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規制緩和で実現なるか 日本発都市型スマートシティの現在

IoT H/W BIZ DAY 2019セッションレポート

連載
IoT H/W BIZ DAY 2019 by ASCII STARTUP

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 都市活動におけるデータを結びつけ、付加価値のある情報として取り出し活用するスマートシティ構想。東京都江東区の豊洲では、清水建設をはじめとした13の企業がスマートシティ構想に取り組み、都市生活を快適にするソリューションの実証実験などを開始している。

 東京・御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンターで開催された「IoT H/W BIZ DAY 2019 by ASCII STARTUP」でのセッション、「スマートシティの現在を聞く 日本発データ利活用型都市の可能性」について、清水建設 LCV事業本部 ソリューション営業部の溝口龍太氏による豊洲スマートシティ構想の講演と、アスキースタートアップ北島幹雄とのトークセッションの模様をお届けする。

豊洲スマートシティ構想 ~Society5.0(超スマート社会)の実現に向けて~

清水建設 LCV事業本部 ソリューション営業部 溝口龍太氏

産官学が共同で推進する豊洲スマートシティ構想

 先進的技術の導入や都市が抱える課題の解決など、スマートシティは国を挙げて推進すべき試みとなっている。その中で都市型スマートシティは、都市活動における情報をセンサーなど活用して吸い上げ、分析し、市民や就労者、企業、行政サービスなどを合理化、最終的には都市における生活をより快適にしていくソリューションの創出・運用を目指すプロジェクトとなる。

都市型スマートシティとは?

 国内で複数の事業団体がスマートシティの実証実験を進めているが、今回のセッションで説明された豊洲エリアは東京ガスやIHI、東京電力の工場閉鎖を機に急速に高層マンションや商業施設などの開発が進んでいる。築地市場が豊洲に移転し、隣の晴海埠頭では東京五輪の選手村の建設中。再開発エリアとして注目を集めている。

 本プロジェクトには豊洲に居を構える企業のほか、豊洲関連企業、技術提供企業、スマートシティに関する情報銀行の設立を目指す金融機関、社会基盤学専攻(交通、都市、国土学区)の大学教授に加え、地元町会や市場の組織が参画・連携している。

 再開発エリアとしての注目の一方で、豊洲は現在急激に都市開発が進んでいるため、公共交通機関の整備が追い付かず、豊洲駅の混雑など、課題が生まれている。豊洲5丁目のオフィス、ホテルの開発にあわせ、交通ターミナルを設置し、既存の交通手段であるゆりかもめ、羽田・成田をつなぐバスや、BRT(bus rapid transit;バスの専用道路などを使った大量輸送交通)といった新しい交通手段にシームレスに乗換が可能な交通結節点を目指す。さらに自動運転時代を見据えた小型モビリティ、カーシェア、船着き場の活用など、次世代のモビリティの活用を実証して、あらゆるモビリティをハード・ソフトの両面で整備しようと検討されている。

豊洲エリアの概要

 また、街の見える化として豊洲駅のデータを可視化し、どのようにマネージメントするかが検討されている。街を可視化し、スムーズな移動の実現に向けて、屋内外をシームレスにつなぐ音声ナビゲーションの実証実験が進められている。ナビゲーションはスマートフォンで行なうのだが、現在のGPSで建物の中ではうまく稼働しないため、建物内にビーコンを設置し、2mほどの誤差で目的地へ案内するという。このシステムは視覚障害者やベビーカー利用者に対し、バリアフリーな経路を通って目的地に案内する事も可能になるようだ。

 交通以外では、生活、健康、医療、キャッシュレス、情報銀行といったソリューションの実証実験なども進められている。医療分野では誰もが自分の医療情報をいつでも、どこからでも呼び出せる社会インフラとしての情報銀行の整備に向けた実証実験中。

 防災分野では高度自然言語処理プラットフォームを活用して、SNSにアップされるさまざまな被災情報をエリア別、事象別に内容を瞬時に分類し、街の中のデジタルサイネージに表示する事を検討中。9月29日には、SNSを活用した防災訓練の実証実験も開催されている。

国土交通省スマートシティモデル事業における取り組み

豊洲スマートシティの個別テーマ

高度自然言語処理プラットフォームの活用例

 溝口氏は、「豊洲の街において、スマートシティエコシステムを確立していきたい。さまざまなアイデアを活用できるようにスタートアップをどんどん受け入れて協業していきたい」と来場者に呼びかけていた。

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