使い道を考えずに東芝製3D TLC NAND採用の
1TB高速USBフラッシュメモリーを衝動買い
USBメモリーを購入する多くの人は「いったい何を基準に買うのだろう?」と時々疑問に感じることがあるはずだ。今や大手のネット通販で探してみると、最低でも16GBクラスの商品しか見当たらない。容量別の売れ筋なら64~128GB辺りがマーケットの中心だ。
無理やり16GBモデルを探してみたら、なんと10色(10本)セットで3899円という商品が見つかった。そして、同じ販社が売っている1GBの10本セットが3199円なので、16GBと1GBのUSBメモリーの容量差は16倍なのに、価格差はたったの2割というおかしなことになっている。
ちなみに、同じ販社にはなんと512MBという懐かしい“MBクラス”の極小USBメモリーも販売しているようだ。しかし「512MB、512GBではありません」と但し書きがあり、間違って購入する人がいるようでなかなかおもしろい。ちなみに、10本でのお値段は2599円と意外と高値だった。
売れ筋の128GBでも、実売価格は2000~6000円くらいの開きがあるのが一般的で、流通や製造の仕組み、外装、使用しているメモリー素子の品質や世代、パフォーマンスなのか、筆者のような素人にはまったく分からないのが現状だ。しかし、長い無駄使いの経験から、“安いモノには理由がある”というのが筆者の脳みそのどこかに定着している。
今回は、今から18年前の2001年初頭に専用ドライバーソフト不要の世界初のUSBメモリー(IBM USBメモリーキー:当時4800円)を買った筆者が、人生初の1TBのUSBメモリーをまたしても明確な目的なくして脊髄反射的に衝動買いしてしまった顛末をご紹介したい。
巨大な容量をもつUSBメモリーが、単にテクノロジー基盤の成長・市場の拡大・低価格化に任せて、成り行きで次々と登場してくる昨今の環境と異なり、初期のUSBメモリーの登場には明快な理由や目的があった。
過去から現在までのコンピューターの記憶素子や外部記憶装置に多少興味のある人なら、そのあたりは釈迦に説法となるが、人と共通の会話言語をもたないコンピューターへの情報の受け渡しには、過去から現在まで多くの物理メディア的な手段があった。
文字や数字をパンチして穴をあけて情報を伝える80欄のカードに始まり、紙テープやさまざまなサイズの交換可能なフロッピーディスク(1971年に創案したIBMは“ディスケット”と呼ぶ(ディスク+ビスケット)。そして、よりコンパクトで大容量のハードディスクやシリコンメモリー(PCMCIAメモリーカードやSDカード)が登場した。
情報機器の中心が、メインフレーム(大型コンピューター)→デスクトップPC→モバイルPC→携帯電話→スマホと進化するにつれて、物理的な記録メディアも市場から変化と革新を求められ、過去から現在までそれに応えてきた。
多少話が脇道にそれたが、初代のUSBメモリーは、操作性と物理的な容量拡大の限界が見えてきたフロッピーディスクの代替記憶装置として登場してきたモノだ。当時、すでに世界最大容量に達していたIBM社の3.5インチディスケットは1.44MBと2.88MBの2種類。より多く使われたのは、安価な1.44MB容量の方だった。
創成期のWindowsやOS/2などのOS(Operating System)や大型パッケージソフトのPCへのインストールには、この1.44MB容量のフロッピーディスクを5~30枚くらい必要とした。それらの非効率的な操作性の向上を目指して登場したのが、CD-ROMとUSBメモリーだ。また、USBメモリーには当時盛んになってきたモバイルコンピューティング環境での活躍の場もあった。
初代のIBM USBメモリーキーの容量は、なんとたったの8MBだ。しかし、当時1.44MBのディスケット6枚分の大容量は何かと貴重な存在だった。対して今回衝動買いした「HIDISC 東芝製3D TLC搭載 USB3.1フラッシュメモリー」(HDUF129C1TG3。以降、高速USBフラッシュメモリー)は1TBの超々大容量だ。ざっと計算してみると、容量は8MBの初代IBM USBメモリーキーの12万5000倍になる。
前述した紙の80欄パンチカードなら最大でも入るデータ量は1枚当たり80バイト。2001年に登場した8MBのIBM USBメモリーキーですらパンチカード1枚の10万倍の容量となる。1TBの高速USBフラッシュメモリーは、さらにその12万5000倍。普通の電卓で計算しようとすると、1TBは桁溢れの容量だ。
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