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コーレルより、Parallels Desktop 15 for Mac登場

新Parallels登場! macOS CatalinaでDirectX 11ゲームを楽しもう

2019年08月22日 18時00分更新

文● 金子/ASCII

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 8月22日、コーレルはmacOS上でWindowsを利用可能にするアプリケーションの新バージョン「Parallels Desktop 15 for Mac」の発表会を都内で開催した。発表会には、シニアプロダクトマネージャーのカート・シュマッカー(Kurt Schmucker)氏が登壇し、新製品の特徴が披露された。

Parallels Desktop 15 for Macで、macOS上でWindowsを起動。Boot Campと異なり、macOSとWindowsを同時に使える

 Parallels Desktopは米Parallels社が開発販売してきた製品で、2018年末に同社がコーレルに買収されたことで、コーレルの「パラレルス ブランド」の製品となっている。コーレル買収後の最初のバージョンとなるParallels Desktop 15 for Macは、5月に登場したばかりの「Windows 10 May 2019 Update」に対応済みのほか、年内リリース予定の「macOS Catalina」への対応が表明されている。現時点でゲストOSとしてmacOS Catalinaが利用できるほか、macOS Catalinaの正式リリース後にはホストOSとしても利用可能になる。

一般の店舗で販売されるパッケージ版に加え、年間料金で利用できるApple Sore販売版も用意される

 同社のECサイトで通常版およびアップグレード版の販売が始まっており、8月30日にはパッケージ製品の店頭販売が開始の予定だ。

発表会に登壇し、製品デモを行ったシニアプロダクトマネージャーのカート・シュマッカー氏。ゲームへの愛が強く、Parallels DesktopのWindowsゲーム対応の強力な牽引役でもあるようだ

 

Metal API、DirectX 11をサポートし、より多くのWindowsゲームがプレイ可能に

 新バージョンの最大の特徴は、OpenGLの置き換えとしてアップルが開発を進めているmacOSの「Metal API」への対応と、これによりWindows上でDirectX 11が利用可能になった点だ。シュマッカー氏の説明によると、このMetal API対応は過去数年にわたってアップルの協力を受けて開発。DirectX 11は現行の「macOS Mojave」から使えるが、パフォーマンスを最大限に発揮できるのはmacOS Catalina上になる予定だという。

Parallels DesktopのDirectへの対応状況。Parallels Desktop 15は新たにDirectX 11に対応するほか、DirectX 9と10もMetal APIを使うようになりパフォーマンスが向上しているという

 Parallels DesktopでDirectX 11が利用可能になることで、より多くのWindowsゲームを楽しめるようになる。シュマッカー氏がデモも交えて説明したのが、マイクロソフトが販売するリアルタイムストラテジーゲーム「Age of Empires(エイジ オブ エンパイア)」への対応だ。

 2018年2月に発売された「Age of Empires: Definitive Edition」はDirectX 11に対応するが、2018年発売のParallels Desktop 14はDirectX 11非対応で、プレイできなかった。グラフィックスのパフォーマンスが足りない、DirectX 11への対応が不十分という警告が表示され、実行しても動きが鈍くてゲームを楽しめなかったのだ。

 一方、Parallels Desktop 15ではDirectX 11が利用可能になったため、現実的な速度で「Age of Empires: Definitive Edition」を楽しむ事が可能となった。Age of Empiresはシュマッカー氏がお気に入りのゲームで、Age of EmpiresをやりたいとParallelsの開発チームに伝え、開発中には自らテストを行ったという。

発表会でシュマッカー氏が行ったDirectX 11対応のデモ。Parallels Desktop上のWindowsでAge of Empiresが動いている

 Age of Empiresのほか、Anno 2205、Space EngineersなどのWindowsゲームに対応。さらにDirectX 11のパフォーマンスが向上するmacOS Catalina上では、FIFA 19、Fallout 4、Elite Dangerous、Prey(2017)、Crysis 3、Anno 1800も楽しめるようになるという。

Xboxゲームを楽しむために、Bluetooth Low Energyに対応?

 そのほかの新機能の1つに、Bluetooth Low Energyのサポートがある。省電力なBluetooth機器の規格だが、Parallels Desktop 15が対応した理由は、Xboxゲームをより楽しむためという面があるようだ。

 Windows 10には、Xbox Oneの対応ゲームをWindows 10でプレイできる「Xbox Play Anywhere」という機能がある。シュマッカー氏は、「Xbox Play Anywhere」がParallels Desktop上のWindowsでも使える様にすることを開発チームに指示。すると開発チームは、Xbox Oneゲームをより楽しめるよう、Xboxコントローラも使える仕組みも実装した。実はXboxコントローラを使うためにはBluetooth Low Energyが必要なのだが、Parallels DesktopをBluetooth Low Energy対応させてしまったのだ。シュマッカー氏およびParallelsの開発チームのWindowsゲームへの愛が感じられるエピソードといえるだろう。

ゲームだけでなく、3D CADアプリケーションへの対応も

 Parallelsが力を入れるのは、もちろんゲームだけではない。3D描画が必要となるCAD/CAMなど、業務用アプリケーションでもDirectX 11の利用が進んでおり、これらもParallels Desktop 15なら利用できる。対応製品として、Autodesk 3ds Max 2020、Lumion, ArcGIS Pro 2.3、MasterSeriesが紹介されている。

 ユニークな機能としては、Windows 10 へのアップグレードアドバイザーがある。これはWindows 7をParallels Desktopで使っている場合、Parallels Desktopのメニューから実施可能な、Windows 10へのアップグレード方法を解説するアシスタンス機能。Windows 7は2020年1月14日に「延長サポート」が終了し、セキュリティ更新プログラムの提供も終了してしまうため、有用な機能と言えるだろう。

iPadがMacのサブディスプレイになるmacOS Catalinaの機能「Sidecar」にも対応する。Parallels Desktopで動作するWindows 10をタブレットモードにして、Sidecarを使ってiPad上に表示。Apple Pencilを使って操作することが可能となる

 Parallels Desktop 15 for Macは、Standard Edition、Pro Edition、Business Editionの3つのエディションが販売される。個人ユーザーがMac上でWindowsゲームやアプリケーションを利用するだけであればStandard Editionで充分だが、開発用途やテスト、8GB以上の大容量メモリが必要な場合はPro Editionとなる。また、多数のParallels Desktop環境を集中管理するのであればBusiness Editionが利用できる。

エディションの比較

 Standard Editionの店頭販売のメーカー希望標準価格は、新規購入用の通常版が9818円、乗り換えアップグレード版が7560円など。本製品より、乗り換えアップグレード版は過去のParallels Desktopの全バージョンからのアップグレードが可能になっている。

  Parallels Desktop for Mac は、macOSやMacのハードウェアの進化、Windows新製品登場に合わせるように頻繁なバージョンアップを重ねてきており、今回でバージョンは15となった。最初の製品は2006年6月に発表されており、今年で誕生13周年だ。
2006年6月15日「米パラレル、『Parallels Desktop for Mac』の正式版を発表

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