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日本のセキュリティの課題を探る 第2回

マカフィーに聞く

5Gの本質はIoT、「経済原理によって、セキュリティ対策がおろそかになってはいけない」

2019年08月22日 09時00分更新

文● ASCII

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5G化の本質はIoT活用

── 2020年に向けて、国内でも5Gサービスの商用化が進んでいます。どのようなセキュリティ対策が必要ですか?

佐々木 5Gが商用サービス化するのはこれからです。そのため、セキュリティ関連で、どのような問題が発生するかは、まだまだ未知数です。しかし、ひとつ言えるのは、既存の4Gとは異なる基地局が必要となり、その数が飛躍的に増えることです。特に24GHz帯の通信は電波の直進性が高く、4G時代とは比べ物にならない数の基地局を管理しなければなりません。インフラ面では、これらをどう改修していくかが課題になるでしょう。

── 社会に与えるインパクトという観点ではいかがでしょう?

佐々木 個人レベルでは、データ通信の高速化への関心が高いかもしれません。しかし、社会の変化という観点で見た場合、5G化の本質は「IoT活用」にあると考えています。工場や医療施設など、様々な場所で、インターネットに直接接続する機器が増えます。また、大規模なインフラ投資が必要です。現状では準備段階ですが、スマートシティの文脈で、コネクテッドカーへの応用も期待されています。

── インターネットに接続する機器が爆発的に増える中、そのセキュリティをどう担保するかが課題ということですね。

佐々木 はい。とはいえ、5Gサービスを提供する事業者に求められるセキュリティ対策については、5G時代と4G時代で大きく変わることはありません。「データ漏洩防止」「改ざん防止」「可用性の確保」という3つを堅実に守っていくことが大切です。これを踏まえ、5G時代ならではの課題があるとすれば、データを暗号化する際の遅延をいかに減らすかになるでしょう。通信の大容量化、高速化、リアルタイム化が進む中、エンドツーエンドの軽量な認証・暗号化技術が求められます。

 もうひとつのカギがデバイス管理です。IoT機器をどう管理するかについては、どのようなソリューションを組むか次第であり、「このやり方が正しい」と一概に言うことはできません。しかし、デバイスが管理できていれば、DoS攻撃を含め、様々な攻撃に対して比較的容易に対応できます。ここで問題になるのが、同じ施設内で、管理されているデバイスと、そうではない「野良端末」が混在する状況です。

── 軽量な暗号化技術と野良端末への対策が重要ということですね。

佐々木 工場内にある、数千のセンサーをインターネットに接続し、その情報を遅延なく活用するとなると、管理に対する考え方が変わります。また、こうした機器は、パソコンやスマホとは異なり、使えるリソースに制限があります。IoT機器をインターネットにどう安全に接続させるかは、通信キャリアが取り組むべき課題でもあります。

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