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Xperia温故知新! 波瀾万丈な歴史を紐解く 第38回

シリーズの軌道修正に成功し今でも売れ続ける「Xperia XZ3」

2019年09月17日 12時00分更新

文● 君国泰将 編集● ASCII編集部

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 日本でAndroidスマホといったらXperia! というくらい、スマートフォンのブランドとして認知されている「Xperia」。常に最新の技術とスマホのトレンドを取り入れて業界の最先端を走るXperiaシリーズですが、その歴史は決して順風満帆ではありませんでした。これからのXperia、ひいてはスマートフォンの来し方行く末を、ソニー大好きライターの君国氏に写真とともに紐解いてもらう連載です(基本的に登場するのは国内で発売されたモデルのみです)。

XZ2シリーズのネガを払拭した
「Xperia XZ3」

 いよいよ「Xperia温故知新」も残り2回。今回はつい最近と思えて実は1年前の「Xperia XZ3」です。今でもeSportsで公式端末として使われているなど、まだまだ現役の端末です。

 Xperia XZ3は2018年後半にドコモ、au、ソフトバンクの3キャリアからリリースされました。2018年前半に登場した「Xperia XZ2」シリーズは、背面が膨れたデザインや重量バランスなど辛口な評価を受けることが多く、Xperiaの今後が非常に危ぶまれる状況にありました。

 しかしながら、その後に登場したXperia XZ3は大きく軌道修正を実施。本体サイズは、73×158×3~9.9 mm、重さは193gと、同クラスのXperia XZ2と比べると、横幅の差は1mmとほぼ同じサイズ感のまま、縦方向に細長なスタイルになりました。また、Xperia XZ2では横からみると背面が大きく山なりになり全体的にずんぐりむっくりした印象でしたが、Xperia XZ3は有機ELディスプレーを採用したことにより、内部構造にバックライトが不要となったぶんだけ薄型化に成功。さらに前面、背面ともに強度の高い「Gorilla Glass 5」を採用して、艷やかなガラスの質感とともにスタイリッシュなボディーになりました。

 ディスプレーサイズは6型(2880×1440ドット)のアスペクト比18:9と大型化。左右に加えて上下のベゼルに対するディスプレーの専有面積も増加し、本体サイズをキープしつつ、大きい画面の操作性を担保しています。ディスプレーのサイドには、タッチすることでよく使うアプリを呼び出せたりバック動作としても使える「サイドセンス」を備え、これは「Xperia 1」などにも受け継がれています。

 Xperiaとしては初の有機ELディスプレーを搭載したことも話題になりました。有機ELの自発光ならではのコントラストの高さや、暗いシーンの階調表現、広い色域の表現力を最大限に活かすことができました。また、幅広い色域で豊かな自然の色合いや繊細な色の違いが再現する「トリルミナス ディスプレイ for mobile」や、リアルタイムで映像を解析し、圧縮や伝送により失われた本来の質感やディテールを再現する「X-Reality for mobile」、動画についても高輝度と深い黒の高コントラストが表現できる「ダイナミックコントラストエンハンサー」といった、自社の4Kテレビ「BRAVIA」の技術を取り入れられています。

 HDRに対応し、SDRをHDRの動画に変換する「HDRアップコンバート」機能も備えており、このようなディスプレーの進化がXperia XZ3の評価を上げたと言えるでしょう。

 スペックをチェックすると、プロセッサーはクアルコムの「Snapdragon 845」、メモリーは4GB、内蔵ストレージは64GB、外部ストレージは最大400GBのmicroSDXCに対応と、ハイエンドの主流は押さえています。

シングルカメラだが、暗所に強く
スーパースロー撮影も可能

 メインのカメラはシングルながら約1920万画素の1/2.3型メモリー積層型CMOSイメージセンサー Exmor RS for mobileとなる「Motion Eyeカメラシステム」を備えています。ポケットから取り出してサッと構えるだけでカメラを起動する「スマートカメラ起動」や、2枚の写真をとってボケを演出する「ぼけエフェクト」、フルHD画質で最大960fpsのスーパースローモーション撮影や、4K動画撮影ではHLG(Hybrid Long Gamma)フォーマットの4K HDRでの撮影など、最新機能が盛り込まれています。

 背面には、メインカメラのほかに、NFCとQi(チー)方式のワイヤレス充電、指紋認証センサーを搭載。指紋センサーは、右手と左手どちらの手で本体をつかんでいても人差し指で簡単に認証解除できるというメリットがありながら、位置的に本体を掴んだ際に指紋認証の上にあるカメラのレンズを触ってしまうというミスがあるのは玉にキズ。

オーディオ機能はそのまま継承

 オーディオ機能について、ワイヤレスヘッドホンで高音質を楽しめるBluetooth コーデックはLDACとaptX HDに対応。一方でステレオミニプラグは前モデルから同様に廃止され、有線のヘッドホンが使いたい場合にはUSB Type-Cからアダプターからの経由で対応します。

 フロントステレオスピーカーは、Xperia XZ2と比べて音量は20%アップ。バーチャルサラウンド技術「S-Force フロントサラウンド」によって仮想的に立体感のある音を再現するので迫力あるステレオサウンドを楽します。

 加えて、音をリアルタイムに解析して、ソニー独自のアルゴリズムとパワフルなアクチュエーターからコンテンツに合わせて本体が振動する「ダイナミックバイブレーションシステム」も継続採用され、動画視聴時に体に伝わる臨場感を味わえます。

ロングセラーモデルになりましたが
このデザインはこれにて終了

 基本デザインは、Xperia XZ2シリーズと変わっていませんが、待望の有機ELディスプレーが投入されたことと、より薄くスタイリッシュになったことでその評価は一変し、今でも売れ続けているロングセラーモデルになりました。

 この後、Xperia XZ2やXperia XZ3を踏襲したモデルへの流れが続くと思われた2019年は、劇的な変化を遂げたモデルへとバトンタッチしていくのです。

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