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「Now Platform」活用による社内横断的な業務システムプラットフォーム構築を訴え

来場者は昨年の2倍、ServiceNowが「Now at Work Tokyo」開催

2019年10月17日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 ServiceNow Japanは2019年10月16日、東京都内で年次カンファレンス「Now at Work Tokyo」を開催した。今年のテーマは「Transform the world of work(仕事の世界を変革する)」。主催者発表で昨年の2倍となる、およそ2000名が参加した。

 午前の基調講演には米国本社CMOや日本法人社長のほか、ユーザー企業であるアフラック生命保険が登壇し、従来利用してきたグループウェアからServiceNowへの転換プロジェクトやその導入効果を紹介した。さらに個別セッションでも、日本航空やソフトバンク、NTTコミュニケーションズ、パソナグループ、楽天、カルビーといったユーザー企業が登壇した。

ServiceNow Japanの年次カンファレンス「Now at Work Tokyo」は、ザ・プリンス パークタワー東京で開催された

日本企業がなかなか実現できない労働生産性の向上、その鍵はどこに?

 基調講演に登壇した村瀬氏はまず、日本の「働き方改革」が柔軟な働き方を実現した一方で、いまだに「労働生産性の向上」にはつながっていない実態を指摘した。この労働生産性向上を実現していくうえで欠かせないのが、従業員の仕事上でのエクスペリエンス(体験)を生まれ変わらせる「デジタル変革」だと述べる。

ServiceNow Japan 社長の村瀬将思氏

 村瀬氏は、Amazon.comやNetflix、Uberといったわれわれが日常生活の中で体験するデジタルサービスを取り上げ、「パーソナライズされた情報提供」「背後にある複雑なシステム、ワークフローを覆い隠したシンプルな使い勝手」「いつでもどこでも利用できるモバイル対応」といった特徴が「卓越したエクスペリエンス」の源泉であり、繰り返しそのサービスを利用したいと思わせることを実現していると説明する。

 一方で企業内の業務システムやワークフローは、サイロ化、複雑化したままだ。これを「Now Platform」という単一のプラットフォームに統合し、データベース(データモデル)もひとつにまとめることで、シンプルな使い勝手と業務/部門間のシームレスな連携、高度な自動化の能力を提供するというのが、ServiceNowの掲げるビジョンである。

村瀬氏は、消費者がAmazon.comで商品を購入するときと同じような、シンプルで自動化された体験=ワークスタイルを「Now Platform」が実現すると説明

 村瀬氏は、デジタル変革を進めて従業員を雑務から解放し、高い創造性を発揮して働ける環境を用意することが労働生産性の向上にとって不可欠だと強調し、Now at Work Tokyoでさまざまなユーザー企業の声を聞き、学んでほしいと参加者に呼びかけた。

アフラック生命:テクノロジー進化を求めてグループウェアからNow Platformへ

 基調講演でゲスト登壇したアフラック生命保険の二見通氏は、同社が現在進行中のServiceNow導入プロジェクトについて紹介した。

アフラック生命保険 上席常務執行役員の二見通氏

 同社では従来グループウェアを導入しており、コミュニケーションやコラボレーション、また社内稟議(ワークフロー)などに活用してきた。今回のプロジェクトは、このグループウェアの利用をやめて、全面的にServiceNow(Now Platform)へ移管するというものだ。

 二見氏は、これまでのグループウェアも非常に良いツールだったが、近年はテクノロジー進化が止まってしまっているため、ServiceNowへの全面移管が必要だったと語る。旧システムはおよそ3000のデータベースと多数のワークフローを抱えていたが、IT部門の業務から順次移行を進めており、今年中にはグループウェアからの移管が完了する予定だという。移管完了後、ファイナンシャルマネジメントやHRサービスデリバリなど新たな業務アプリケーションもNow Platform上に展開する計画だ。

アフラックでは段階的にServiceNow/Now Platformの導入を進めている

 アフラックにおける導入プロジェクトのポイントとして、二見氏は、一部業務だけで導入するとコストが割高となるため「全社共通プラットフォームとして使い倒すこと」、またServiceNowの利点や弱点を見つけるためにも「まずはIT部門から導入を始めること」の2点を挙げた。

 ServiceNowの導入効果としては、社内手続きからの“紙”書類排除による「場所と時間にとらわれない働き方の実現」、あらゆる社内ワークフローが統一プラットフォーム上で完結する「意思決定の迅速化、業務効率の大幅向上」、そしてアプリケーション開発スピードが70%向上したことによる「ユーザーニーズの変化への柔軟かつ機敏な対応の実現」の3つを挙げた。こうした改善効果を通じて、アフラックをより活力にあふれた会社にしていきたいと語る。

 「『アプリケーションの開発スピードが70%向上した』という報告を受けた際、わたしも最初は驚いた。もちろん開発コスト削減の効果もあるが、それよりも日々変化するユーザーニーズへ柔軟に対応できる、ビジネスアジリティを実現できる点が、ユーザーへのアピールポイントだと思う」(二見氏)

 またこの講演前日には、音声認識(音声入力)によるアプリケーション操作やチャットボット問い合わせの機能もカットオーバーしたことを明かし、Now Platformが今後のイノベーション、デジタルトランスフォーメーションの基礎となっていくことを印象付けた。

アフラックにおけるServiceNowの主な導入効果

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