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50代からの「モテ」、若いときにモテた人が陥る落とし穴とは

2019年09月11日 06時00分更新

文● 齋藤 孝(ダイヤモンド・オンライン

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バランスの取れた会話、雑談ができるかどうかの他に大切なのが「節度」(写真はイメージです) Photo:PIXTA

「人生100年時代」といわれる現代。人生の「1周目」が50歳ぐらいまでだとすると、そこから「2周目」が始まります。しかし、50代は体力的、精神的な衰えを実感しやすく、「2周目」に希望を持てない人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、明治大学文学部教授でメディアでも活躍されている齋藤孝氏の最新刊『人生は「2周目」からがおもしろい』(青春出版社)から、50代からの「2周目」を楽しむために必要な心構えを紹介します。

1周目でモテた人がよくやる大失敗とは

 人生が2周目に入ってくると、外に出て人と接したいという人に必要なのは、容姿でもお金でもありません。相手の話をうまく受け止めて、適切に返しができるか?相手が話したいときは聞き役に回り、逆に自分が話した方がいいと思う場面では楽しい話をするといった、バランス感覚のある会話力、雑談力が重要になってきます。

 小難しい政治や経済の話はまずウケません。自分の体験談、日常で感じたことやちょっとしたエピソード、しかも話は流れに応じてコロコロと自由に変わった方がいいでしょう。やたらと一つのテーマを延々と語ったり、愚痴や文句などマイナスの話は基本的にNG。ただし、よほど関係性ができて、お互いが相手を知り、信頼関係ができてからであれば、愚痴にも文句にも付き合ってくれる可能性があります。そういう関係性が築けたらそれはありがたいことですが、そうなるにはある程度の時間が必要です。

 こういったバランスの取れた会話、雑談ができるかどうかの他に大切なのが「節度」。飲み屋のような社交場でも、セミナーや勉強会のような場でも、節度がある人とない人は大きな差ができます。

 若い頃にモテた人にありがちですが、節度がない人はその場にいるきれいな女性にやたらと近づこうとします。しかし酷な言い方かもしれませんが、オジサンはすでに存在だけで鬱陶しく思われていると考えて間違いありません。グイグイ迫ったら相手は引いてしまいます。「若者にはない渋みがあるはずだ」と思いたい向きもあるかもしれませんが、残念ながらその「渋み」は売りになりません。「渋み」のつもりが、単なる加齢臭になっていないか謙虚さをもってチェックし、節度を持って女性と接することができる人が、歓迎されるのです。

 まだまだ若い男性と同じ土俵で闘えるなんて錯覚を起こしたらダメです。嫌われないように口臭や体臭を抑えて、小ぎれいな身なりにして不快感を与えない。それだけでもう十分に良しとすべきで、それ以上を望まず満足することが重要です。嫌われないためにディフェンシブに生きる。モテようとオフェンスに回るなど勘違いもはなはだしいと肝に銘じることが、身を助けるのです。

 大事なのは、その場にいる、話し好きで皆のリーダー的存在になっている中高年の女性に、まず「ここにいてもいい存在」として認めてもらうことです。日本には、コミュニケーションが上手で、周りから頼りにされているこういう女性がたくさんいらっしゃいます。その方に、「この人は危険な存在ではない、むやみに空気を乱したり過去の栄光をひけらかす人ではない」「この場にふさわしい言動をする、節度をわきまえた人だ」とわかってもらうことが第一です。そう思われてはじめて「あなたはここにいていいですよ。歓迎します」ということになるわけです。

 こういったバランス感覚が、2周目では欠かせません。女性は基本的に話すのが好きですから、彼女たちが話し出したら聞き役に徹しましょう。私なりの雑談のポイントは「嫌味を言わない」「しつこくしない」「節度と落ち着きがある」「自慢話をしない」「相手の話をよく聞く」など。これらを意識すれば、どんな方とも会話を楽しむことができるでしょう。1周目の「モテ順位」なんてもうまったく関係ないのです。

