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アイロン不要シャツ、こすらない浴槽洗剤…「家事をなくす」商品が大ヒット

2019年10月03日 06時00分更新

文● 大来 俊(ダイヤモンド・オンライン

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アイロンいらずのシャツやこすらなくても汚れが落ちる浴槽洗剤など、家事の負担を減らす商品がヒットしている。共働き世帯の増加とともに、「超時短家事」、さらには「ゼロ家事」ニーズが高まっているからだ。

シワにならないシャツと
パンツでアイロンいらず

ユニクロの「スーパーノンアイロンシャツ」
ユニクロのスーパーノンアイロンシャツ。筆者も使ってみたが、実際にシワが出にくく、洗濯後にアイロンいらずでそのまま着ることができた

 共働き世帯は伸び続け、平成29年には1188万世帯と、男性雇用者+専業主婦世帯の641万世帯を大きく上回っている。こうした中、大きな課題が、夫の家事の参加が少ないことだ。日本では、6歳未満の子どもを持つ夫が家事に費やす時間は1日当たり34分で、妻の229分に遠く及ばない。米国の110分、英国の106分、ドイツの121分など他の先進国に比べても極めて低水準だ。

 状況の大幅な改善が期待できない中、解決策の一つは、家事時間そのものを減らす、できれば“なくしてしまう”ことだろう。そんな消費者の声に応えるべく、いわば「超時短家事」「ゼロ家事」を実現する商品が、「衣食住」それぞれのシーンで登場し、共働き夫婦の福音となっている。

 まずは「衣」のシーンで注目を集めているのが、洗濯後、干しておくだけでシワが伸びて乾き、アイロンを掛けなくてもそのまま着ることができる、ノンアイロン系の衣服だ。ユニクロが販売している「スーパーノンアイロンシャツ」はその代表格。以前は3990円(税抜き)で販売してきたが、2018年春に生地の質感を向上させると同時に2990円(同)にプライスダウンし、より買い求めやすくした。

 シワを寄りにくくするためには、主に「生地を肉厚にする」「糸にポリエステルを混ぜる」の2通りがある。だが、肉厚にすればごわつき、ポリエステルを混合させるとテカってしまい、肌触りも不自然になりがち。そこで、ユニクロでは、80番手という細い糸を使って、生地の軽やかさや上質さを保持。さらに、特殊加工を施し、綿100%の自然な肌触りとシワの出にくさを両立させた。「ポリエステルを入れた他社のノンアイロンシャツに比べ、綿100%であることがスーパーノンアイロンシャツの優位点であり人気の秘訣」と、商品本部の担当者は話す。

 筆者もユニクロのスーパーノンアイロンシャツを実際に洗って乾かしてみたが、全体的にシワは見られず、そのまま着ても違和感のないレベルだった。「出張時に洗濯して部屋干ししておけば、翌日はそのまま着ることができるので便利、という声も数多く届いている」(担当者)。一方、ユニクロでは、ビジネスに使えるパンツでも、洗濯後も乾きやすくそのままはける「感動パンツ」(税抜き3990円)を販売。スーパーノンアイロンシャツと組み合わせて使えば、アイロンという面倒な家事を一掃できる。

浴槽洗いで「こする」を
なくしてヒット

ライオンの「ルックプラス バスタブクレンジング」
大ヒットのルックプラス バスタブクレンジング。実際に使ってみたが、こすらなくても汚れがしっかり落ちた

 一方、「住」のシーンでも家事をゼロに近づけるヒット商品が生まれた。昨年9月に発売し、当初は計画の2倍以上の売り上げを達成し、その後11ヵ月で累計販売数が2000万個を突破した浴室用洗剤「ルックプラス バスタブクレンジング」(ライオン)だ。この洗剤の革新的な点は、洗剤を吹きかけ、シャワーで流すだけで浴槽洗いが済むことだ。従来、浴槽洗いで最も面倒だったスポンジでこする作業を一切なくした。同社には「半信半疑で使ったら本当にこすらず落ちた」「夫や子どもに掃除を任せられるようになった」などの声が寄せられているという。

 吹きかけるだけで洗浄できる秘訣は、水道水に含まれるカルシウムに着目したこと。湯垢が浴槽にこびりつくのは、このカルシウムが主な原因と突き止めた。そこで洗浄液によってカルシウムを除去し、汚れが浮いてきたところをシャワーでさっと洗い流す設計にした。また、浴室用洗剤は泡で出るタイプが一般的だが、今回はワンプッシュで従来の2倍の洗浄液をミスト状に吹きかけられるヘッドを新開発。浴槽の内側を広範囲にむらなく噴霧できるようにした。

