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最新パーツ性能チェック 第271回

NULLことNVIDIA Ultra Low Latencyの効果をFPSタイトルで解析

Apex LegendsとR6SでGeForceの超低遅延モードを地獄の100本ノック検証

2019年11月10日 20時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●ジサトライッペイ/ASCII

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ヒストグラム(度数分布表)でもNULL“Ultra”の効果を確認

Apex Legends、デフォルト時のインプットラグをヒストグラム化したもの。60.42msと62.50msが最頻値となり、それ以上長いラグはほとんど出なかったことがわかる

Apex Legends、V-Syncオン時のインプットラグをヒストグラム化したもの。最頻値は56.25msになり、山の頂がデフォルト時より左に寄って一見、ラグが短くなったように見えるが、64.58~66.67msのラグの長い部分も多い

Apex Legends、G-SYNCオン時のインプットラグをヒストグラム化したもの。特別高い山は出なくなり、50~62.5msまでのコンパクトな範囲に収まっているように見える

Apex Legends、NULL“On”時のインプットラグをヒストグラム化したもの。ここでは52.08msを出したサンプルが最多だが、58.33~60.42msの山も割と多めだ

Apex Legends、NULL“Ultra”時のインプットラグをヒストグラム化したもの。これまでの条件ではまったく出なかった37.5~43.75msのサンプルが出現。ただし、50ms以上のラグを示したサンプルも1割強は観測された

 NULLを“Ultra”にすることで、インプットラグは劇的に短くなるのがヒストグラム上で確認できた。そして、これらのデータを箱ひげ図にしたものが下のグラフだ。見方については検索することをオススメするが、縦に2つ並んだ箱2つの区間に全体の50%のデータが入り、上下に伸びるひげに残り25%ずつのデータが入る。箱やひげが上下に短いほど“中心的なデータが狭い範囲に分布している”ことを示す。グラフは縦軸がインプットラグなので、低いところにある条件ほど優秀ということになる。

Apex Legendsのインプットラグを箱ひげ図にしたもの。×印が各条件における平均値を示している

 明らかにNULL“Ultra”設定時だけ飛び抜けてインプットラグが短く、さらに下のひげから箱の上部まで(75%のデータが収まっている範囲)はどの条件より短い。もうこれで「効果アリ」で〆てもいい気がするが、他の条件はデフォルト時に比べ違いがあるのか、も含めて統計的に検証してみたい。

 今回も格ゲー編と同様にt検定を使って、デフォルト時と統計的に有意な差があるのかを検証する。有意水準p=5%(0.05)とし、t検定で算出されたp値(下表の「p(T<=t)両側」)が0.025(5%の2分の1)より小さい場合は、デフォルト時とは明らかに違うデータが得られた、という意味になる。

Apex Legendsのインプットラグのt検定結果。Excel内蔵の分析ツール「等分散を仮定した2標本における検定」を利用して出力

 算出された「p(T<=t)両側」が0.025を下回る、つまり「統計的に見て偶然得られたとは言えない」ほどの差がついた条件は、V-Syncオン時とNULL“Ultra”時の2つ。つまり、V-Syncをオンにするとインプットラグが増えたのは偶然でなく、NULL“Ultra”については箱ひげ図で見た通り、文句なしにお墨付きが出せる結果だ、ということになる。NULL“Ultra”の「p(T<=t)両側」は小さすぎて指数表記になってしまったが、これを小数に直すと「0.000000000000000000000000000000000000000000451」となる。

 そして、G-SYNCオン時とNULL“On”時に関しては、箱ひげ図やヒストグラムでは何か効果が出たように見えるが、統計的には効果アリと支持するには至らない、ということになる。Apex Legendsをプレイするなら、NULLは“Ultra”一択ということになる。

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