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ロボットバトルは動物虐待?ユーチューブが動画を削除

2019年08月23日 07時58分更新

文● Charlotte Jee

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ロボットバトルの動画が動物虐待として削除されたことを受け、ユーチューブの自動削除プロセスに対して非常に興味深い疑問が生まれてきた。

ユーチューブが、ロボット同士が戦っている動画を「意図的に動物に苦痛を与えている」と誤解して削除していたことが明らかになった。動画の削除に最初に気づいたのはユーチューバーのメーカーズ・ミューズ(Maker’s Muse)だが、他にもロボットが戦うTV番組シリーズの「バトルボット」の競技参加者らが運営する多くのチャンネルが影響を受けた。複数の動画が削除されたサラ・ポホレッキーは、他に10人から15人の競技参加者も動画を削除されたとマザーボード(Motherboard)に語った。彼らの元には、動物を強制的に戦わせている動画の投稿は禁止されているというメールがユーチューブから届いたとのことだ。ユーチューブはその後、削除したロボット動画を復元し、コンテンツをサイトから削除したときにユーザーは決定に対する異議申し立てができる旨を伝えたと話している。

そもそも、ロボットバトルの動画はなぜ削除されたのだろうか? ユーチューブの内部プロセスは非常に不透明なので、その点に関して答えるのは難しい。削除された動画のタイトルには動物の名前が含まれている物もあったが、削除の決断をしたのが、ユーチューブの非常に評判の悪いアルゴリズムなのか、それとも人間のレビュアーであるのかは不明だ。

ユーチューブは、サイト上での暴力的な動画や、ヘイトスピーチの動画に対して多くの批判を受けている。動画のおすすめアルゴリズムが過激なコンテンツを視聴するようユーザーに仕向けている証拠も挙がっており、節度を保つ取り組みを強化することが要求されている。しかしながら、同時に、自動動画削除システムに頼り過ぎてしまうと、ユーチューブで生計を立てている人々、つまりチャンネル所有者自身を混乱させてしまうリスクがある。

今回の件は明らかに自動システムの誤りだったが、私たち人間は、ロボットが不当に扱われているのを見ると不快に感じることが研究でわかっている。マサチューセッツ工科大学(MIT)のロボット倫理学者のケイト・ダーリン博士は、私たちはロボットをしばしば生き物として扱い、ロボットが「苦痛」を感じていたり、虐待されたりしているのを見ると嫌悪感を覚えると過去に話したことがある。おそらくユーチューブは、私たちよりもロボットの気持ちをよく分かっているのだろう。

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