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SPORTS TECH TOKYO「World Demo Day」

電子トレカ、自動ハイライト動画生成、女性の体調管理まで――スポーツの課題にテックで挑むベンチャー12社

2019年11月25日 06時30分更新

文● 末岡洋子 編集● ガチ鈴木/ASCII

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放映されないスポーツイベントは2億件ーー自動で配信可能に

 試合動画の自動生成ではもう1社、イスラエルのベンチャーPixellotもこの市場に挑む。スタジアムに専用カメラを設置して、試合などスポーツコンテンツのプロダクションを自動化できるというものだ。動画の自動生成と配信だけでなく、コメントやパートナー向けにマネタイズのオプションも備えるという。

 「世界には放映されていないスポーツイベントが2億もある」「我々はスポーツのプロダクションを民主化する」と同社で米国ユース部門担当プレジデントのDavid Shapiro氏。大学の試合、さらにはユースなど放送されることがほとんどない試合の動画を狙う。AIにより、各選手のハイライトも自動作成できる。

 2017年にスタート以来、すでに多数の施設に設置され、月間のライブ放映時間も少しずつ増えている。2018年1月には1万7331時間だったのが2019年1月には4万2200時間と2.5倍に。すでに朝日新聞社のベンチャーキャピタル事業である朝日メディアラボベンチャーズの出資を受けるなど、日本との関係はある。今回STT参加により電通より事業開発と営業・マーケティングなどの支援を受けることが決定、「日本市場拡大を図っていく」と述べた。

スタジアムに複数台のカメラで構成される機材をセットする。

複数台のカメラが人やモノ(ボールなど)の動きを追跡する。動きのはやいバスケットでもプロ並みのプロダクションを作成できるという。

PixellotのDavid Shapiro氏。

360度の動画体験

 米国ベースの4D Replayも動画を生成する技術を提供するが、360度という点がユニークだ。複数台のカメラの映像を再構成して作成するもので、どの角度からでもそのシーンを見ることができる。一時停止して角度を変えることもできるので、ハイライト動画だけでなく、審判の補助もできそうだ。

 すでにアメリカンフットボール、バスケットボール、野球と様々なスポーツのイベントで使われた実績を持ち、EPSN、Fox Sportsなどを顧客に持つ。日本でも、NHK、フジテレビ、JSportsなどが顧客。春高バレーなどで使われたようだ。

 COOのHenry E. Chon氏によると、STTの参加企業であるCBCと日本、東南アジアでの営業パートナーシップを締結予定という。

(参考動画)
 https://vimeo.com/249358241

COOのHenry E. Chon氏。

複数台のカメラを用いて360度の映像を生成する。

360度の映像生成の仕組み。

電子トレカでファンエンゲージを強化

 日本から唯一となったventusは電子トレーディングカード(トレカ)プラットフォーム「Whooop!」を紹介した。ソニーミュージックグループのアクセラレーションプログラム「ENTX」で最優秀賞受賞を獲得している。

 代表取締役の小林泰氏は、「スポーツ業界では放送、アナライズなど様々な変化が起きているが、トレーディングカードだけは変化がない」と述べる。Whooop!を利用してアスリートやチームはトレーディングカードを作ることができ、ファンはこれを購入して取引できる。チームや選手のメリットは、新しい収益源になること、そしてファンエンゲージに関するデータが得られること。「ファンとチームや選手との関係が新しくなる」という。

 日本では、大学チーム、卓球Tリーグの琉球アスティーダなど30以上のチームと連携している。STTにより、電通と長期的な関係構築に向けて話を進めているという。

 小林氏はまた、カスタマイズできるwhooop!を年内にローンチする計画も明かした。各チームが独自の体験を構築・提供できるという。

Whooop!は古くからあるトレカを電子化する。

ventus 代表取締役の小林泰氏。

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