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荻窪圭の“這いつくばって猫に近づけ” 第625回

iPhone XSは鞆の浦、坂の上のお寺の夏猫たちを撮るのに最適

2019年08月31日 12時00分更新

文● 荻窪圭/猫写真家

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スマホの片手撮影を練習しておこう!

 キジトラの子が境内からいなくなると、台風を予感させる湿った暖かい風が時折吹く以外は、静寂と陽射しがあるだけになる。そういえばここは古戦場でもあったなと、遙か中世に思いを馳せつつそろそろ帰ろうかなと動き始めると、またもや下から歩いてくるヤツがいる。キジトラのハチワレである。わたしはその階段を降りようとしてるのに、これでは帰れないではないか。

境内に向かって階段を上ってくるキジトラのハチワレ。なんかぺろっと舌を出してる。2019年8月 オリンパス OM-D E-M1 Mark II

 このキジトラハチワレ、一目散に足元までやってきて、これである。いきなり撫でろと懐いてくるのである。入れ替わり立ち替わりやってくるのか?

階段にどかっと足を開いて座ったらその間にやってきたのであった。指を出すと頭をおしつけてくる。これは撫でてやらねばなりますまい。2019年8月 オリンパス OM-D E-M1 Mark II

 こう懐かれるとデジタル一眼では撮りづらいので、iPhoneに持ちかえる。こんな風に持つのである。

右手に持ち、親指で音量下キーを押す(シャッターとして使えるのだ)。方向はもう目分量で。2019年8月 オリンパス OM-D E-M1 Mark II

 そして撮ったのが冒頭写真。十分明るくて近距離ならスマートフォンでもこれだけ撮れるのだから便利なものである。画面を見ないで撮るから難しいけど、何度か撮ってチェックして角度を調節して、ってを繰り返すうちにコツはわかってくる。そうそう、できるだけメインの被写体を中央に置くこと。そうすると背景にピントが抜けにくくなる。そしてよしこれだ!ってのがこちら。

 左手で猫の頭を撫でながら右手で撮影。顎下から見る猫って、城とピンクのバランスがめちゃ可愛い。

下から撮ったので可愛い顎のラインとピンクの鼻が。ちなみにわたしの左手はおでこのあたりをぼりぼりしてる。2019年8月 アップル iPhone XS

 外猫ではあるけど、ちゃんと世話されているので毛並みもきれいだ。人がいない高台のお寺で猫と戯れる夏の朝。よいですなあ。でも時はまもなく午前8時。太陽も高くなり、気温も上がり、手持ちの飲み物がなくなったのでそろそろ戻るか、と階段を降りようとすると……、階段脇の斜面がこんなことに。

間隔を空けて並んでる2匹。これはもしかして行列? 順番待ち? 2019年8月 オリンパス OM-D E-M1 Mark II

 手前のは灰色とベージュと白の「低彩度ミケ」……はあんまりなので「淡色ミケ」とでもしておこう。その後ろにはハチワレ。相手してあげたいけど、こちらも暑くてつらいのでこの2匹はスルーすることにして階段を降り、どうしたかなと振り返るとそこには淡色ミケが階段からじっと見ているではないか。

ちょっと首を傾げてるところがまたたまらん。もちろん撮る。2019年8月 オリンパス OM-D E-M1 Mark II

 こんな調子で猫好き観光客や近所の人の心をつかんで離さないのですな。いやはや、もはやプロの観光大使猫である。さてもう1匹のハチワレはどうだったかというと……清く正しくにゃつバテ猫と化していたのであった。うん、暑いもんな。

これぞにゃつの猫。見事につぶれております。2019年8月 オリンパス OM-D E-M1 Mark II

 いやあ、田舎の海辺の街って猫が伸び伸びと寝そべる余裕がいっぱいあってよいですな。ちゃんと世話をされてるし可愛がってくれる観光客もいるし、海が近くて自然もあって猫的にはとても良い場所なので、次に訪れるときも出迎えてもらえたらうれしいなと思いつつ、わたしは台風が来る前に急いで東京へ戻ってしまったのであった。

 そして夏休みは終わる。

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筆者紹介─荻窪圭


著者近影 荻窪圭

老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/


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