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日産・西川社長の「後継者リスト」に載った日本人幹部4人の実名

2019年09月12日 06時00分更新

文● ダイヤモンド編集部,浅島亮子(ダイヤモンド・オンライン

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日産「後継者レース」の行方
Photo by Fusako Asashima

急転直下の解任劇で西川廣人・日産自動車社長が失脚した。カルロス・ゴーン前会長の逮捕からわずか10ヵ月の天下だった。すでに、日産社内の関心は「後継者レース」へ移っている。指名委員会が選別した候補者リストには、日本人の日産経営幹部4人が含まれていることが確実視されている。(ダイヤモンド編集部 浅島亮子)

 西川廣人・日産自動車社長兼CEO(最高経営責任者。65歳)の電撃辞任が決まった翌日の9月10日午前の東京株式市場では、日産株に買いが集中した。社長辞任で企業統治が改善されるとの期待が高まり、一時、日産株がストップ高になったのだ。

 西川氏にとっては、なんとも後味の悪い引き際である。

 急転直下の“解任劇“だった。SAR(株価連動型インセンティブ受領権)と呼ばれる業績連動報酬を不正に受領した問題で集中砲火を浴びてもなお、西川氏は日本人3人の社外取締役を味方に付ける多数派工作で、9日の取締役会を乗り切るつもりだった。

 仏ルノーとの緊張関係がピークに達し、かつSARの問題が発覚していたにもかかわらず、6月末の株主総会を切り抜けられたことが、西川氏の自信につながっていたのかもしれない。

 だがふたを開けてみれば、取締役会で辞任すべきだと口火を切ったのは、西川氏の腹心の部下である山内康裕COO(最高執行責任者。63歳)だった。

 ある日産幹部は、「かねて山内さんは、直接、西川さんに辞任を促していた。西川さんが受領した不正報酬金額が世に出た段階で社員のショックは大きく、西川体制では持ちこたえられないと判断したのではないか」とおもんぱかる。

 取締役会では、社外取締役のジェニファー・ロジャーズ氏と井原慶子氏が山内COOに同調し、ジャンドミニク・スナール・ルノー会長も呼応する形で「西川退任」の流れができた。四面楚歌の西川氏になすすべは残されておらず、取締役会の要請を西川氏が受け入れたことで、9月16日付での辞任が決まった。

 取締役会終了後に、妙にサバサバとした表情で記者会見場に現れた西川氏。「辞任は前から決めていた」と繰り返すだけで、「ゴーン氏に悔いてほしい」と発する以外は、最後まで公の場で本音を吐くことはなかった。

 もっとも、西川氏は近しい経営幹部には、「引責辞任だとは思っていない」と主張し、悔しさをにじませる一幕もあったという。それでも、「(取締役の任期は残っているが)来週以降、会社に来ることはない」とも漏らしている。

後継者リストに記載されている日本人幹部4人

 すでに、社内の関心は西川氏の後継者の選定に移っている。

 この6月に、日産は指名委員会等設置会社へ移行したばかり。後任は、10月末までに指名委員会で選出されるとしており、それまでの間は山内COOが暫定的にCEO職を代行する。

  指名委員会委員長を務める豊田正和取締役(経済産業省出身)は、「7月の段階で、社内外の社長候補者100人以上から約10人へ絞ったロングリストを作り、今ショートリスト化している(選別している)ところだ」と言う。

 豊田取締役の説明を要約すると、約10人の「後継者リスト」には、日産の経営幹部、ルノー出身者、外国人、女性などが含まれているとのことだ。

 では、実際の後継者レースはどう展開するのか。まずは、日本人の現役日産経営陣を中心に選別されることになるだろう。

 複数の日産幹部によれば、後継者リストには、日産の最高意思決定機関として強い執行権限を有する「エグゼクティブ・コミッティ(EC)」のメンバー4人が含まれている。

 すなわち、暫定CEOの山内氏に、星野朝子副社長(日本・アジア、グローバルマーケティング担当。59歳)、関潤専務(傷んだ業績のリカバリー担当。58歳)、内田誠専務(中国担当。53歳)を加えた4人である。

 「当座の混乱を乗り切るには山内暫定CEOが適任だが、向こう5年の長期スパンを視野に入れると、関専務か内田専務が昇格する見方が濃厚だ」(日産幹部)。また、山内氏のワンポイント・リリーフの後に関専務や内田専務へバトンタッチという選択肢もあり得る。

日産の内政混乱に付け込むルノーの強かさ

 目下のところ、地域統括と機能統括の双方を束ねている山内体制への移行が最もスムーズなはずだが、山内CEO誕生には三つの障害が立ちはだかっている。

 一つ目は、今回、山内氏がすんなりCEOへ昇格せずに、あえて「暫定CEO」に踏みとどまった背景には西川氏の意向が関与しているというのだ。

 最後の最後に腹心の部下に裏切られたとの思いがある西川氏が、自分と道連れに山内氏も暫定政権で終わるように仕向けたという見立てが経営内部でもある。

 二つ目は、指名委員会委員も兼ねている社外取締役メンバーが、新CEOに「経営刷新のイメージ」を求めていることだ。本はといえば、西川氏も山内氏もカルロス・ゴーン政権時代の経営上層部であり、二人のバトンタッチでは新味に欠けるというのである。

 最後の三つ目は、日産の内政混乱に乗じてルノーがトップ人事に介入するリスクである。

 その意味では、西川氏の解任が決まった瞬間に、ルノーとの攻防はすでに始まっているといえるかもしれない。実際に、「日本人が中心だった後継者リストにルノー勢を含めた外国人を追加するよう指名委員会へ提案したのはスナール会長ではないか」(日産関係者)という。ちなみにスナール会長は指名委員会メンバーでもある。

 底の見えない業績悪化に歯止めをかけること。日産への支配力を強めるルノーを制して健全な提携関係へ戻すこと。くすぶり続ける欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)とルノーとの統合交渉再開を阻止すること──。新たなCEOが果たすべき重責が増していることだけは確かだ。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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