2周目の男女関係の醍醐味とは

 2周目の男女の関係は、1周目のように「モテる人」と「モテない人」の格差が大きくなるような競争的なものでなく、もっと穏やかで人間的な関係がつくれるのが特徴です。場と立場をわきまえて節度のある関係を築く。お互いに人間的な信頼関係が基本にあるから、話をしていて落ち着く、ホッとする。そんな関係が築けるのが2周目の男女の関係の醍醐味でしょう。

 たとえば小さなスナックでママさんといろんな話ができる関係を築く。それは決して男女の関係を期待しているわけではないけれど、大人の女性と話して少しホッとする、楽しいという感覚でちょっといい気持ちで家に帰る。これは精神衛生上もいいと思います。

 地方で地元のスナックに行くと、付近に住んでいるおじさんたちがボトルを入れて通っているのを見かけます。スナックが憩いの場であり、ああこうやって夜を過ごしているんだなというのがよくわかる。全体にアットホームでとてもいい空気感なんです。

 もちろん男同士の飲み会もいいのですが、ママさんのような大人の女性が話し相手をしてくれる場も大切です。それでいてキャバクラのように高くない。せいぜい数千円で飲んで話ができてカラオケが歌える。男性だけで飲んでいては感じられない刺激があります。若い頃のようにギラギラしたものではないけれど、「モテてみたかった」、「もしもかなうものならもう少しだけ……」と燻っている残り火を適度に燃えさせてくれる感じ。地方のスナックというのは絶妙なバランスの上に成り立っている社交場なのです。

 スナックでなくても、このような自分がリラックスできる場所、それでいて適度に刺激を受けることができる場所を何軒か持っているといいと思います。

 一方で、自分は外に出なくてもいい、誰とも会話しなくても一人で趣味の世界に入っているだけで満ち足りている、そういう人はそれでいい。「知足者富」(足るを知る者は富む) という老子の言葉もあります。ただし、外に出て人と会いたい、会話をしたいという人は、このような行き場所をいくつか持つといいでしょう。

気に入った居場所を「守る」ためにできること

 先述した地方のスナックのように、人生2周目でホッと一息つける場を見つけるというのは大きなポイントであり、それができるのが2周目のよさでもあります。そして時には、そういう心のホーム、第二の故郷を何とかして守りたいと、サポートするのも2周目の人生のテーマだと思います。

 これはネットの投稿で知った話ですが、ある街で昔からある地元の焼き鳥店の上に、焼き鳥チェーン店が出店することになった。下の焼き鳥屋さんには昔ながらの常連さんが多かったのですが、誰が見ても大手チェーンの出店で潰れてしまうと思われた。そこで常連さんたちに火が付いたのです。「自分たちの居場所を失ってなるものか」と、今まで以上の勢いでその店に足を運び、ものすごい勢いで食べ続けたというのです。

 その結果、当初危ぶまれていた古い焼き鳥店が繁盛する代わりに、完全に優勢だと思われていた大手チェーンが逆に苦戦を強いられているそうです。実際、今このような一軒もののお店は、大手チェーンに押されたり、継承者がいなくて高齢化でやむなく閉めたりして、どんどん姿を消しているでしょう。しかし、一軒もののお店の良さは、何と言ってもそこでしか食べられないもの、味わえないものがあること。そして、何より店長のこだわり、お店とお客さんに対する愛情のようなものといった“心”を感じるところです。

 おそらくその焼き鳥店の常連さんにとっては、自分たちのホームが奪われることが何より悲しいことであり、絶対に阻止しなければならないことだったのでしょう。彼らのように、自分の居場所を作るだけでなく、守る。そのためには定期的に通い、お金を落とす。2周目は居場所を見つけるとともに、それをサポートするという気持ちと行動も大切になってくると思います。

 人生2周目では、1周目で見えていなかった景色がだんだん見えてくるようになります。がむしゃらに頑張る1周目を卒業し、むしろ肩の力が抜けて楽になる部分もあるのです。2周目だからこそできることや広がる可能性を見失わなければ、1周目よりもっと人生を楽しめるはずです。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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