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肉食ナベコの「なんでも食べてみる」 第542回

25年ぶりにリニューアル。でも変化はわかりづらい

マクドナルドのフィレオフィッシュ、なにが変わったの?

2019年11月06日 17時00分更新

文● ナベコ

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フィレオフィッシュが25年ぶりのリニューアル。

 ごきげんよう、アスキーの食いしんぼう記者ナベコです。みなさん、マクドナルドのハンバーガーではどれが好きですか? 私はチキンフィレオ、チーズバーガーあたりが最近のお気に入り。シンプルなハンバーガーもよく頼みます。あと、かつてどハマりしていたバーガーのひとつはフィレオフィッシュ。

 フィレオフィッシュは1971年に日本にマクドナルド1号店がオープンした当時からメニューにあった定番中の定番。マクドナルド好きなら一度は食べたことあるのでは。そんなフィレオフィッシュが変わりました。

フィレオフィッシュ25年ぶりのリニューアル
なにが変わったの?

 マクドナルドの「フィレオフィッシュ」が10月から順次リニューアル。10月末には全店で切り替えが完了し、11月からどの店舗でも新しくなったフィレオフィッシュが味わえます。

10月末に、全店でフィレオフィッシュが切り替わりました。

 新しくなったフィレオフィッシュ、なにが変わったのでしょう?

 今回のリニューアルで変更したのはフィッシュポーション。フィレオフィッシュに使用している白身魚のフライのことですね。ハンバーガーだとパティにあたるメインの具材。

 フィッシュポーションの原材料はスケソウダラ。アラスカのベーリング海で獲れたものを使用しているそうです。

冷凍工程を2回→1回に

 今回、リニューアルのポイントは冷凍回数。従来は、2回冷凍の工程を経て店舗に運んでいたところ、新ポーションでは冷凍回数を減らして、1回冷凍へ。冷凍工程が減ったことで品質が向上したとうたいます。

冷凍工程を減らして、品質向上したとうたいます。

 マクドナルド主催の発表会で、新旧の食べ比ができました!

 新旧のフィッシュポーションを並べて比べてみました。わずかな差ですが、衣が旧ポーションは色みが濃く茶色系であるのに対して、新ポーションは軽やかなきつね色。中の魚の身も、新ポーションのほうがやや白いです。

左が新ポーション。やや、色みが明るいようです。

 フィッシュポーションを新旧食べ比べ。本来であればハンバーガーに入れるポーションのみを比較できました。中の具だけで食べられる機会ってなかなかありませんよね。

新ポーション。マクドナルドの社内の食材評価で、見た目的な美しさのスコアがアップ。

旧ポーション。

 マクドナルドの商品担当者は「ぜひ手づかみで召し上がってください」とのこと。アツアツのポーションを手でもってガブッといきましたよ。

フィレオフィッシュフィッシュの新旧ポーション、食べ比べてみました

 あ。

 新しいフィッシュポーションは噛んだ瞬間、ピュッと汁気が飛びました。あやうく服についてしまいそうに。わわわ、あぶない。でも、それだけジューシーということですよね。

 同じタイミングで食べても、従来のポーションは汁気があふれてきたわけではありません。ジューシーさが増したのかも。

(味わってわかった新ポーションの特徴)

・ジューシーさが増した
・身がプリプリ
・白身魚らしい風味
・味が濃い

 わかりやすいのは身の弾力の変化。新ポーションは、わずかに、スケソウダラらしい身のムチッ、プリッとした食感が感じられるようになりました。

 これまでは柔らかかったため、漠然とした“ペースト”というイメージでしたが、弾力が増して“魚のフライ“という感覚が増したような気がします。

 また、注意深く味わうと、これまでのポーションにはない、白身魚らしい独特のクセや奥深い味わいも広がります。さらに従来のポーション以上に塩気が濃くなったようにも感じました。

 ただし、製造工程で特に塩気を足したわけではないそうなのです。マクドナルドの商品担当者によると、冷凍工程を減らしたことで、魚本来の風味や旨みが従来よりも保たれ、結果、味わいが濃く感じるようになったと考えられる、とか。