 これまで、ライオンの浴室用洗剤は長期にわたり低迷し、トップの花王に大きく水をあけられていた。

 汚れ落ちを向上させ、泡切れを良くし、容器を逆さにしてスプレーできるようにもして、香りも良く、消臭もできるように…と機能をアップして訴求しても一向に状況は変わらなかった。だが、「こする」という家事をゼロにしたバスタブクレンジングによって、潮目が突如として変わった。

 花王との差が一気に縮まるだけでなく、浴室用洗剤市場も活性化して拡大傾向に反転するほどのインパクトを起こしたのだ。消費者が心の底で求めているのは、機能のアップではなく、家事を“なくす”こと。それを手軽に実現できる商品こそが今の市場の勝者になれることを、バスタブクレンジングは証明した格好だ。

奥の手のストックになる
冷凍ミールキット

「食」でも、家事の負担を大幅に減らす商品が脚光を浴びている。近年、売り上げが大きく伸びている冷凍食品が好例だ。しかし、レンジで温めるだけの冷凍食品を便利と認める一方で、自分で調理せずに夕食の主菜として出すことに罪悪感を抱く人も少なくない。単に家事をゼロにするだけではユーザーニーズをすくい切れない――「食」の家事の難しさがそこにはある。

 そうした中、近年需要が高まっているのが、カットされた野菜や肉、調味料がセットになって、フライパンで炒めるだけでメニューが完成するチルドのミールキット。ただし、鮮度の良い野菜のシャキシャキしたおいしさが楽しめる一方で、生鮮食品であるがゆえに賞味期限が3日程度と日持ちがしないことが課題だった。

 そこで、ミールキットを“冷凍食品化”して1年間の賞味期限を実現したのが、今年4月にイオンが発売し、今や全国の約1800店で販売する「トップバリュ フローズンCooKit(クッキット)」だ。

 肉や野菜は全てカット済み、下ごしらえ済みで、レンジで3分半加熱後、フライパンで付属の調味料を加えて炒め、合計約10分の“早ワザ”で2人前の主菜が完成する。水、油、味付けが不要のオールインワンで、セットの具材だけで作れるため、普段台所に立つことがない男性や料理が苦手な人でも失敗するリスクがほぼない。

「フライパンで炒める“調理”の工程が入ることで手作り感が出ると共に罪悪感も薄れ、しっかり火が入ることで、出来上がりの見た目や味も通常の料理と遜色なくなる」(イオントップバリュ マーケティング本部の和田浩二取締役)。オールインワンの冷凍のミールキットを全国規模で小売店販売するのは国内初の試みだ。

 第1弾は「黒酢の酢豚」「豚肉となすの甜麺醤炒め」「えびとブロッコリーの中華あん炒め」など、外食では食べる機会があるものの、自宅では準備や下ごしらえが面倒なために作りづらい中華メニューを中心に6品目を展開。品目は飽きがこないように半年ごとに見直す計画だ。今年9月には「白身魚の竜田揚げと花野菜のバジル炒め」「青椒肉絲(チンジャオニウロウスー)」など6品目を第2弾として追加し、全12品目に拡大した。

 筆者も試しに「黒酢の酢豚」を作ってみた。具材を切ったり、調味料を計ったりする手間が省ける点は物理的にも気持ちの面でも負担感が和らぎ、思った以上にメリットを実感できた。

 大きめの酢豚が多数、タケノコやニンジン、タマネギなどたっぷりの野菜が入り、ボリュームや本格的な味にも満足。夫婦2人だけの共働き世帯であれば、おかずはクッキット1つで十分だろう。子どもが2人いる4人家族では1つでは足りず、クッキット2つ、またはクッキットに他の惣菜を加えた献立が考えられる。

 いずれにせよ、毎日使うものではなく、夫婦2人とも帰宅が遅れた時や疲れている時、普段調理しない夫が作る時などの奥の手のストックとして、このフローズンクッキットは重宝するに違いない。

 共働きが増える中、夫の家事の参加を啓蒙することも大切。だが、こうした「ゼロ家事」「超時短家事」を実現する衣食住のお手軽アイテムを積極的に取り入れることも、より現実的な“特効薬”になる。メーカー側も「家事をなくす」をテーマにした商品化がヒットへの近道になるだろう。

(大来 俊/5時から作家塾(R))


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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