出の遅れを認めざるを得ない苦しい説明となった。

映像赤字“先輩”のオリンパスと
同じ言い訳は許されない

 映像事業の位置付けを馬立社長兼CEOは「それでも根幹事業。応用範囲が広い貴重なアセット」と釈明し捲土重来を期すが、この発言にはデジャブが漂う。そう、オリンパスの歴代社長も常々、赤字の映像事業について似たような釈明をしてきたからだ。

 オリンパスの映像事業は、11年3月期以来、わずかに黒字だった1期を除いて毎年営業損失を計上している。だが両社の決定的な違いは映像事業の貢献度だ。今のオリンパスは医療事業が売上高の8割、営業利益のほとんどをたたき出し、かつて主力だった映像事業は見る影もない。それに対して、ニコンの映像事業は売上高の4割、営業利益の3割(19年3月期)を生んでおり、今でも根幹事業だ。言い換えればオリンパスには赤字部門を背負う余裕があるが、ニコンはまだそれが許されるほどには他事業(精機、ヘルスケア、産業機器など)が育ってきていない。

 構造改革の継続で21年3月期の映像事業も厳しい見通しのニコン。来期中には映像機器メーカーにとっても4年に1度の“書き入れ時”であるオリンピックの自国開催がある。だが、ニコンだけはお祭り騒ぎとはいかない状況になってきた。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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