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日本人の「飲食店マナー」が崩壊の危機、中国人に冷笑される日も近い!?

2019年10月24日 06時00分更新

文● 岡田光雄(ダイヤモンド・オンライン

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年々、日本人のモラルは低下しており、飲食店では「お客様は神様」という言葉を勘違いした“モンスター客”のマナー違反が目立つようになっているという。過去に飲食店経営の経験を持ち、現在は「NPO法人 日本サービスマナー協会」認定マナー講師を務める上田由佳子氏に、そんな飲食業界側の本音を聞いた。(清談社 岡田光雄)

客と店員は対等の関係
マナーとは“暗黙の了解”

飲食店では日本人客のマナーの悪さも目立っています
最近の中国人は食事マナーを熱心に勉強しており、ひと昔前とは大違いだという Photo:PIXTA

 大原則として、客と店員は「対価を支払う代わりにサービスを受ける」という“対等”な関係だ。しかし、そこに考えが及ばない客のマナー違反が後を絶たない。では、そもそもマナーとはどういうものなのだろうか。

「本来マナーとは、思いやりを行動にあらわすもので、お互いにその場を気持ち良く過ごすための配慮。“暗黙の了解”ともいわれています。これは個人的な見解ですが、最近は周りの人が不快に感じているかどうかを、考える人が少なくなったのかもしれません」(上田氏、以下同)

 それを象徴する事例として、今年7月、沖縄県・石垣島のラーメン店が、「日本人客お断り」という張り紙を掲げたことが話題になった。この店では、フライドポテトなどの飲食物を勝手に持ち込んだりする日本人客が後を絶たなかったという。

「前提として、店のルールがあるならそれを守るべきです。もし、店内への飲食物の持ち込みが明記されていない場合は店員さんに聞きましょう。お店側にしてみれば、店内によその食べ物を持ち込まれると、食中毒など衛生管理面のリスクが生じますし、お店の商品の注文機会も失われてしまいます」

 注文機会の損失とは、たとえばラーメン屋にフライドポテトを持ち込まなかった場合、空腹を満たすためにラーメンの他に「揚げ餃子」を頼んでいたかもしれない。しかし、フライドポテトを食べることで空腹感が満たされてしまい、店側にしてみれば揚げ餃子分の損になってしまう、というロジックだ。

 また、今年8月には、兵庫県西宮市の甲子園球場近くにある「大力食堂」という店で名物だった「超デカ盛りカツ丼」が、インスタ映え目的でやって来た客の食べ残しがひどく、販売停止になった。このカツ丼は、1966年の創業以来、「おなかをすかせた高校球児のために」と続けてきたメニューだったという。

 日本人自身もこうしたマナーの低下を感じているようで、ニフティニュースのアンケート(2016年)では、「昔よりマナーが悪い人が増えたと感じる?」という問いに、「とても感じる」「やや感じる」の合計が72%にものぼった。

 では、飲食店におけるマナー違反の事例をもう少し詳しく見ていこう。

店が許可してもNGな行為
親切心がマナー違反になることも

 まず、上田氏が指摘するのは、客側に落ち度はないが、「配慮」がほしいマナーだ。

「バーや小規模居酒屋では、たばこを吸えるお店がたくさんありますが、隣に座っている別なお客様(非喫煙者)がせきなどをしているときは控えたりとご配慮くださると助かります。店側としては『吸わないでください』とは言えませんので。あとは、カウンター席などに置かれているおかわり自由の総菜やお水が、自分が多く取ってしまってなくなったら、他のお客様のために『なくなりましたよ』と一声いただきたいです」

 あるいは、親切心からつい客がやってしまうマナー違反もある。

「店員さんが片付ける際に楽なようにと、食べ終わったお皿を重ねてくださるお客様がいます。しかし、それをやってしまうと油汚れがひどくなって後で洗うのが大変だったり、お皿に傷がついてしまうことも。また、飲食店で出されたおしぼりでテーブルを拭くのもマナー違反。しょうゆなどがつくとリサイクルできず、おしぼり屋さんも困ってしまうためです。また、もったいないからといって残り物を勝手にタッパーなどに詰めて持って帰るのもやめましょう。それで食中毒などになってしまったら、お店側の信用問題になってしまいますからね」

 また、小規模な飲食店ならではのマナーを知っておくことも大切だ。

「たとえばカウンター席しかないような小規模のお店で、お客様が広々と使ってしまうと、他のお客様が座れないため、お店側は困ります。あと、小さなお店では、細かいお金をそこまで用意していないことも多いため、少額のお会計の場合などは極力1万円札を使うのは避けたほうがいいでしょう」

 一方、あからさまなマナー違反も当然ある。「予約した店に連絡もせず遅刻して行く・キャンセルする」「行列に割り込む」「料理を注文後にキャンセルする」「(食べ終わっているのに)なかなか席を立たない」「寝る」「(長居NGの店で)勉強・仕事をする」「(無言で)ゴミを置いて帰る」「(主に男性客が)女性店員にしつこく話しかける」など、飲食店でマナー(モラル)違反とみなされかねない行為は多い。

劣化する日本人のマナーに対し
成長著しい中国人

 日本人客のマナー違反に対し、飲食店の現場からは悲鳴が上がっている。

「お客様でよくあるのが、お箸やつまようじの容器に手をつっこんで、自分が使う以外の分までガチャガチャ触る行為。あれは衛生上やめていただきたいですね。わざわざガチャガチャしなくても、きれいに自分の分だけ取ろうと思えばできるのではないでしょうか」(そば屋店員、36歳)

「よく近所の大学に通う男子学生たちが、店に来ては度胸試しのつもりなのか、カレーの辛さをMAXにして頼むんですが、結局食べきれなくて残すんです。もったいないし、一生懸命料理を作った人に失礼。あの学生ノリが本当にキモいし、ムカつきます」(カレー屋店員、25歳女性)

「旅行帰りの常連客が、『これみんなに(無料で)食べさせてあげて!』と土産をくれることがあるが、みんながそれを食べちゃったらうちの料理が出なくなる。本当はそういうときには、土産と一緒に1万円札をこっそり店主に渡すのが、由緒正しき飲んべえのマナーってもんだ」(居酒屋店主、70歳男性)

 マナー意識という点では、今や中国も向上してきている。上田氏は中国の企業に対してもマナー研修を行っており、受講生の熱心さと成長は目を見張るものがあるという。

「今から15年ほど前は、中国からの観光客の方々は、いろんな料理を頼んでは散らかして食べていましたが、それも過去の話。私が教えている中国の生徒さんたちは、日本のマナーを熱心に勉強しており、食べ物を取り分けて渡してくれたり、空いたお皿を片してくれたりと、とても紳士的な方が増えています」

 日本人のマナーを見て、中国人があきれる。そんな未来がくるのも、そう遠くはないのかもしれない。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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