このページの本文へ

ラグビー界のレジェンド・大西将太郎氏が解説する「W杯の見どころ」

2019年09月16日 06時00分更新

文● 清談社(ダイヤモンド・オンライン

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
ラグビーの試合風景
初心者でも「これさえ知っておけば試合を楽しめる」ポイントを解説してもらった Photo:PIXTA

日本でのラグビーW杯開催が間近に控えるなか、これを機に観戦してみようかと思っている人も多いはず。しかし、ルールがよくわからず、なかなか興味を持てない人も少なくないだろう。そこで、今回は元ラグビー日本代表で、初の著書『ラグビーは3つのルールで熱狂できる』(ワニブックス)を上梓した大西将太郎氏に最低限知っておくべきルールやポジション、今大会の注目選手について詳しい話を聞いた。(取材・文/清談社)

すべてのルールを
理解する必要はない

――ラグビーは野球やサッカーなどのスポーツに比べて、ルールが複雑でよくわからないという声が多いです。大西さんはこの意見をどう考えていますか。

 これまでラグビーを見ていない人にとって、もっともな感想だと思います。確かに他の競技と比較しても、細かなルールが多いですし、言葉で説明するのが本当に難しい。ただ正直なところ、あまりに複雑すぎて選手たちもすべて理解しているわけではないんです。

――プレーしている選手たちもすべてのルールを把握していないのなら、試合中にわからないシーンが出てきても当たり前ですね。

 そうなんです。しかも、そのルールもよく変更されますから。今回のW杯が初めてのラグビー観戦だとしても、まったく心配いりません。まず最低限のルールを押さえておけば、ラグビーは楽しいスポーツだということを多くの方に知ってほしいですね。

――その最低限知っておくべきルールは、どんなものがあるでしょうか。

『前にボールを投げてはいけない』(スローフォワード)と、『前にボールを落としてはいけない』(ノックオン)、『自陣のボールよりも前にいる選手はプレーできない』(オフサイド)の3つだけを、まずは覚えていただきたいですね。どんな試合でも、必ずといっていいほど頻発する反則なので、これらを理解できるだけでも、ラグビーを楽しめるはずです。

得点方法とポジションを理解すれば
ラグビーがわかる

■大西将太郎 ラグビー元日本代表、解説者。日本代表として、通算33キャップ(試合)に出場。2007年W杯フランス大会のカナダ戦では試合終了直前に同点ゴールを決め、12-12と引き分けながらも、日本代表のW杯連敗記録を13で止めた立役者。 2016年の現役引退後は、JSPORTSやWOWOWのラグビー解説者をつとめ、2019年ラグビーW杯の認知活動、ラグビーの普及活動に尽力している。近著に『ラグビーは3つのルールで熱狂できる』(ワニブックス)

――基本的なルールのほかに、何を押さえておくべきでしょうか。

 意外に知られていないのが得点方法のパターンかもしれません。ラグビーで点が入るプレーは、“トライ”と“ゴールキック”の2つしかありません。トライには『通常のトライ』(5点)と『ペナルティートライ』(7点)の2種類があり、ゴールキックには、トライ後に必ず与えられる『コンバージョンキック』(2点)と、相手の反則によって得られる『ペナルティーゴール』(3点)、『ドロップゴール』(3点)の3つがあります。つまり、得点の仕方は全部で5種類あるのです。

――最後のドロップゴールは、あまり聞き慣れないですが、どういうプレーなんですか。

 ドロップゴールとは、インプレー中にボールを地面に落とし、跳ね返りを蹴って、ゴールキックを成功させた場合、得点が認められるゴールのことです。プロのリーグ戦でもめったにないプレーなのですが、W杯のようなハイレベル国同士の試合になると、そう簡単にトライできませんので、ドロップゴールを狙うシーンが多くなってきます。

――あと、ラグビーはポジションが複雑なイメージがあります。

 ラグビーはメンバー15人のうち、前陣8人がFW(フォワード)、後陣7人がBK(バックス)と呼ばれ、2つに分けられます。さらにFWは3種類、BKは5種類に分かれて、全部で8ポジションあります。しかし、いきなりこれらすべての役割を覚えるのは大変ですので、最初はこのFW、BKの大きな枠組みをしっかり理解しましょう。

 まずFWはスクラムを組んだり、相手選手にタックルを仕掛けたりするのが仕事なので、体が大きな選手が務めます。一方、BKは、FWが確保したボールをパスやキックで回して、得点に結びつける役割を担っています。

日本代表のホープ
姫野和樹に注目

――間もなくW杯が開幕しますが、初心者でもプレーのすごさがわかるような注目選手を挙げていただけますか。

 候補がたくさんいて悩むところなんですが、ここでは現状でも世界トップクラスの実力を持ちながらも、まだまだ成長著しい選手を3人紹介します。まず1人目は、イングランド代表のマロ・イトジェ。この選手は両親がナイジェリア人というルーツがあり、身長195cm、体重115kgというたくましい肉体が武器。しかもスピードも兼ね備えており、軽やかなステップで相手をかわしていくランは爽快感があります。

――体が大きい上、足も速いのは相手チームにとって脅威ですね。

 スピードでいうなら、ニュージーランド代表のリーコ・イオアネも素晴らしい選手です。『世界で最も勢いに乗るウイング』の異名があるほどで、今年22歳と若く、まだまだ伸び盛り。世界最強ともいわれるニュージーランド代表(オールブラックス)の歴代選手と比べても、ナンバーワンのダッシュ力との呼び声が高いです。名前のリーコは、元サモア代表のお父さんがプレーしていた日本の『リコー』が由来で、日本にも縁があるんです。ただ、オールブラックスは選手層が厚いので、ほかの選手の調子次第でもしかすると出場機会は減るかもしれません。

――日本代表で注目選手はいませんか。

 もちろんいますよ。1人選ぶなら、ずばり姫野和樹選手ですね。身長187cm、体重108kgの日本人離れした体格で、外国人選手にもまったく引けを取らないフィジカルの強さは、すごいです。タックルを受けても、びくともせず前へ進み続けるプレーは圧巻のひと言。初めて見る人は驚くと思いますし、そのままトライを狙えるスピードもありますから、一番活躍が期待されている選手ですね。少し残念なのはW杯直前になって、けがをしてしまい、万全の状態で出られるのかまだ不透明な点。それでもまだ25歳ですし、これからの日本代表を間違いなく支えていく存在になるので、ぜひチェックしてみてください。

――最後に、ほかのスポーツにはないラグビーの魅力とは何でしょうか。

 ラグビーは、どんな競技と比べても、全員で力を合わせて戦わなければ勝てないスポーツ。1人だけでは、当然相手の得点を防げませんし、点を入れることもできません。なので、野球のピッチャーのようなエースポジションはないのです。ラグビーには、『One for all.All for one』(ひとりはみんなのために。みんなはひとりのために)という有名な言葉があります。15人全員で勝利に向かう姿を、ぜひ今回のW杯で見ていただきたいですね。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

カテゴリートップへ

最新記事
最新記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