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業界人の《ことば》から 第358回

ガン治療にクラウドの活用が必須になってきた

2019年09月03日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII

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どんな薬剤が効果的かまでわかるChrovis

 Chrovisは、高速に自動データ解析をする「Chrovis Analysis」、臨床的意義のもととなる知識データベース「Chrovis Database」、エビデンスに基づいたレポーティングをする「Chrovis Report」で構成。

 医師による診察でガンの疑いがあった場合、ガンゲノム医療では、生体検査をもとに、次世代シークエンス(NGS)を用いた遺伝子情報を読み取る。

 NGSから得られた遺伝子情報をもとに、Chrovis Analysisで解析し、解析情報をもとに、知識データベースであるChrovis Databaseによって、遺伝子変異点の意味づけをするとともに、薬剤情報と紐づけし、最適な薬や治療方法を示すことができる。

 Chrovis Databaseでは約2800万件の論文や、医師やキュレーターによって公開されている情報、薬の情報や臨床試験の情報が蓄積されており、合計で7億件もの情報があるという。ここでは、自然言語処理による独自の検索エンジンを開発。ガンに関係がある論文だけを抽出して、取り込んでいる。

 また、独自の類義語辞典によって、薬の一般名称と製品名、治験名称が異なる場合にも、同じものとして認識。さらに、パラフレーズ検索によって、論文や薬剤情報で使用されている略語や、略語同士の組み合わせ、他言語での表現なども網羅して検索できるようにしている。こうした独自の技術がChrovisならではの特徴だ。

 Chrovis Databaseを通じて導き出された結果は、Chrovis Reportによって、患者ごとに個別化したレポートを作成。医師や患者に提供される。

 レポートでは、遺伝子のどの部分に変異が認められたのか、どんな国内承認薬が適用できるのかといったことが示され、新薬が予定されている場合にはそうした情報も付記される。

 医師に対しては、遺伝情報の分析だけに留まらず、どんな薬剤が治療に効果的なのかといった情報まで提供されるというわけだ。

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