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英語力ゼロだった外資系IT社長に聞く、人生を変えた「超学習法」

2019年10月16日 06時00分更新

文● 島野美穂(ダイヤモンド・オンライン

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今年7月に発売された本『成功する人の英語ノート活用術』が話題だ。著者は29歳までまったく英語が話せなかったが、自身が考案した『英語ノート』によって克服。1年後には英語での電話会議ができるようになり、さらに5年後には、英語でのプレゼンテーションや交渉が難なくできるように。現在は、外資系IT企業の日本法人社長を務めるまでになった。忙しいビジネスマンでも続けられる、英語学習法を聞いた。(清談社 島野美穂)

大学時代に挫折
29歳まで英語が話せなかった

英語学習のイメージ
英語が全く話せなかったのに、外資系企業で副社長補佐に――金田氏のピンチを救ったのはシンプルな「1行作文」だった Photo:PIXTA

 NASDAQに上場している外資系IT企業「ライブパーソン (LivePerson)」の日本法人代表として働く傍ら、多数のビジネス書籍を出版する金田博之氏。今でこそ、海外の取引先との商談や、コミュニケーションもすべて英語でやり取りしているが、29歳まではまったく英語を話すことができなかった。

 英語への苦手意識が強まったのは、大学時代。英語力アップを期待し、ESSサークル(English Speaking Society)に入部したものの、それが英語コンプレックスをつくるきっかけになってしまったという。

「ESSに入って初めてスピーチコンテストに出場したときのことです。僕の前にスピーチした人が、ものすごくきれいな発音だったんです。まずそこで自信を失ってしまいました。さらに1ヵ月後に経験した英語でのディベートでは何も話せず、英語力の高い人に一方的にまくしたてられて終わりました」

 英語コンプレックスが払拭できないまま社会人に。しかも、入った会社はよりによって外資系企業。英語が話せなかった金田氏は、仕事でもチャンスを得られない状況が続いた。

「マーケティング部に配属されたのですが、同期4人中、英語が話せないのは僕だけでした。今考えると、なぜ配属されたのかが不思議です。結局、そんな状況が何年も続きました」

 しかし、29歳のときに副社長補佐という役職についたことで、金田氏の状況は一変する。アメリカ人の社長に、営業報告をするという業務を命じられたのだ。

「これもうそみたいな話なのですが、副社長は、まさか僕が英語を話せないとは思っていなかったんです。もはや誤採用ですよね。しかし命じられたからには、やらないわけにはいきません。5分間の業務報告のために、2時間かけてスプリクトを作成しました。わからないときのために『社長に確認します』という文言も用意して、毎週、ものすごい緊張の中で副社長に報告していたんです」

 最初こそ、地獄のような時間に感じられた業務報告だったが、この出来事が金田氏の英語コンプレックスを克服するきっかけになる。

英語能力が飛躍的にアップ!
「1行作文」の威力

 毎週の業務報告をスムーズに行うため、1冊のノートに話す内容をまとめるようにした金田氏。単語をいくつも並べるのではなく、1行だけの端的な文章をいくつも作った。すると、ある法則に気づいた。

金田博之(かねだ・ひろゆき)/1975年山口県下関市生まれ。大学卒業後、グローバルに展開する外資系大手ソフトウエア企業SAPに入社。以来、入社1年目で社長賞受賞、29歳で副社長補佐、30歳で部長に着任、35歳で本部長に昇格。SAP全社10万名のなかのハイパフォーマンス(上位2%)を上げた人物に7年連続で選抜される。2007年、INSEAD大学でエグゼクティブMBAを卒業。日本の大手製造・流通企業ミスミでGMとしてグローバル新規事業を推進した後、現在はNASDAQに上場している外資系IT企業「ライブパーソン(LivePerson)」の日本法人代表。勉強会を定期的に開催し、参加者は累計1000名を超える。現役のサラリーマンでありながら、これまで8冊の書籍を出版。プレジデント、ダイヤモンド、東洋経済、日経ビジネスアソシエなど各種メディア掲載実績多数。オフィシャルメルマガは2017年・2018年それぞれまぐまぐ大賞を受賞。メルマガ:金田博之の「出世したサラリーマンが絶対やらなかったこと」

「業務報告というシーンに限定すると、使う単語がかなり限られていることに気づきました。スプリクトの作成に最初は2時間近くかかっていましたが、だんだんと短くなっていき、最終的には書きためた英語ノートを見れば、対応できるようになっていました」

 それからは業務報告だけではなく、打ち合わせや会議の内容も、できるだけ英語で書くようになった。しかし、どんな長い会話でも1行に収めることをルールにし、日本語と英語が交ざっても気にせず書き続けた。すると、金田氏の英語力は加速度的にアップしたという。

「1行作文を一瞬で作ることができれば、英会話はできます。ポイントは、英語を使うシーンを絞ることです。私の場合、英語を使うのは商談、報告の場のみだったので、そのシーンに使う英語だけをノートに書いて覚えました」

 英語ノートを使うようになって3ヵ月。英語での業務報告は難なくこなせるようになっていた。その後も地道に英語ノートをつけ、実践を繰り返した結果、商談や交渉も英語でこなせるようになった。

 また、1行作文を繰り返し練習したことは、コミュニケーションでも役に立ったという。

「私の英語は端的でわかりやすいと、海外の人からよく褒められます。1行作文で練習してきたので、まどろっこしい言い回しがないのです。短い文章を練習してきたことが、会話するうえでも強みになりました」

リーディングと発音は
勉強しなくても大丈夫

 英語を習得するにあたり、金田氏が最初から“捨てた”ものがある。リーディングと発音だ。英文を読む際は、翻訳ツールを使えばいいので、特別に勉強することはなかったという。発音もあえて気にしなかった。

「ビジネスの場では、母国語が英語の人ばかりではありません。中国、韓国、シンガポール、インドなど、さまざまな国籍の人がおり、みんなそれぞれの発音で話していますが、大体通じます。事実、私は発音に関してはまったく自信がありませんが、それでも問題ありません」

 金田氏いわく、英語ノートを活用すれば、現時点で英語力ゼロでも、必ず成果を出せるという。ただし、繰り返しになるが、シーンを絞ることが大前提だ。

「漠然と“英語が話せるようになりたい”では、いつまでたっても話せるようにはなりません。まずは自分が英語を使うシーンを決めることです。旅行用英会話だとちょっと広すぎるので、買い物、飲食店など細かい場面を設定してください。限定的なシーンの英語をマスターするころには、別のシーンでの会話にも応用できるくらいの英語力が身についているはずです」

 もちろん、英語ノートをつけるだけでは意味がない。実践の場を自らつくることが重要だ。その際のちょっとしたテクニックを教えてもらった。

「発音は気にしなくていいと言いましたが、相手によっては、あからさまに聞き取れないという顔をされることもあります。なので、日本人の英語発音に慣れている人と会話するのがおすすめです。見分け方のポイントは、『○○-san』と、“さん”付けで呼んでくれる外国人。日本で仕事をしていた可能性が高いので、日本人の英語発音にも慣れているはずです」

“さん”付けで呼んでくれる外国人に出会ったら、積極的に話しかけ、会話を試みるといいだろう。
 
 英語ノートの詳細な使い方は、本書で詳しく解説されている。ビジネス英語の習得は、今からでも遅くない。今日から英語ノートを始めてみてはどうだろうか。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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