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写真はイメージです Photo:PIXTA |
近年、ひそかにブームになりつつある「哲学」。関連書籍や、一つのテーマについて複数人で語り合う「哲学カフェ」も話題となっています。たしかに、大きな悩みや問題に直面したとき、哲学者や思想家たちが残した金言は、これからどう行動すべきかの指針となり得るでしょう。そこで今回は晴山陽一氏の『いまを乗り越える 哲学のすごい言葉』(青春出版社)から、古今東西の哲学者たちが残した数々の金言の中から、現代に生きる人たちの背中を押してくれるようなものを紹介します。
世界を動かそうとする者は、まず自分から動かなくてはならない。(ソクラテス)
古代ギリシャの哲学者で有名なソクラテスの言葉です。アテネの市民だったソクラテスの行動基準は、常にグローバルスタンダード。私利私欲からでも、自分の党派のためでもなく、いつも世界に恥じない行為を心がけていました。彼は、裁判所の判決に従って毒杯を仰いで死にましたが、心は常に世界を見ていました。
「心が変われば、行動が変わる。行動が変われば、習慣が変わる。習慣が変われば、人格が変わる。人格が変われば、運命が変わる」(ジェームズ)
この言葉を残したアメリカの哲学者、ウィリアム・ジェームズは哲学者であると同時に、卓越した心理学者でした。この言葉は、ヒンズー教の教えをベースにしているといわれています。もう一つジェームズの言葉をご紹介しましょう。
「今世紀における最大の発見は、人間は心構えを変えることによって、その人生を変えることができるということである」(ジェームズ)
ソクラテスの言葉の余韻は、今に至るまで世界に響き渡っているのです。
「困難だからやろうとしないのではない。やろうとしないから、困難なのだ。」(セネカ)
古代ローマの哲学者であるルキウス・アンナエウス・セネカの言葉です。実は、この論法を哲学者は非常に好みます。いくつか例をあげてみましょう。
「苦しいから逃げるのではない。逃げるから苦しくなるのだ」(ジェームズ)
実際、野原で見かけた蛇から逃げれば逃げるほど、ゾクッと恐怖感は増すものです。
「悲しいから泣くのではない。泣くから悲しくなるのだ」(ジェームズ)
この理論を応用して、こんなことを言った人もいます。「くよくよ悩む人は、姿勢が悪いから悩むのだ。逆に、胸を張ると、人間は悩むことができなくなる!」と。
フランスのアランも、同工異曲、同じ論法を使っています。
「笑うのは幸福だからではない。むしろ、笑うから幸福なのだ」(アラン)
ところで、イギリスの文豪、サマセット・モームはこんなことを言っています。
「毎日、嫌いなことを二つずつ行うのは、魂のためにいいことだ」(モーム)
これもまた、耳を傾ける価値のある名言です。ある小学教師が、「校庭のゴミを拾いなさい!」と号令をかけてもテコでも動かない子供たちに、「今日はゴミを三つだけ拾ってみよう!」と声をかけたら嬉々としてゴミ拾いに散らばった、といいます。ものは言いようですね。この言葉は、仕事におきかえても言えることではないでしょうか。
毎日を最後の一日のように思いつつ生きよ。(セネカ)
先ほどと同じく、セネカの言葉です。どんなに立派な考えを持っていても、眉間にしわを寄せ、毎日が楽しく意味ある人生でなければ、生きる価値を感じないのではないでしょうか?
この句を見て、アップルの創業者であるスティーブ・ジョブズの次の有名な言葉を思い出した方もいるのではないでしょうか。
「もし今日が自分の人生最後の日だとしたら、今日やる予定を私は本当にやりたいだろうか?」(ジョブス)
スタンフォード大学の卒業式で行った伝説のスピーチの最後のほうで語られた名句です。この「最後の日」という発想(思考実験)は、二千年前のセネカから、脈々と受け継がれているのです。
他にも、次のような言葉があります。
「明けゆく毎日をお前の最後の日と思え。そうすれば、当てにしていなかった日は、お前の儲けになる」(モンテーニュ)
「明日死ぬかのように生きろ。永遠に生きるかのごとく学べ」(ガンジー)
このガンジーの言葉では、人生は有限ですが、学びは永遠であることが示唆されています。
仕事や人生で行き詰まったときこそ、彼らの言葉を思い出してみてはいかがでしょうか。
※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら
