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老後資金に1000万円単位の差がつく!?「取り崩し運用」のすごい効果

2019年10月23日 06時00分更新

文● 上地明徳(ダイヤモンド・オンライン

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老後資金
写真はイメージです Photo:PIXTA

今年ニュースで話題となった「老後2000万円問題」。実際、老後資金がいくらあれば安心できるのか不安になった人も多いのではないでしょうか。これを機に、老後資産を用意する方法として「投資」への関心も高まっているといいます。そこで前回に続き、新刊『老後の資金 10年で2倍にできるって本当ですか?』(青春出版社)から、そんな投資にまつわる誤ったイメージや疑問について解説していきます。

複数のファンドに分散することでリスクはコントロールできる

 前回は、「長期・分散・積立」投資がいかに老後資金作りに向いているか、そして、リーマンショック級の暴落が来ても心配いらないか、を解説しました。今回は、実際に老後資金を作るにあたって、「長期・分散・積立」投資をより効果的に活用する方法をご紹介しましょう。

──ぜひ、お願いします。

 前回は、外国株式インデックス1本で説明してきました。でも、投資信託には多くの種類があります。基本的なものを挙げるだけでも、「日本株式インデックス」「日本債券インデックス」「外国債券インデックス」「新興国株式インデックス」「J-REITインデックス」などがあります。それぞれをどういう割合で保有するかをポートフォリオと言います。

──ポートフォリオに分散する意味って何でしょうか?

 金融資産の組み合わせ方しだいで、リスクやリターンをコントロールできるからです。債券は株式よりもリターンが低い代わりにリスクも低いので、株式と債券を半々で持つといいと言われています。教科書的には。

──教科書的には……というと?

 私は、個人的には債券を組み入れる必要ないと考えています。債券を入れないぶん、「新興国株式インデックス・ファンド」を組み入れたほうがといいというのが、私の考えです。

──新興国株式インデックス・ファンドですか?

 そうです。新興国株式インデックスは、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)、フィリピン、インドネシア、タイ、韓国、台湾、その他中南米、東ヨーロッパなど、今伸び盛りの23ヵ国の株式を組み込んでいます。

──今後さらに経済発展していくことが期待できる国々ということですね。

 はい。しかし同時に、まだまだ経済的に不安定な要素も大きい国々なので、下落幅も大きくなりやすいというデメリットがあります。外国株式インデックス、新興国株式インデックスそれぞれ1本の場合と、2つを半々で運用した場合の違いを見てみましょう。(図1)をご覧ください。

──投資リターンだけで見ると、新興国株式の成績のほうが圧倒的に優れていますね!

 そうなんです。長期的なパフォーマンスは新興国株式のほうがはるかにいいです。一方で、価格の変動も新興国のほうが圧倒的に大きいことが見て取れるはずです。半々のポートフォリオでは、その中間くらい。チャートの中で大きく落ち込んでいるのがリーマンショックの暴落ですが、半々のケースでは、かなりリスクを軽減できていることがわかると思います。これが分散・積立の効果なんです。

──なるほど。

 もう一つ、新興国株式を外せない理由をお話ししましょう。(図2)は、国連関連機関の世界のGDP推移の予測です。これを見ると、現在は「先進国:新興国=6:4」なのが、2050年になると「3:7」と大逆転が起こります。

──中国、インド、その他のアジア諸国の躍進がめざましいですね。それに比べて日本は……

 日本人は投資というと、日本株や日本債券を中心に据えたがりますが、現実的に考えると、将来的な日本経済の潜在力はそんなに高くないんです。あまり喜ばしい話ではないですが……。でも、だからこそ、新興国株式をポートフォリオに組み入れたほうがいいんです。

新しい資産運用のカタチ=「取り崩し運用」のすごい効果

 では、実際にどう積み立てて、どう老後資金に活用するといいかの実践的な話をしましょう。(図3)では、外国株式インデックスより平均リターンが少し落ちる、日本株式を含む「世界株式インデックス・ファンド」(日本株式の占める比率は約8%)でシミュレーションしています。それでも、過去50年間の年率平均リターンは円ベースで7.0%です。外国株式インデックスだと7.6%なのでそれより少し落ちますが、シミュレーションでは控えめな数字で計算するほうが手堅い見通しを立てられるからです。もちろん、基本的な運用の考え方は外国株式インデックス1本でも、外国株式インデックス+新興国株式インデックスの半々の場合でも同じです。

──いまどき7%でも十分に高い利率ですからね。

 はい。(図3)をご覧ください。1979年に50歳になった人が、世界株式インデックスで毎月2万7000円を20年間積み立てると、1998年、70歳になったときに実際に2000万円になりました。

 その2000万円を、70歳から20年間、90歳まで生活費として少しずつ取り崩していったらどうなったのかを見ていきたいと思います。年末残高の5%を取り崩す、「定率」取り崩しと言われる方法で、シミュレーションします。

 1998年の年末の残高が2016万円、その5%が約100万円ですから、それを取り崩して、生活費に回します。このように、毎年末の残高の5%を20年間取り崩していくと、20年間での取崩額の合計が、1587万円になりました。その結果、20年後にはいくら残っていたと思いますか?

──普通に考えたら500万円……と言ってしまいそうですが、残ったお金は変わらず運用し続けるんですよね。ということは、500万円より多いんですよね?

 そうです。残高は、1583万円です。取り崩した金額と、残った金額を合計すると、3170万円になりました。

 図3の山の形の直線が示すのは、毎月同額の2万7000円をタンス預金していた場合です。コツコツ20年間積み立てた総額は、648万円。その後、20年間にわたり、毎月2万7000円を取り崩せば、当たり前ですが20年間で底をつきます。

 しかし、分散・積立投資で、「取り崩し運用」を続けていたら、1500万円以上生活費に回せて、しかも90歳時点の残高は1500万円。これは圧倒的な差です。

 この取り崩し運用は、これから高齢化・長寿化社会を迎える日本では最もニーズの高い運用方法になっていくことが予想されます。そのためにも、まずは「長期・分散・積立」投資をいますぐ始めておくことをお勧めします。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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