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さくらの熱量チャレンジ ― 第35回

サービス規模拡大で画像レスポンスに遅延発生、CDNでは解決できなかった悩みを解決した背景を聞く

映画/ドラマ情報の「Filmarks」、画像配信の悩みをImageFluxで解決

2019年09月19日 08時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp 写真● 曽根田元

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 国内最大級、7000万件超のレビューが集まる映画・ドラマのレビューサービス「Filmarks(フィルマークス)」。モバイルアプリとPCブラウザから、上映中/公開予定のタイトルや上映館といった情報だけでなく、ファンによる熱量のこもったレビューが読めることで人気を集めるサービスだ。

 そのFilmarksでは昨年(2018年)秋から、画像配信システムにまつわる問題を解消するために、ピクシブ(pixiv)とさくらインターネットが共同で開発/提供する「ImageFlux」を採用している。FilmarksはなぜImageFluxを必要としたのか。Filmarksの広報を担当するディレクターの柏木雄介氏、インフラ開発や運用を担当するSREエンジニアの久松佳之氏に、サービスの生い立ちからシステムが抱えていた課題、ImageFluxの導入効果までを聞いた。

映画・ドラマのレビューサービス「Filmarks(フィルマークス)」。ユーザーによる“口コミ”レビューが人気だ
株式会社つみき Filmarks事業部 ディレクターの柏木雄介氏、株式会社つみき Filmarks事業部 SREエンジニアの久松佳之氏

豊富な情報と熱量のあるコミュニケーションで“映画好きのツボを突く”

 Filmarksは、2008年に創業しWeb制作の受託事業(UI/UX事業)を展開してきた株式会社つみきが、2012年8月に立ち上げた映画レビューサービスだ。サービス立ち上げのきっかけについて、柏木氏は次のように説明する。

 「元々のアイデアは、弊社代表の鈴木(代表取締役社長の鈴木貴幸氏)がある日、近所のTSUTAYAに行って思いついたものです。『何か映画を観よう』と思って行ってはみたものの、店頭にたくさんソフトが並ぶ中からどの映画を観ればいいかわからない。そこでまずは、観たい映画を手元のスマホで検索したり、観たいと思ったときに“備忘録”としてメモしておけたりするサービスがあればいいんじゃないか、と考えたそうです」(柏木氏)

柏木氏のイチオシ映画作品は「フォレスト・ガンプ/一期一会」。「王道のヒューマンドラマ。2、3年に一度は観直しますが、何度観ても楽しいし感動します。自分の人生観にも影響を与えた、人生に勇気が出る映画ですね」

 Filmarksは映画/ドラマのデータベースを備えており、現在の登録数はおよそ8万タイトルに及ぶ。作品の題名だけでなく、ジャンルや製作国、監督や出演者、映画館で現在上映中かどうかといった豊富な条件で検索できる仕組みなので、ユーザーは観る映画の幅を広げることができる。気になる作品を見つけたら、「Clip!(観たい)」ボタンをタップするだけでそれを記録しておける。

観たい作品を発見したら「Clip!」ボタンでメモしておける

 だが、これだけならば同様のサービスはほかにもあるだろう。Filmarksの大きな特徴となっているのが、実際に映画/ドラマを観たファンによる感想や評価、つまりレビューの投稿機能だ。レビューそのものに「いいね!」やコメントを付けたり、レビュー画面から直接その作品をClip!したり、自分と好みの近いレビュアー(ユーザー)をフォローしたりすることができる。

 冒頭に触れたとおり、現在ではレビュー数は7000万件超にもなっている。このレビュー機能も、社長の鈴木氏が「こういうサービスがあればいいのに」と思いついたものだという。

 「皆さんも『先週末にこんな映画を観たよ!』という会話で盛り上がったことはありますよね。そうした会話、つまり映画を切り口としたコミュニケーションが日本中で展開されているのであれば、それをオンラインにまとめたら面白いのではないか、という発想です。もちろんほかのSNSでも感想をつぶやくことはできますが、あえて“映画/ドラマに閉じた”場を提供することで、コミュニケーションもより濃密なものになるのではないかと考えました」(柏木氏)

作品鑑賞後は「Mark!(観た)」で記録。スコアやレビューが他の映画/ドラマファンとのコミュニケーションのきっかけにもなる

 たしかに面白い映画やドラマを観たら人に勧めたくなるし、身近な人が熱心に勧める作品ならば観てみようと思うだろう。そうしたコミュニケーションの熱量が、Filmarksの成長を支える魅力となっている。柏木氏自身もユーザーとして映画レビューを書くことがあるが、「自分のレビューがきっかけで作品を知り、Clip!してくれるユーザーがいればやはりうれしいです」と語る。ちなみに、熱心なレビューに対して監督や出演者からコメントが付くこともあるそうだ。

 こうしたコミュニケーションが、作品の運命そのものを変えることもある。昨年公開された映画「カメラを止めるな!」がその良い例だ。公開当初は上映館も少なく、興行ランキング圏外の作品だったが、観た人が「面白かった!」と口コミで感想を広げたことで観客動員が飛躍的に伸び、大ヒット映画となった。「興行ランキング1位の映画が、その人にとって一番の映画であるとは限りませんから」と、柏木氏はさまざまなタイプのユーザーがレビューできることの価値を強調する。

 Filmarksでは、2017年9月にドラマ情報やレビューにも対応を開始し、さらに昨年12月には全国映画館の上映スケジュール機能を追加した。現在地に近い映画館の上映スケジュールもすぐにわかる。また各作品の詳細情報ページには、その作品を動画配信サービスですぐに観られるリンクも用意されている。

 サービス開始当初から特に派手な宣伝をするわけでもなく、それでも着実に成長を続けてきたFilmarksは、2019年7月現在で月間利用者数(MAU)が380万人超という規模になっている。自らも映画ファンの一人である柏木氏は、こうした成長の背景には“映画好きのツボを突く”サービスを提供してきたことがあるのではないかと分析する。

 「サービスをリリースした当初、ほとんど宣伝していなかったにもかかわらず300人くらいのヘビーユーザーが集まりました。その声を聞きながら改善を重ねてきた結果として、映画好きのユーザーにとって見やすい、使いやすいサービスが出来上がったのだと思います」(柏木氏)

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