繊細な変化なので、バンズにサンドした状態で食べるとよくわからないかも。

 うん。ポーションの状態で、じっくり食べ比べてみると差がわかります。

 ただし、先ほどから、“わずか”とか“気がする”とか言っているとおり、すごく変わったというわけではないです。とても繊細な変化なので、いざ、チーズとタルタルを合わせてハンバーガーの状態でいただくと、変化ははっきりとは感じないのかも。

 ソースを大幅に変更したとかではないので、リニューアルとはいえ印象は大きく変わらないのですね~。ましてや、新旧を同時に食べ比べないことには、差を認識するのは難しいかも。注意深く味わってみると「言われてみれば……」というレベルでポーションの質感が変わっています。フィレオフィッシュの変化を感じたい場合は、ぜひ、よくモグモグして食べてみてください。

環境負荷の軽減につながるんですって

 味わいの変化としてはさりげなく、地味ともいえるリニューアルですが、製造工程の変更は革新的です。

 発表会では、製造工程についても詳しくお聞きできました。

 従来は、アラスカのベーリング海でスケソウダラを漁獲後、魚の形のままで冷凍。タイの加工工場へ輸送して、いったん解凍します。解凍した状態で、血合いや骨を除去。切り身をブロック状にしたあと、再び冷凍。最終的にポーションの形にカットして、衣とパン粉をつけて仕上げ。漁獲後すぐと、工場で加工後の、2回の冷凍工程がありました。

 新工程では、漁獲後にアラスカの工場で速やかに骨や皮などを除去。X線を用いて細かい骨が残っていないか入念にチェックした上で、ブロック状に成形して、冷凍。そのまま日本に輸送するのではなく、いったんタイの加工工場へ運ぶのですが、ここでは冷凍したままの状態で、フィッシュポーションの形状にカットして、衣とパン粉をつけるだけ。

 タイでの解凍、再冷凍の工程をなくし、冷凍1回へ。

 X線スキャンニングといった検査技術向上により、漁獲後に鮮度を保ったまま骨や皮の除去ができるようになりました。

 フィッシュポーションの生産工程の見直しによって、解凍用の水は年間で約50%削減。また、魚の形ではなくブロック状で輸送することで、輸送効率も上がりました。冷凍のために使用していた電力も削減。魚の内臓は外製品へリサイクルされるため、魚由来の廃棄物も5%削減されるとしています。

フィレオフィッシュのパッケージにMSC(Marine Stewardship Council、海洋管理協議会)の「海のエコラベル」が表示されるようになりました。

 単純に「味の変化」というだけではなく、環境負荷の軽減に結びつく製造工程の見直しなんですね。

フィレオフィッシュはフランチャイズオーナーが考案

 ところで、マクドナルドのフィレオフィッシュがどうして生まれたかご存知でしょうか。お魚のパティって特殊ですよね。

ローカル向けのイレギュラーメニューがきっかけ。

 フィレオフィッシュはフランチャイズオーナーが考案。1960年代初頭、アメリカ・オハイオ州のとあるカトリック教徒が多いエリアのマクドナルドでは、「肉を食べてはいけない金曜日」に売上げが激減したそう。店舗のオーナーであったルー・グルーン氏が金曜日にも売れるメニューを作りたいと、“魚”を使用したサンドイッチを試作。

フィレオフィッシュに歴史があり。進化したフィレオフィッシュもぜひ味わってみてください!

 マクドナルドのメニューは原則的に本社主導なので、魚のサンドイッチを販売するために交渉を重ねたそう。努力の末に販売許可を得て販売したところ、好評に。金曜日以外にも売行きがよかったため、これを受けて本社でも魚メニューの開発を本格的に始動。1965年に、フィレオフィッシュとしてマクドナルドのメニューに加わりました。

 フランチャイズのオーナーがその地域の特性に合わせて考案したイレギュラーメニューがきっかけになったとは、意外な原点。歴史あり、とはこういったことかも。


書いた人:記者ナベコ

酒好きライター、編集者。カンパイからすべてが始まるはず。「TVチャンピオン極~KIWAMI~ せんべろ女王決定戦」に出演するなど酒活動しつつ食トレンドを追っています。♪アスキーグルメやっています.情報募集中→【Twitter】【Facebook】

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